高齢夫婦の収入と支出の平均額は?不足分はどうしてる?
ファイナンシャルフィールド / 2021年10月11日 12時0分
老後の生活について考えていて「年金生活の収入と支出はどのくらいなのか教えて」「不足分はどうしているのか知りたい」など疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。 ここでは、高齢夫婦の収入と支出の平均額、不足分を補う方法について解説します。
高齢夫婦の収入と支出の平均額
高齢夫婦の収支と支出の平均額を見ると、毎月の収支はほぼトントンです。毎月の収支に余裕がなく、いつ赤字になってもおかしくありません。また、単身者に限っては毎月の収支が赤字となっています。高齢夫婦の収入と支出の平均額を知ることで、老後の資金計画が立てやすくなります。
ここでは、高齢夫婦の収入と支出の平均額について見ていきましょう。
高齢夫婦の収入
総務省「家計調査報告(家計収支編)2020年」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の収入は、次のとおりです。
●可処分所得:22万5501円 ※実収入は25万6660円
可処分所得とは、収入から税金や社会保険料を差し引いた金額です。実収入の約85%は年金になります。
また、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の収入は、次のとおりです。
●可処分所得:12万5423円 ※実収入は13万6964円
高齢単身無職世帯は年金額が少ないため、夫婦高齢者無職世帯と比べると可処分所得は4割以上低くなります。
高齢夫婦の支出
65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の支出は、次のとおりです。
●消費支出:22万4390円
消費支出の主な内訳は次のようになります。
●食費:29.3%
●住居費:6.5%
●水道光熱費:8.8%
●教養娯楽費:8.8%
●保健医療費:7.2%
一方、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の支出は、次のとおりです。
●消費支出:13万3146円
単身世帯となるため、夫婦高齢者無職世帯より消費支出は少なくなります。消費支出の主な内訳は次のとおりです。
●食費:27.5%
●住居費:9.3%
●水道光熱費:9.7%
●教養娯楽費:9.7%
●保健医療費:6.2%
割合に関しても、住居費などが夫婦世帯とは異なります。
1ヶ月の収支は同等または赤字
夫婦高齢者無職世帯の1ヶ月の収支は、次のとおりです。
●可処分所得22万5501円-消費支出22万4390円=1111円
1ヶ月の収支は+1111円で赤字ではありませんが、ほぼトントンです。貯金は難しく、いつ赤字になってもおかしくありません。
一方、高齢単身無職世帯の1ヶ月の収支は、次のようになります。
●可処分所得12万5423円-消費支出13万3146円=-7723円
上記のとおり、毎月7000円以上の赤字です。年間で8万4000円以上も収支がマイナスとなります。
世帯によって収支状況は異なりますが、総務省「家計調査報告(家計収支編)2020年」を見る限りは、夫婦高齢者無職世帯、高齢単身無職世帯どちらも毎月の収支に余裕はなく、単身世帯に限っては赤字生活です。
不足分を補う方法
老後の年金生活で毎月の収支が赤字だったとしても、できるだけ長く働いたり、iDeCoや個人年金保険などを利用したりすれば、不足分を補うことが可能です。働く場合は年金の他に給与が入ってくるため、先々の備えも作れます。早くからiDeCoや個人年金保険などを活用して老後資金を作っていれば、不足分を十分補えます。
ここでは、不足分を補う主な方法について見ていきましょう。
できるだけ長く働く
毎月の収支が赤字になる場合は、できるだけ長く働くことで不足分を補えます。人生100年時代と言われ、企業には70歳まで労働者を雇う努力義務が求められています。少しでも長く働くことで、毎月の不足分を補うだけでなく、先々のために貯金をすることも可能です。仕事を通して、多くの人とコミュニケーションを取ることもできます。
iDeCoや個人年金保険を活用する
iDeCoは個人型確定拠出年金です。自分で掛け金を拠出して、自分が選んだ方法で運用します。60歳から受け取ることができ、運用益は非課税で、受け取る際も控除があるのが特徴です。60歳未満の方は、iDeCoで税制上のメリットを享受しながら老後資金を作ることができます。
個人年金保険は、保険商品の一つで、60歳や65歳など一定の年齢まで保険料を積み立てると、一定期間、毎年一定額の年金を受け取れる貯蓄型の保険です。
早くからiDeCoや個人年金保険を利用することで、不足分を補える程度の備えが可能です。
早くから老後に向けて備えることが大切
世帯によって収支状況は異なりますが、国の調査によれば夫婦高齢者無職世帯の1ヶ月の収支はほぼトントンで、余裕がありません。高齢単身無職世帯に限っては、1ヶ月の収支が赤字です。どちらの場合でも、早くから老後生活に備えておくことが大切です。備えがあれば、不足分を補うことができ、生活にゆとりも生まれます。
iDeCoなどを活用して、早くから老後に向けた備えを始めていきましょう。
出典
総務省「家計調査報告(家計収支編)2020年」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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