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物価が高い低いって、いったいどんな商品で決めているの?

ファイナンシャルフィールド / 2021年10月26日 12時0分

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2021年8月、5年ぶりに入れ替えとなった「消費者物価指数」の新旧対象品目を比較します。生活を映す品々やサービスの移り変わりを、皆さんの家計と重ねてみてください。

消費者物価指数とは何か?

「消費者物価指数」という名前や数値は目にすることがあっても、自分の家計とのつながりは実感が薄いのではないでしょうか。消費者物価指数について、総務省統計局の資料から抜粋して説明します(※1.)。
 

1. 全国の世帯が購入する、家計に関わる財およびサービスの価格等を総合した物価の変動を、時系列的に測定し指数化したもの。1946年から毎月作成している。
 
2. 品目には、総務省統計局実施の「家計調査」で消費者が実際に記入した家計簿の集計結果を基にして、支出額の多い品目を選んでいる。
 
3. 家計の消費支出の中で重要度が高いこと、価格変動の面で代表性があること、継続調査が可能であることなどの観点から選定し、5年ごとに改定を行っている。2020年基準改定では582品目とした。
 
4. 価格変動面での代表性をもつ基本銘柄を定めた例として、チョコレートなら「板チョコレート、50g、明治ミルクチョコレート、ロッテガーナミルクチョコレートまたは森永ミルクチョコレート」とし、毎月同じ銘柄のものを調査している(2016年8月現在 ※2.)。
 
5. ただし、信仰・祭祀費、寄付金、贈与金、仕送り金および直接税や社会保険料、有価証券の購入、土地・住宅の購入などの支出は対象から除外する。

 
多くの消費者が購入する商品を、銘柄まで決めて追跡調査しているのです。582品目とは相当な数ですね。代表選手をどれにするかが調査の有効性を左右しますから、決めるのは慎重な作業になります。
 

追加・廃止された品目から見えるもの

2020年基準改定(今年8月から変更)では、30品目を追加、28品目を廃止しました。具体的な品目を確認しましょう。
 
表1.

出典:総務省統計局「消費者物価指数2020年基準改定の概要」から引用
 
追加品目の中で、カット野菜、サラダチキン、ノンアルコールビール、ドライブレコーダー、宅配などは、昨年までの5年間に需要が伸びている実感がします。ハンバーグ、ソファ、漂白剤、葬儀料などは「今回から?」と思ってしまうのですが、全国的な嗜好(しこう)や世相の着実な変化が反映されたのでしょう。
 
一方、廃止になった品目は、技術革新による生活スタイルの変化を端的に切り取っています。そう、多くはスマホが取って代わったものですね。ここにもスマホの影響力が表れています。また、幼稚園保育料は2019年10月からの無償化施行に伴い廃止となりました。
 
なお、今回からテレビやビデオなどについては、インターネット販売価格も活用し指数を作成することになりました。購入や決済手段の多様化を無視できなくなったということです。
 
ご自身の実生活での支出傾向と比べていかがでしょうか? 表1は追加・廃止品目だけですが、全品目(※3.)と自宅の消費傾向を重ねると、家計と物価指数との連動の強弱が見えてきて、なかなか興味深いものです。
 

主な入れ替え品目の変遷

それでは、今年だけでなく、過去60年間の主な品目の変遷も見てみます。1960年以降の10年ごとの主な改廃品目一覧を抜粋しました(※4.)。
 
まさにその時代の生活と文化を反映しているといっても過言ではありません。なお、赤字下線は、この表内で追加と廃止両方が記載されている品目です。また、赤字のみの品目は、今回の見直しで廃止となっていますので、表1.の廃止欄をご覧ください。
 
表2.

出典:総務省統計局「消費者物価指数の沿革」から著者作成
 
1960年の改定時は332品目だったので、この60年で250品目増えました。調査に欠かせない品目やサービスが、それほど大量に必要になったということです。一方、ETC車載器のように5年で消えるものもあり、5年間に起きる社会や身の回りの変化が非常に速くなっていることがうかがえます。
 
最後に。
今回の改定は、コロナ禍での消費行動がほとんど反映していません。次回、ウイズコロナを経た5年後はどんな品目が追加・廃止されるのでしょう。想像ですが、例えば追加品目には各種の冷凍食品やデリバリーサービス、消毒液などが入るかもしれません。
 
一度立ち止まり、自分の生活スタイルや支出の変化を展望するのは、家計を点検するよい機会になることでしょう。
 
出典
(※1.)総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数の解説/改定の概要」
(※2.)総務省統計局「消費者物価指数の作り方」
(※3.)総務省統計局「2020年基準消費者物価指数品目情報一覧」
(※4.)総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数の解説/消費者物価指数の沿革」
 
執筆者:伊藤秀雄
CFP(R)認定者、ファイナンシャルプランナー技能士1級、第1種証券外務員、終活アドバイザー協会会員、相続アドバイザー。

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