缶ビール2本で制限量オーバー! そんな心配ご無用の「微アル」って、どんなもの?
ファイナンシャルフィールド / 2021年8月30日 9時0分
これから酒類には、アルコールの度数だけでなく量も容器に表示することが求められていく。以前にそう書きました。アルコール摂取量を“見える化”し、健康の維持管理に備えようという流れです。 そんな状況にも連動してか、ビール系飲料にも「微アルコール」(微アル)というジャンルが登場しています。
アルコールの摂取量を意識する状況とは
まずはアルコールの度数と量の関係をおさらいしておきましょう。例えば缶ビールでアルコール度数5%、内容量350ミリリットルならば、アルコールの比重は約0.8なので350×0.05×0.8、つまりアルコール量は[14グラム]です。
しかし、これを飲んで「アルコールを14グラム摂った]とまで考える人は、あまりいないでしょう。
「酒は百薬の長」ともいわれますが、飲みすぎは健康によくないことも事実です。厚生労働省は、飲酒量(純アルコール摂取量)について次のようなガイドラインを示しています。
◇節度ある適度な飲酒量(※1)
1日平均 約20グラム程度
◇生活習慣病のリスクを高める飲酒量(※2)
1日平均 男性40グラム以上、女性20グラム以上
(男女の差は、飲酒による肝臓障害の起きやすさなど体質差による)
1日20グラムのアルコールは、先述の缶ビール1本で14グラム摂取すると残りわずか6グラム。さらに、同じ缶ビールもう1本とかワインや日本酒を少し飲むだけで簡単にオーバーするのです。
ビール系「微アルコール」飲料とは
健康のため、アルコールを飲まない「休肝日」を決めて実行している人もいるでしょう。そんなときでも、ビールのような色味や泡立ちのノンアルコール(アルコールフリー)飲料を楽しむことはできます。
こちらは当然、アルコール度数0%。価格はケース・バイ・ケースですが、350ミリリットル缶でビールより数十円以上安い水準です。
では、今回のビール系微アル商品はどんな動きなのか。まずアサヒビールは、今年3月に地域限定で売り出し、6月から全国販売を開始しています。アルコール度数は[0.5%]で、350ミリリットル缶が180円台から190円台(税込み)くらいで販売されています。
追随してサッポロビールも、今年9月14日販売開始の新商品を公表しました。こちらのアルコール度数は[0.7%]です。オープン価格ですが、先行商品と同水準が予想されます。
一般的なビールはアルコール度数が5%前後ですので、微アル商品はアルコールの度数や量がそのわずか1割前後といった水準です。
一方で、ノンアルコールのビール系飲料に比べて目につくのは、その価格。一般的なビールとあまり変わらない価格帯なのです。その点について、各メーカーは本来のビールを原料にしている点を強調しています。
つまり、ビールならではの香り、うまみ、コクをできるだけ残しながら、アルコール分だけを大幅に取り除いた。そんな手間とコストをかけているということなのでしょう。
実は「酒税」でも大違い
酒類には酒税がかかっています。ビールでは、昨年10月に少し下がったとはいえ350ミリリットルで70円。こうした酒税、実は酒税法ではアルコール度数1%以上の飲料が対象となります。つまり、今の微アル商品は酒税がかからないのです。
原料や製造工程の手間やコストに違いがあるかもしれませんが、同じく酒税のかかっていないノンアルコール商品よりも販売価格はかなり高い水準です。その分、メーカーにとって収支的に優位な商品ともいえるでしょう。
また、価格をアルコール量で割り算した「単価」で計算すると、人気の「ストロング系」チューハイの対極に位置するところも微アル商品の特徴の1つ。その点だけ見るとかなり低いコスパですが、それはデメリットなのでしょうか。
「アルコール分が薄くて損だ」という気持ちよりも、「同じ量を飲んでも、ほかのお酒ほどアルコール摂取量が気にならない」といった健康志向面でのメリットを評価する声があるからこそ、こうした商品が開発されたのでしょう。
まとめ
すでに販売されている微アル商品の缶には「炭酸飲料」と表示されています。先述のように酒税法上の「酒類」ではないからです。そのため消費税は、軽減税率が適用されて8%。この点も酒類とは違います。
ただし、同じ缶に「この商品には、アルコールが含まれております。20歳未満の方、妊娠・授乳期の方、運転される方などは飲用をおやめください。」とも明記されています。本質的にノンアルコール商品とは違うもの。その点には注意が必要です。
[出典]
(※1)厚生労働省「健康日本21(アルコール)」~「アルコール」
(※2)厚生労働省「健康日本21(第二次)」~「健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料」 (該当箇所は117ページ)
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士
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