多重債務で生活が苦しい……どこに相談すればいい? 相談するとどうなる?
ファイナンシャルフィールド / 2021年9月29日 10時30分
コロナの影響で収入減が続いている方もいらっしゃると思います。先行き不安な中、お金の悩みは、友人や知人だけでなく家族にも相談しづらいもの。自分で何とかしなくてはと悪徳商法に引っかかり、支出がかさんでしまう例もあります。そうこうしているうちに、返すために借り入れをする多重債務に陥り、どのようにしたら良いかわからない状態に。 1人で悩まず、一刻も早く公的機関の多重債務者向けの相談窓口で、まずは話をしてみませんか? 令和3年9月1日~12月31日まで、多重債務相談強化キャンペーン2021が行われています(国による多重債務者対策本部、日本弁護士連合会、日本司法書士連合会、法テラス主催です)。
絶対にヤミ金には手を出さない! まずは公的機関に相談
「このくらいなら返せる」と計画を持って借り入れをすると思います。しかし、収入が下がってしまったり予期せぬ支出が発生したりで、「収入<支出」となったときから負債のスパイラルが始まってしまうかもしれません。収入が上がらないかぎり、どこからか資金を調達しなければなりません。
しかし、借り入れに頼りそれを繰り返すうちに低金利では借りられなくなったり、返済を繰り返し利息が利息を呼び加速度的に借り入れが膨らんでしまったりすることもあります。
どうしようと悩み放っておいても解決にはなりません。まず、公的機関に相談しましょう。
金融庁ホームページに多重債務相談窓口の連絡先があります。さらに、金融庁は各都道府県別の相談窓口を、リーフレットにより周知しています。
●財務局および各都道府県の相談窓口
●市区町村の相談窓口
●(公財)日本クレジットカウンセリング協会(相談料無料、任意整理も無料)
●多重債務ほっとライン0570-031640
●法テラス・サポートダイヤル0570-078374
●188(消費者ホットライン)
他にも、各都道府県の弁護士会、司法書士会等に相談できます。
絶対にヤミ金(無登録業者や個人間融資、給与ファクタリングなど)に手を出すのを止めましょう。
相談するとどうなる?
多重債務者の救済方法として、任意整理、特定調停、自己破産、個人再生の4つの方法があります。弁護士や司法書士からの受任通知や、裁判所から手続き開始の通知がされると、債権者は取り立てができなくなる(貸金業法第21条1項9号)一方で、信用情報機関に事故情報として提供されるため、債務者は新たに借り入れができなくなります。
(以下、金融庁ホームページ 資料集 債務整理4類型 記載内容より 要約引用)
●任意整理・・裁判所を通さず、当事者が話し合って返済方法を和解します(期間2~4ヶ月、1社2万5000円程度)。借入総額が比較的少額で、利息制限法に基づいた引き直し計算により借金の減額が見込まれる場合に選択します。
当事者間の話し合いにより返済計画を立てられます。利息の引き直しによって借金の減額も可能になりますが、貸金業者が話し合いに応じない場合に、強制力はありません。
●特定調停・・裁判所が当事者の間に立ち、調整します。(期間1~2ヶ月、数千円程度)
借金をしている貸金業者が少ない場合や、利息の引き直しにより減額が見込まれる場合に選択します。
裁判所に選任された調停委員の仲介により、公平な結論になるし、費用が抑えられる。一方で、すべての貸金業者の同意を得なければならないことや、返済計画に強制力があるため、計画通りに返済ができないと給与が差し押さえられます(1~2ヶ月)。
●自己破産・・裁判所を通じて債務を免責してもらう。(期間2ヶ月~半年、費用30万円~60万円程度)
返済の見込みがない場合に選択します。免責が通れば借金から解放されます。しかし、最低限の生活私財を除き、住宅などの財産を失います。税金など、免責されないものもあります。免責が許可されるまで一定の職業に就けないだけでなく、官報に住所氏名が載ります。
●個人再生・・裁判所が認可した再生計画で債務を返済します。(期間1年程度、30万円~60万円程度)
ローンがある住宅を手放したくないが、多くの貸金業者から多額の借入金をしている場合で、給与収入がある場合に選択します。給与の差し押さえがされず、住宅を失わずに債務を整理できますが、手続きに時間と費用が掛かり、官報に住所氏名が載ります。
状況に合わせて整理方法を選択します。
二度と多重債務に陥らないために
国が多重債務者対策本部を設置し、法改正や相談会を開催していますが、借りる本人も二度と多重債務に陥らないよう注意が必要です。
金融庁ホームページに、気軽にクレジットカードやローンを組む時代における、多重債務にならないための注意点がまとめられています。
1.それは本当に必要なお金(もの)ですか?
2.今すぐ必要なお金(もの)ですか?
3.金利はどのくらいかかりますか?
4.自分の収入で、きちんと返済していけますか?
5.借金返済のための借金ではないですか?
(金融庁「社会にはばたこうとしている皆さんに 安易に借金をしてはいけません ~多重債務に陥らないために~」より引用)
まず、収入以内で生活すること。しかし、予想しなかった出来事によりどうしても借り入れが必要になる場合は、まず、公共の機関による支援を考えましょう。手続きが面倒ですが、一般の金融機関より低い金利で借りられます。簡単に借りることができるほど、高金利になる傾向にあります。金利の負担をなるべく少なくしましょう。
貸金業者から借り入れする場合は、登録業者であることを確認しましょう。
また、「簡単にもうかる」の言葉にだまされない、借金してまで「投資+マルチ商法」に乗っからないこと(それは、本当に必要ですか?)。
また、借り入れするときは、どれだけ借りてどれだけ返すか確認しましょう。返済方法、期日を知っておきましょう(自分の収入で返していけますか? 借金返済のために借金するのは多重債務の入り口です)。
また、身内がギャンブルや課金の借り入れの肩代わりをすることは本人のためにはなりません。止めましょう。痛い思いをしなければ抜け出せません。
出典
関東財務局「多重債務者向け無料相談窓口」
金融庁「多重債務対策について」
金融庁 資料集 債務整理4類型
首相官邸「多重債務問題改善プログラム」の概要
金融庁「多重債務者相談キャンペーン2021 家計のお悩み相談してみませんか?」
金融庁「社会にはばたこうとしている皆さんに 安易に借金をしてはいけません ~多重債務に陥らないために~」
(2012年6月施行 出資法上限金利20%)
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者
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