50歳でNISAやiDeCoを始めたらどれくらい節税できる?
ファイナンシャルフィールド / 2021年11月29日 13時30分
50歳ともなると、老後資金の備えがより現実的な悩みとなって迫ってきます。しかし、NISAやiDeCoなど資産形成を後押しする制度は知っていても、50歳から始めても遅いのでは? と諦めてしまう人も多いのではないでしょうか。 実際には、50歳からのスタートでも、NISAやiDeCoの節税効果は見込めます。ここでは、NISA・iDeCoの仕組みと、50歳で始めた場合の節税効果を解説します。老後に向けた資産形成の方法を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
NISA・iDeCoで節税できる仕組み
NISA、iDeCo(個人型確定拠出年金)は、いずれも投資信託などの金融商品に投資をして得た利益などについて、本来かかる税金が非課税になる制度です。NISAやiDeCoを活用すると、家計および老後資金のための、安定的な資産形成を行いやすくなります。
NISA、iDeCoの節税の仕組みについて、それぞれ詳しくみてみましょう。
NISAの仕組み
NISAは、少額から投資をする人のために設けられた非課税制度です。例えば、NISAを利用して株式や投資信託に投資をすると、運用益(配当金、売却時に得た譲渡益)に本来課税される20.315%の税金が非課税となります。
非課税となるのは、現行のNISA制度では2023年中、2024年に控えた新制度への移行後は、2028年中までに購入した商品です。毎年120万円まで非課税枠で購入でき、購入した年から5年間非課税で運用できます。未使用の非課税投資枠の翌年以降への繰り越しはできません。
5年間の非課税期間終了時には、翌年のNISA非課税投資枠に保有している金融商品を移管(ロールオーバー)できます。2024年以降、NISAは新しい制度に切り替わりますが、新制度へのロールオーバーも可能です。
iDeCoの仕組み
iDeCoは、自身で掛け金を運用し、60歳以降に掛け金と運用益の合計額を給付金として受け取る、私的年金制度です。iDeCoの利用で得られる税制上のメリットは、次の3つです。
●運用益にかかる税金(20.315%)が非課税になる
●掛け金が全額、所得控除対象となるため所得税、住民税が軽減される
●給付金受取時に「公的年金等控除」または「退職所得控除」が適用される
掛け金の額は、月々5000円を下限として、1000円単位で設定可能です。限度額は月額1万2000~6万8000円で、被保険者区分や企業年金の加入有無などによって決まる加入区分で異なります。
50歳でNISAを始めた場合の節税効果
NISAを利用すると、運用益に本来かかる20.315%の税金が節税できます。
NISAを利用して、利回り3%で50歳から55歳までの5年間積立投資を行った場合の、投資額ごとの節税効果は表1のとおりです。
《表1》
毎月の投資額 | 運用益 | 節税額 |
---|---|---|
5万円 | 23万2000円 | 約4万7000円 |
8万円 | 37万2000円 | 約7万6000円 |
10万円 | 46万5000円 | 約9万4000円 |
※金融庁「資産運用シミュレーション」を用いた概算値
実際の利回りなどにもよりますが、投資額が大きいほど大きな運用益が期待でき、節税効果も高くなる傾向にあります。
50歳でiDeCoを始めた場合の節税効果
まずは、iDeCoの拠出額に応じた所得税・住民税の節税効果を試算しましょう。毎月2万3000円を50歳から60歳まで積み立てた場合、年収別の節税効果は表2のとおりです。
《表2》
年収 | 所得税軽減額 | 住民税軽減額 | 節税額合計 |
---|---|---|---|
年収400万円 | 13万8000円 | 27万6000円 | 41万4000円 |
年収600万円 | 27万6000円 | 27万6000円 | 55万2000円 |
年収800万円 | 55万2000円 | 27万6000円 | 82万8000円 |
※iDeCo公式サイト「かんたん税制優遇シミュレーション」を用いた概算値
節税額は本来の税額が上限となるため、年収が高いほど多くの節税効果が得られる傾向にあります。
次に、運用益に対する節税効果を試算します。毎月2万3千円を50歳から60歳になるまで、利回り3%で10年間積み立てた場合、運用益の見込みは45万4000円です。運用益に対して20.315%が非課税となるため、10年間の節税額は約9万2000円となります。
NISA・iDeCoは50歳からでも遅くない!
シミュレーション結果からわかるように、NISAやiDeCoは50歳からのスタートでも節税効果が見込めます。投資額が大きいほど大きな節税効果が期待できるうえに、運用益というリターンが付いてくる点もメリットです。老後資金の不安などから、50代からの資産形成方法を模索している人は、NISAやiDeCoも選択肢に加えてみてはどうでしょうか。
出典
NISAの概要 : 金融庁
iDeCoのイイコト|iDeCoってなに?|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】
iDeCoの仕組み|iDeCoってなに?|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】
資産運用シミュレーション : 金融庁
かんたん税制優遇シミュレーション|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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