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仕事中・通勤中にけがをした…労災の支払いはいつから? 認定基準は?

ファイナンシャルフィールド / 2021年11月30日 13時0分

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「仕事中に機械操作を誤り、けがをした」「通勤中に階段から落ちてけがをした」など、仕事中・通勤中にけがをしてしまった場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。わかりやすく解説します。

労働災害(労災)とは?

労働者が仕事中や通勤中において被った負傷、疾病、死亡などのことを労働災害(労災)といい、労働者災害補償保険(労災保険)から必要な保険給付が行われます。日常生活中のけがや病気に対しての保険給付は健康保険などの医療保険制度の対象となり、業務中や通勤中の保険給付は対象外となります。
 
本来、事業主には労働者を安全に働かせるべき安全配慮義務があり、法律(労働基準法)上、労働者が仕事中に負傷し、または仕事が原因で疾病にかかった時には、事業主に療養費の負担や休業補償する責任があります。労働者災害補償保険(労災保険)は、被災労働者への補償を確実に行われるようにするため、労働者災害補償保険法(労災保険法)が制定されています。
 
労働者災害補償保険法(労災保険法)は、労働者を1人でも使用する(アルバイトやパートタイム労働者等も含む)すべての事業に強制的に適用されます(国の直営事業、官公署の事業を除く)。また、法人の取締役など労働者に該当しない人は、原則、労災保険は適用されません。
 

けがをした! 取るべき行動は?

仕事中、通勤中でけが(負傷)などをした場合、医療機関に受診の際は、その旨を受付で伝えましょう。医療機関によっては「労災ですか?」と聞いてくることもあります。労災の場合は健康保険を使用できません。労災で治療を受ける時は原則、現物給付とされ、無料で受けることができます。
 
療養(受診)した医療機関が労災保険指定医療機関の場合には、「療養補償給付たる療養の給付請求書」(※)をその医療機関に提出してください。請求書は医療機関を経由して労働基準監督署長に提出されます。このとき、療養費(受診料)を支払う必要はありません。
 
療養した医療機関が労災保険指定医療機関でない場合には、いったん療養費(治療費)を立て替えて支払います。その後「療養補償給付たる療養の費用請求書」を、直接、労働基準監督署長に提出すると、その費用が支払われます。
 
※療養補償給付たる療養の給付請求書は、労働基準監督署に備え付けてあります。
 

労災保険の支払いは4日目から

業務災害などによって休業をした場合、次の条件を満たすことで労働者の所得を保障するための給付もあります。

●労働者が業務上の事由等によるけがなどによって、療養していること
●療養のために労働することができないこと
●通算して3日間の待期期間を満たしていること

労災でカバーしてくれるのは、賃金を受けない日の第4日目からとなります。そのため、業務上のけがなどであれば、3日間は事業主が休業補償を行わなければなりません。一方、通勤中のけがなどでは補償する必要がないため、事業主によって補償するかどうかは異なります。
 
労災認定されると、必要な保険給付が受けることができます。上記の療養や休業の保険給付の他にも障害、遺族など保険給付があります。これらの保険給付についてもそれぞれ、労働基準監督署長に請求書などを提出することとなります。
 

労災の認定には基準がある

業務災害の認定基準には、業務と災害との間に一定の因果関係が必要です。労災と認められるには、業務上であれば、「業務遂行性」と「業務起因性」を満たすことをいいます。業務上であっても私的行為や業務を逸脱するような原因となったけがなどは業務外となります。
 
多様な働き方により、副業や兼業をする複数事業で労働する人の場合、法改正により複数就業先での業務負荷を総合的に評価して労災認定を行うことになりました(原則、けがなどをした時点で複数の会社などで働いている人が対象で例外もあります)。
 
通勤中であれば、「通勤による負傷に起因する」「通勤に起因することの明らか」であることが必要です。通勤とは「就業に関し」「合理的な経路および方法」「業務の性質を有するものを除く」という3つの要件を満たし、かつ住居と就業の場所との間の往復などであることを言います。
 
例えば、会社帰りに長時間寄り道(逸脱)するような、私的な食事会等については、その間とその後は通勤と認められないので注意が必要です。
 

まとめ

仕事中や通勤中に被ったけがなどは、労災保険の給付対象ですので、健康保険を使用できません。つまり、仕事中や通勤中に被ったけがの治療については、労働者自身もしくは事業主が労災保険と健康保険のどちらを使用するか選択することはできず、必ず労災保険へ手続きを行わなければなりません。
 
もし、誤って健康保険を使用した場合は、一時的に全額自費扱いとなるため、労働者にとって大きな負担です。そのため、医療機関で受診される際にはけがなどの原因を詳しく伝え、最初から労災保険扱いで診療を受けましょう。
 
出典
厚生労働省「労働者災害補償保険法の改正について~複数の会社等で働かれている方への保険給付が変わります〜」
厚生労働省「お仕事でのケガ等には、労災保険!」
全国健康保険協会(協会けんぽ) ホームページ
 
執筆者:三藤桂子
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士

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