1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

別れた妻から「年金分割」の通知が届いた。分割対象になる年金の種類とは?

ファイナンシャルフィールド / 2021年11月8日 0時0分

写真

会社員と婚姻関係にあった妻が離婚した場合、婚姻期間中の夫の厚生年金を分割して受け取ることを請求することができます。今回は、離婚時の年金分割制度について詳しく解説します。

離婚時の年金分割の概要

1.年金分割制度の基本

平成16年の年金制度改正により、平成19年4月1日(施行日)以後に成立した離婚を対象として、当事者の婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を当事者間で分割することが認められるようになりました。なお、施行日以前の保険料納付記録も分割の対象となります(※1)。
 
年金分割の方法には、「合意分割制度」と「3号分割制度」の2とおりがあります。
 

2.合意分割制度

合意分割制度とは、婚姻期間中の当事者双方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)合計額を案分割合に応じて当事者間で分割する制度です。案分割合(分割する割合)は、当事者双方の合意または当事者の一方の求めにより裁判所が決定します(※2)。
 

3.3号分割制度

3号分割制度とは、平成20年5月1日以後に離婚をした場合に、国民年金の第3号被保険者であった方からの請求により、平成20年4月1日以後の婚姻期間中の第3号被保険者期間の相手方の厚生年金記録を2分の1ずつ当事者間で分割できる制度です(※3)。
 
なお、合意分割の請求が行われた場合で、婚姻期間中に3号分割の対象となる期間が含まれるときは、合意分割と同時に3号分割の請求があったものと見なされます。従って、第3号被保険者であった方は、平成20年4月以降の期間は3号分割、それ以外の期間は合意分割となります(※2)。
 

離婚時の年金分割の具体例

離婚時の年金分割について、下図の例について解説します。
 


 

1.3号分割の対象となる第3号被保険者期間

第3号被保険者期間のうち平成20年4月以降の期間が、3号分割の対象となり夫の厚生年金記録を2分の1ずつ分割します。
 

2.合意分割の対象となる第3号被保険者期間

第3号被保険者期間のうち平成20年4月以前の期間は、3号分割の対象とはならず合意分割の対象となり、夫の厚生年金記録を案分割合に応じて分割します。
 

3.妻が厚生年金に加入していた期間

夫婦がともに厚生年金に加入していた期間の年金は、合意分割の対象となり夫婦の厚生年金記録の合計を案分割合に応じて分割します。
 
例えば、夫の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)が妻より多く、案分割合が2分の1であった場合は、下図のように夫の厚生年金記録の一部が妻に分割されます。
 


 

離婚時の年金分割の請求期限

分割請求の期限は、原則として、次の事由に該当した日の翌日から起算して2年以内です(※1)。
 

(1)離婚をしたとき
(2)婚姻の取り消しをしたとき
(3)事実婚関係にある人が国民年金第3号被保険者資格を喪失し、事実婚関係が解消したと認められるとき

 
ただし、離婚から2年を経過するまでに審判や調停などの申し立てを行った場合、本来の請求期限を経過後6ヶ月以内に審判が成立または調停が成立したなどの場合は、その日から6ヶ月を経過するまでに限り分割請求することができます。
 
また、案分割合を決定した後、分割手続き前に当事者の一方が亡くなった場合は、死亡日から1ヶ月以内に限り分割請求することができます。
 

まとめ

会社員と婚姻関係にあった妻が離婚した場合、婚姻期間中の夫の厚生年金を分割して受け取ることを請求することができます。離婚による年金の分割方法には、合意または裁判所が決定した案分割合による合意分割と、平成20年4月1日以降の第3号被保険者期間に適用される3号分割があります。年金の分割に関する相談や手続きは、お近くの年金事務所または街角の年金相談センターで行ってください。
 
出典
(※1)日本年金機構 離婚時の年金分割
(※2)日本年金機構 離婚時の厚生年金の分割(合意分割制度)
(※3)日本年金機構 離婚時の厚生年金の分割(3号分割制度)
 
※2021/11/8 図表の表記がされていなかったため、修正いたしました。
 
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください