コロナで早期退職を迫られた人が急増中? その後の給料の増減とは
ファイナンシャルフィールド / 2021年5月16日 23時10分
コロナ禍でリストラにあった、給料が下がったなど、暗い話も少なくない世の中。いま急増しているといわれているのが、定年を迎える前に退職するという早期退職です。
いったい早期退職の実態はどうなっているのか、その後の給料の変化など、株式会社Agooraが発表した調査結果(※)を見てみましょう。
正社員の10人に1人が早期退職を持ちかけられているという事実
この調査は、全国の30歳から65歳までの正社員・公務員・役員の男女4000名に予備調査をし、そのなかから、ここ1年から2年で早期退職を持ちかけられた経験のある方300名を対象に本調査を行ったもの。
まず、早期退職を持ちかけられた人の割合を見てみましょう。
-
【ここ1年から2年で早期退職を持ちかけられたことはありますか?】
- ・はい 10.55%
・いいえ 89.45%
なんと、正社員・公務員・役員のうち、10人に1人は早期退職を持ちかけられた経験があるという事実が明らかになりました。正社員や公務員であれば、定年まで安泰といったイメージがありますが、実際はそんなこともないようです。
具体的に会社から早期退職についてどのような説明があったかというと、「コロナで事業が悪化し、雇用を維持できないので退職金増額と引き換えに退職して欲しいといわれた。(男性/41歳)」「コロナの影響で事業を存続させることが難しくなり、人事から突然ズームミーティングで人員削減を行わざるを得なくなったと勧告された。拒否も可能だが、その場合は他部署に異動することが前提であるといわれた。(女性/41歳)」といった具体的なコメントがありました。
早期退職というと聞こえはいいですが、事実上のクビという扱いになるケースもありそうです。
ちなみに、「早期退職を持ちかけられた理由に新型コロナウイルスは関係していますか?」という質問については、「はい」と答えた人が65.33%。早期退職が増えているという状況には、やはりコロナの影響が強いということがわかります。
さて、実際に早期退職を受け入れた方はどれくらいいるのでしょうか。
-
【早期退職を持ちかけられた際、あなたは受け入れましたか?】
- ・はい 42.67%
・いいえ 57.33%
早期退職を受け入れた人は、40%強という結果に。たしかに、割り増しで退職金を受け取れるというメリットや、同条件で転職先をサポートしてもらえるということもありますが、やはりその後の人生を考えると尻込みしてしまう人も少なくないのが現実でしょう。
受け入れた理由としては、「今後の生活資金が確保できたため退職を受け入れた。(男性/59歳)」といった前向きなものもあれば、「早期退職を提案されてからいじめがひどくなってきたので受け入れました。(男性/50歳)」といった目を覆いたくなるようなものあり、さらには「このまま無理に断って肩身が狭い想いをしながら働くよりかは新しい環境でしっかりと働いた方が良いと感じたから。(男性/37歳)」といった若い世代ならではの考えなどもありました。
いっぽうで早期退職を拒否した理由は、「年齢的にも再就職が厳しく、転職すればかなりの賃金低下も受け入れざるを得なかったため(男性/44歳)」「雇用主が退職金の上乗せに応じなかったため、早期退職が成立しなかった(男性/51歳)」などがありました。
コロナ禍のいま、再就職が厳しい業種も多い状況。十分な退職金を得られなかったり、今後の転職活動に不安があったりする場合は、安易に早期退職を受け入れないほうがいいのかもしれません。
早期退職後は正社員以外で働く? それとも無職?
さて、早期退職をした人はその後どのような働き方を選んだのでしょうか。
【早期退職後、現在の職業を教えてください】
1位:正社員 69.53%
2位:無職 13.28%
3位:派遣・契約社員 11.72%
TOP3は上記の結果に。早期退職の際、別の会社に正社員として働けるようサポートしてもらえることもあるものの、それがかなわず派遣・契約社員として働くようになったり、無職になったりする人も少なくないようです。
早期退職した人の半数が給料減の状況に
最後に、早期退職後、新たに働き始めた際の給料はどのようになっているかを見てみましょう。回答には無職になった人も含まれます。
【現在の給料は早期退職前の職場と比較し、どれくらい増減していますか?】
1位:変化なし 32.43%
2位:1円~5万円減った 21.62%
3位:10万1円以上減った 15.32%
4位: 5万1円~10万円減った 12.61%
上位はこのような結果に。残りの2割程度の人は、少なからず給料が増えているということになります。
早期退職を募集する会社では、給料なども同条件の転職先を用意すると説明することが多いにも関わらず、給料が減ってしまっている人が半数近くもいるという事実は、いまの時代の厳しさを物語っているといえそうです。
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などが繰り返されるなか、休業や倒産、そしてリストラなどで苦しむ人たちを支援する政策を期待したいものですね。
[出典]
※株式会社Agoora「早期退職を迫られた300人対象に退職までの猶予や受けた説明などのアンケート調査を実施」(@Press ソーシャルワイヤー株式会社)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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