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「家計相談支援事業」とはどのような制度? どんな人が利用できる?

ファイナンシャルフィールド / 2021年9月1日 11時20分

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2013(平成25)年12月に成立した「生活困窮者自立支援法」は、生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を図るため、生活困窮者に対し、自立相談支援事業の実施、住居確保給付金の支給その他の支援を行うための所要の措置を講ずるものとされています。   そして、この支援法に基づいて策定されたのがいわゆる新たな「生活困窮者自立支援制度」です。家計相談支援事業は自立支援制度の一環として位置付けられていますが、どのような内容なのでしょうか。   今回はこの制度の概要と、どのような人が利用できるのかについても併せて解説します。

家計相談支援事業とは?

家計相談支援事業とは、生活困窮者自立相談支援事業の1つとして、家計の状況を「見える化」し、利用者の家計管理の意欲を引き出す相談支援です。その支援の中には貸付のあっせんなども含まれます。
 
具体的には、「家計に問題を抱える生活困窮者からの相談に応じ、相談者とともに家計の状況を明らかにして生活の再生に向けた意欲を引き出した上で、家計の視点から必要な情報提供や専門的な助言・指導などを行うことにより、相談者自身の家計を管理する能力を高め、早期に生活が再生されることを支援する取り組みを行うものです。
 
対象者は生活困窮者の定義と同じとされており、「現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者」となっています。家計相談支援事業によって具体的な効果を得られる方として、以下のケースに当てはまる人が想定されています。
 

■家計相談支援事業が効果的な役割を果たすケース

・多重債務もしくは過剰債務を抱え、返済が困難になっている人
・債務整理を法律専門家に依頼した直後や債務整理途上の人
・収入よりも支出が多くなり不足がちで、借金に頼ったり、支払いを滞らせざるを得ない人
・収入が少なかったり波があったりするが、生活保護の対象とならず、家計が厳しい状態の人
・家族で家計について話したことがなく、それぞれが勝手にお金を使っている人
・カードに頼って生活や買い物をしており、いくら借金があるのか把握していない人
・収入はあるが、家賃をはじめ、水道光熱費、学校納付金、給食費、保育料などの滞納を抱えていたり、税金などを延滞したりしている人
・就労先が決まったが、収入が得られるまで時間がかかり、生活資金の貸付を予定している人
・児童扶養手当や年金の支給など月単位の収入ではなく2~4ヶ月単位の収入があり、支出も月単位で変化があり、家計管理が難しい人

 

■具体的な支援業務

家計相談支援事業の具体的な支援業務は以下のとおりです。

1.家計管理に関する支援(家計表等の作成支援、出納管理等の支援)
2.滞納(家賃、税金、公共料金等)の解消や各種給付制度等の利用に向けた支援
3.債務整理に関する支援(多重債務者相談窓口との連携等)
4.貸付のあっせん
など

 

■支援業務によって期待される効果

このような家計相談支援事業を受けることによって、以下の効果が期待されています。

・相談者が自ら家計を管理できるようになる
・家計以外の課題についても気付きを得る
・家計が安定化する

これらの効果によって、相談した本人がその後再び困窮状態になることを予防したり、税金の滞納などの解消に結び付けたりできます。
 

家計相談支援事業のポイント

家計相談支援事業のポイントとしては、以下の点が挙げられます。
 

■家計の状況を理解し、「家計を管理しよう」という意欲を引き出す

家計表などを活用して相談者とともに家計の状況を「見える化」し、相談者自らが課題に気づき、「家計を管理しよう」という意欲を引き出すことで、相談者が今後自主的に家計の改善に取り組むことができます。
 

■相談者自身が家計を管理できるようになることへの支援

家計を管理するための助言を提供したり、さまざまな支援につないだりすることで、自ら家計を管理できるようになることを支援し、再び生活困窮状態に陥ることを予防します。
 

■家計に関する課題の解決に向けてさまざまな支援へつなぐ

家計相談支援機関だけで課題を解決しようとするのではなく、消費生活相談窓口、多重債務相談窓口、公的給付や減免等の行政の担当部局、弁護士や司法書士、貸付機関等、多様な社会資源と連携し、各種制度の利用に向けた包括的な支援を行います。
 

■貸付の活用を通じた重層的なセーフティネットの構築

家計相談支援を行うことで、社会福祉協議会が実施している生活福祉資金貸付制度の機能強化や、消費生活協同組合等の民間の貸付機関の参入にもつなげることができます。
 
(出典:厚生労働省「家計相談支援事業の基本的な考え方」(※))
 

まとめ

家計相談支援事業とは、生活困窮者の支援制度の一部として設けられたものです。相談の際には、キャッシュフロー表や家計計画表を用い、今後のライフプランに基づき、相談者自身が自分でマネープランを作成できるように導くことが求められています。
 
生活困窮者には、「収入や生活費のこと」「家賃やローンの支払いのこと」「債務について」などさまざまな問題を抱えている人がいます。
 
そのような方に対して、一方的な支援を行うのではなく、その後も自立して生活できるようにしていくことがこの制度の目的となっており、今後の事業の拡大が期待できる分野といえるでしょう。
 
出典
(※)厚生労働省「家計相談支援事業の基本的な考え方」(平成27年11月30日)
(※)厚生労働省「家計相談支援事業について <「家計相談支援事業の運営の手引き」より>」
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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