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生命保険を使った節税対策 相続税ではなく、一時所得による節税の仕方 その2

ファイナンシャルフィールド / 2021年12月5日 11時10分

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前回「その1」では、生命保険を使った節税方法の比較を行い、資産家の方の場合は生命保険金を相続税の対象にするより、所得税(一時所得)の対象にした方が節税効果が大きいことを説明しました。   今回は、その詳細について説明するとともに、なぜそうなるのか解説していきたいと思います。

方法Aと方法Bの節税額の違い

生命保険金への課税方式の違いによる節税効果の差について、「その1」の事例で説明したとおり、保険金に相続税が課される「方法A」より、一時所得と見なされて所得税が課される「方法B」を採用した方が節税できることが分かりました(比較条件など詳細については「その1」をご参照ください)。

方法Aの税額合計 4950万円
方法Bの税額合計 2251万4650円
節税効果の差 2698万5350円

「その1」での結論は、被相続人が相続人に保険料を贈与し、保険料負担者を相続人にする方法、すなわち方法Bの方が節税効果が大きいということです。その理由について説明していきます。
 

生命保険金を所得税(一時所得)の対象にした方が節税効果が大きい理由

税額計算の前提となる事例は「その1」で説明していますが、以下のとおりです。

【事例】

被相続人:父
相続人:長男、次男 計2人
その他の相続に関する事実関係は、「その1」をご参照ください。

 

1. 生命保険金に対する課税対象額が違う

方法Aの場合の課税対象額

保険金:1億円
生命保険金に対する非課税枠:△1000万円
方法Aの課税対象額 9000万円(100)*

方法Bの場合の課税対象額

保険金:1億円
生命保険金に対する一時所得非課税部分:△6575万円
方法Bの課税対象額 3425万円(38)*

方法Aの場合、生命保険金に対する非課税枠は500万円×法定相続人の数(2人)=1000万円で、9000万円が課税の対象になります。それに対し、方法Bは一時所得となるので、保険金から50万円+支払保険料3100万円が控除でき、さらにその差額の1/2しか課税対象になりません。

保険金1億円-3100万円(支払保険料)-50万円(特別控除額)=6850万円
課税対象額 6850万円×1/2=3425万円(38)

すなわち、一時所得は支払保険料が控除でき、さらにその金額が1/2になるので、課税対象額が大幅に小さくなります。この計算が適用される限り、保険金が大きくなればなるほど差は広がり、方法Bが納税者にとって有利な節税対策となります。
 
この場合は、方法Aの課税対象額が9000万円、方法Bの課税対象額は3425万円なので、方法Aの課税対象額を100(*)とした場合、方法Bの課税対象額は38(*)となります。
 

2. 課税対象額への税率が違う

課税対象額ほど差は大きくはありませんが、方法Bの方が税率が低くなります。
 
方法Aでは資産家の方を想定して、基礎控除後の法定相続人1人当たりの法定相続分に応じる取得金額が6億円以上のケースで計算しました。その場合は、相続税率が最高税率の55%になります。
 
一方、方法Bでは相続人の所得に対して課税されるので、相続人を年収1000万円と仮定し、それに3425万円の一時所得が加算されるという前提で計算しています。その場合の税額増は、約1600万円になるので、保険金による所得増額3425万円の46%になります。
 
この55%と46%の違いが節税効果に影響するため、余分にかかる被相続人から相続人への保険料に関する贈与税などを考慮しても、方法Bの方が節税メリットがあることになります。
 
ただし、この方法では遺産総額、生命保険金額、相続人の所得金額、贈与の対象となる保険料が変われば、節税効果も変わってくることに注意が必要です。
 

まとめ

資産家であるほど、相続における生命保険の活用は、相続税課税ではなく、一時所得課税とした方が、より大きな節税効果が得られる傾向にあります。
 
税金の計算は複雑なので、この記事では皆さまにイメージがわくように、骨子だけをお伝えしました。節税対策として実際に行う場合には、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

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