遺産分割協議がどうしてもまとまらない…! 対処法はある?
ファイナンシャルフィールド / 2021年7月30日 9時20分
相続問題の1つに遺産分割協議がどうしてもまとまらず、長期化しやすいという問題があります。遺産分割協議の長期化は相続人たちにとって大きな負担となり、亀裂を生み出す原因にもなります。遺産分割協議がまとまらず長期化してしまった際の対処法について紹介します。
遺産分割協議が長期化してしまうのはなぜ?
これは当事者になって初めて実感できることなのですが、遺産分割協議はそう簡単に終わらないこともままあります。法律には一応の相続分(法定相続分)が定められているのですが、この相続分は相続人間で話し合って変えることができるからです。
また、相続財産は場合によってはプラスの財産もあればマイナス財産も含まれていることがある上、相続人ごとに経済状況が異なっていたり、相続人間の人間関係や亡くなった方との関係などさまざまな背景があります。
このような理由から遺産分割協議は長期化しやすいのです。
(1)遺言書がない
(2)相続人同士が疎遠、仲が良くない
(3)金銭以外の財産が多い
(4)亡くなった方から一部の相続人が特に支援を受けていた
(5)相続人の中で一部だけ亡くなった方を支援していた
特に上記のようなケースに該当する場合、遺産分割協議が長期化したり、まとまらないことが多いため注意が必要です。
遺産分割協議がまとまらないときの対処法は?
遺産分割協議がどうしてもまとまらない、そんなときは次の手法を試してみてください。
状況をまとめながら議論する
遺産分割協議がまとまらない理由として、みんながそれぞれの主張をしていたり、冷静さを欠いていることが挙げられます。
そのため、自らがまとめ役としてそれぞれの主張を取りまとめ、事実と照らし合わせ、状況を整理しながら話を進めていくことで遺産分割協議がまとまることもあります。自分達だけで難しいと思ったときは適宜、弁護士など専門家に加入して仲裁してもらうというのも手です。
家庭裁判所で調停や審判を申し立てる
どうしても当事者同士ではまとまらない場合、家庭裁判所での調停や審判によって遺産分割するという方法があります。
遺産分割調停とは、調停委員と裁判官で構成された調停委員会の方が間に入り、一緒に遺産分割の解決に向けて助言をしてくれるものです。ただ調停はあくまでも話し合いとなるため、当事者の意見が尊重されます。その分長引くことも多く、何度も家庭裁判所に足を運び解決までに時間を要することがあります。
仮に調停が不成立に終わると今度は審判に移行します。審判は調停と異なり、家庭裁判所が遺産分割を決定することになります。なお、場合によっては調停を経ずに審判が可能なこともあります。
調停や審判の申し立ては、遺産分割の相手となる相続人(複数人いる場合はそのうちのいずれか)の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定めた家庭裁判所に申し立てて行います。
遺産分割が長引くデメリット
遺産分割には明確な期限が定められているわけではありません。そのため遺産分割はじっくり話し合っても問題ないのですが、相続税の納税が10ヶ月以内とされており、この期限に間に合わず、各種特例による税額控除が受けられないといったこともあり得ます。
また、相続財産の処分について曖昧なまま時間が過ぎることで、相続財産やその周囲の権利関係が複雑になることもあります。
もし、10ヶ月以内に遺産分割協議が終わらない場合、一旦は法定相続分で相続したものとして相続税の申告手続きだけ行い、併せて「相続税の申告書の提出期限から3年以内に分割する旨の届出」もしておくと、遺産分割協議が終わった時後から正式な相続税の額に納税・更正をすることができます。
遺産分割協議がまとまらないときは調停や審判の利用も
遺産分割協議が長引くと権利関係が複雑になるなど、相続税の手続きにも影響します。遺産分割協議は相続人間の話し合いでまとまるのが一番ですが、どうしてもという場合は迅速に問題を解決して後々まで引きずらないよう、調停や審判といった手続きを経て解決するのも手です。
出典
国税庁 [手続名]相続税の申告書の提出期限から3年以内に分割する旨の届出手続
執筆者:柘植輝
行政書士
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