年収400万円と800万円の会社員、年金受給額の差はどれくらい?
ファイナンシャルフィールド / 2021年11月29日 10時30分
年収の差が年金受給額にどれほど響くのか、気になっている人は多いのではないでしょうか。年収の差は、厚生年金の受給額に影響しますが、実は国民年金の受給額には関係ありません。 ここでは、年金額の計算方法とともに、年収400万円と800万円の人の年金額には、差がどれくらいあるのかを紹介します。みなさんもぜひ、この記事を参考に、ご自身の年金額を試算してみてください。
国民年金の受給額は年収に左右されない
日本の公的年金制度は、国内に住所を有する20歳以上60歳未満の全員が加入する「国民年金」と、会社員などが加入する「厚生年金」の2階建てです。2つの年金のうち、1階部分にあたる国民年金の受給額は、年収に左右されません。なぜなら、国民年金保険料を納めた月数をもとに、年金額を計算するためです。
年間の年金受給額計算式は、次の式で計算します。
年金受給年額=78万900円(満額の年金受給年額)×(保険料納付済月数+全額免除月数×4/8+3/4免除月数×5/8+半額免除月数×6/8+1/4免除月数×7/8)÷480ヶ月(加入可能月数)
20歳から60歳になるまで毎月欠かさずに保険料を全額納めた場合、年間の国民年金額は78万900円、1ヶ月あたりの受給額は6万5075円となります。
年収400万円と800万円では厚生年金の受給額はどのぐらい違う?
老齢厚生年金の基本の受給額は、現役時代の年収と厚生年金の加入月数で決まる「報酬比例部分」と、厚生年金の加入月数で決まる「定額部分」を合わせたものです。
年収に金額が左右される報酬比例部分は、次の式で計算します。
報酬比例部分=(平均標準報酬月額(※1)×生年月日に応じた率×平成15年3月までの被保険者期間の月数)+(平均標準報酬額(※2)×生年月日に応じた率×平成15年3月以降の被保険者期間の月数)
(※1)平成15年3月までの被保険者期間の標準報酬月額(手当などを含む税引き前の給与額を一定幅に区分した「報酬月額」に当てはめた金額)を合計し、平成15年3月までの被保険者期間の月数で割った金額
(※2)平成15年4月以降の被保険者期間の標準報酬月額および標準賞与額(税引き前の賞与額(千円未満切り捨て)を合計し、平成15年4月以降の被保険者期間の月数で割った金額
報酬比例部分は、現役時代の給与や賞与が多いほど、金額が大きくなります。
定額部分は、次の式で計算します。
定額部分=1628円×生年月日に応じた率×被保険者期間の月数
年収400万円の人・800万円の人の厚生年金受給額
同じ条件下で年収400万円と800万円の人の厚生年金受給額がどれほど違うのか、厚生年金の加入年数ごとに表にまとめました。
●対象者は昭和56年4月2日生まれ
●配偶者や子の状況、60歳以降の就業状況、繰り上げ・繰り下げ受給の状況などは考慮しない
●年収は生涯同一
●年金の受給開始年齢は65歳
年収\加入年数 | 40年 | 30年 | 20年 | 10年 |
---|---|---|---|---|
400万円 | 約88万円 | 約66万円 | 約44万円 | 約22万円 |
800万円 | 約176万円 | 約132万円 | 約88万円 | 約44万円 |
※令和3年度の水準をもとに概算した額です。
同じ加入年数だと、年収400万円に対して、年収800万円の厚生年金の受給額は2倍になります。
ただし、国民年金の金額は年収が違っても保険料納付月数が同じであれば同一です。また、厚生年金の受給額は、配偶者や子どもの状況、定年後の就業の有無などによっても増減します。そのため実際には、年収が2倍あっても、年金の総額が必ず2倍になるわけではありません。
年金受給額を増やすにはどうすればよい?
厚生年金、国民年金ともに20歳から59歳までしっかり支払ったあとでも、次のような方法でさらに年金額を増やせます。
●繰り下げ受給をする
●定年後に再就職して厚生年金の加入年数を増やす
老齢年金の受給開始年齢を66~70歳の間に繰り下げると、受給開始のタイミングに応じて年金額が1月につき0.7%増額されます。
例えば年収400万円と800万円の人が40年間厚生年金に加入し、受給開始年齢を70歳に繰り下げるとしましょう。この場合、国民年金は約33万円、厚生年金はそれぞれ約37万円と約74万円の増額になります。
また、定年後も厚生年金の加入資格を満たす条件で働くことも、選択肢のひとつです。厚生年金には70歳まで加入できるため、加入期間が伸びる分、退職後に受給できる年金額が増加します。
年金受給額は年収だけでは決まらない
年収400万円と800万円の例から分かるように、同じ条件のもとであれば、年収に比例して厚生年金の受給額が増えるため、国民年金を含めた総額は多くなります。しかし、加入年数や受給開始年齢などの条件が違えば、例え同じ年収でも受給額は同一にはなりません。将来の年金額を試算する際には、年収以外の要素も想定することが大切です。
【出典】
日本年金機構 老齢基礎年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)
日本年金機構 老齢厚生年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)
三井住友銀行 シミュレーション
日本年金機構 年金の繰上げ・繰下げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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