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70歳まで定年引き上げ? 改正高年齢者雇用安定法で何が変わる?

ファイナンシャルフィールド / 2021年7月8日 11時30分

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働き方改革や少子高齢化などにより、高齢者の就業が求められていると同時に、高齢者にとっても生きがいのため、経済的基盤確保のため、できるだけ長く働きたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。   2021年4月施行の改正高年齢者雇用安定法における高年齢者就業確保措置では、70歳までの高年齢者就業確保措置が努力義務化されます。どのように変化したのか解説します。

おさらい、高年齢者雇用安定法

2012年の法改正(2013年施行)では、事業主に対して60歳未満の定年禁止と65歳までの定年の引き上げ、定年制の廃止、65歳までの継続雇用制度の導入のいずれかの措置を講ずることで、65歳までの希望する全員の継続雇用が義務化されました(経過措置あり)。
 
このときの法改正は60歳から65歳へと高齢者の就業が延長されたといえます。それにより、例えば60歳定年した人が65歳から年金を受ける場合に生じる、空白の5年間を働くことで、経済的基盤を確保することができるようになりました。
 
平均寿命が延びている日本では、セカンドライフが長くなる老後を豊かに過ごすため、注目された改正でした。
 

2021年4月施行、改正高年齢者雇用安定法

前段の2012年の法改正では「60歳→65歳」、今回の改正では、「65歳→70歳」がポイントとなります。
 
今までの60歳以上65歳未満を対象とする高齢者雇用確保措置(義務)に加えて、65歳から70歳までの就業機会を確保することが努力義務とされました。
 
具体的な高年齢者就業確保措置については、以下のとおりです。


1. 70歳までの定年引き上げ
2. 定年制の廃止
3. 70歳までの継続雇用制度の導入
4. 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
5. 70歳まで継続的に次のいずれかの社会貢献事業へ従事できる制度の導入

 a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
 b.事業主が委託、出資等する団体が行う社会貢献事業高年齢継続被保険者

4および5は今回の法改正で新たに加わり、創業支援等措置といいます。
 
(参考:厚生労働省「改正高年齢者雇用安定法が令和3年4月から施行されます」(※1))
 

働く高年齢者は増えている?

内閣府の「2020年度版高齢社会白書」(※2)によると、2019年の労働力人口比率(人口に占める労働力人口の割合)を見ると、65~69歳では49.5%、70~74歳では32.5%となり、さらに75歳以上は10.3%となっており、上昇傾向となっています。
 
実際、仕事をしている60歳以上の人の約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答しています(内閣府「令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査」(※3))。
 
70歳、80歳くらいまで働きたいと回答した人を含めると、約9割の人が働きたいと考えているようです。
 
政府は2015年に少子高齢化という構造的な問題に取り組み、一億総活躍社会の実現に向けて、誰もが活躍できる全員参加型の社会を目標に掲げていることを踏まえると、働く意欲がある高年齢者がその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境整備を図ることは必須と考えられます。
 

まとめ

若手の人材育成、人材確保など、シニア層の労働力を求める事業主は多くなっています。
 
経済社会の活力を維持するためにも、個々の労働者の多様な特性やニーズを踏まえ、70歳までの就業機会の確保について、多様な選択肢を整え、事業主にいずれかの措置を講じるよう努力義務としたものが、今回の法改正となっています。
 
高齢者が就業することは、経済的な不安の解消や生きがい、社会的貢献の割合が高く、就業する高齢者が増えることは、高齢期の豊かさにもつながると考えられます。
 
今後は、高齢者が健康寿命を延ばしつつ、個々の事情に応じた多様な働き方できるような仕組みづくり(就労支援)が求められてくるのではないでしょうか。
 
出典
(※1)厚生労働省「改正高年齢者雇用安定法が令和3年4月から施行されます」
(※2)内閣府「令和2年版高齢社会白書」
(※3)内閣府「令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査」
 
(参考)
厚生労働省「高年齢者雇用安定法 改正の概要」
 
執筆者:三藤桂子
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士

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