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103万の壁は確認した? 10月に行われた最低賃金改定で影響を受ける人とは?

ファイナンシャルフィールド / 2021年12月21日 22時30分

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最低賃金は、「最低賃金法」という法律に基づいて定められており、毎年10月に改定されます。   そのため、現在最低賃金額で働いている人に対しては、きちんと改定後の金額になっているかどうかを確認する必要があるとともに、扶養範囲内で働きたいと思っている人などは、改定によって所得金額がこえないように注意する必要があります。

最低賃金とは

冒頭で述べたとおり、最低賃金とは「最低賃金法」に基づいて国が最低額を決定するもので、使用者はその額以上の賃金を支払う必要があります。
 
もし、使用される側が最低賃金以下でも構わないといったとしても、それによって決められた金額が最低賃金よりも下回っている場合は、その契約は無効となるばかりでなく、使用者は罰金を払わなければなりません。
 
また、最低賃金は全国一律ではなく、都道府県によって異なります。ちなみに改定後の最低賃金がもっとも高いのは東京都で1041円(改定前:1013円)、もっとも低いのは高知県と沖縄県で820円(改定前:792円)となっています。
 
2021(令和3)年10月の改定により、全国平均で930円となり、前年(902円)と比べ、28円の上昇となっています。
 

■最低賃金が適用されるのはどんな人?

最低賃金は、職種や業種、雇用形態に関係なく、すべての労働者に対して適用されます。したがって、アルバイトやパートの方も対象ですし、試用期間中であっても対象となります。なお、派遣の場合は、派遣先の都道府県の最低賃金が適用されます。
 
また、企業の本支店など勤務先が分かれている場合は、自分の勤務先が所在する都道府県の最低賃金が適用されます。
 

■最低賃金の対象となる賃金とは?

最低賃金が適用される賃金は、所定内給与のうち、「基本給」および「諸手当」です。だたし、手当のうち「通勤手当」や「家族手当」は含まれません。
 
また所定内給与が対象となることから、時間外手当や休日出勤手当も対象となりませんので注意が必要です。最低賃金の対象外となる賃金については、厚生労働省によって図表1のとおり決められていますので、参考にしてください。
 
【図表1】


(出典:厚生労働省「対象となる賃金は?」(※2))
 

最低賃金の改定で月額どのくらいのアップとなる?

改定後の最低賃金がいくらになっているかで異なりますが、全国平均である28円の増加が適用された場合の、1日の労働時間が8時間、月の労働日数が20日と決まっている場合であれば、
 
28円×8時間×20日=4480円
 
の増加です。月の増加額ですので、10月~12月までの3ヶ月であれば、その3倍である1万3440円のアップとなります。
 

103万円の壁に注意

扶養範囲内で働きたい人で、収入が給与収入であるならば、所得税を納めなくて済むボーダーラインは103万円です。なぜなら、給与収入の場合、経費相当額として給与所得控除が適用されるためです。
 
給与所得控除の額については、収入によって異なりますが、給与収入が162万5000円までであれば、55万円です。さらに、基礎控除額として48万円が引かれることから、
 
103万円-55万円-48万円=0円
 
となり、所得税は課税されません。ただし、住民税は課税方法が所得税と異なることから、課税対象ですので注意が必要です。
 

■1日の労働時間と月の労働日数の調整が必要

ちなみに、東京都の最低賃金(改定後)の場合、1日8時間、月20日間の場合の最低賃金は、1041×8時間×20日=16万6560円です。
 
もし、1年間この雇用形態で働いた場合、年間の給与収入は199万8720円となり、確実に給与所得控除の適用を受けたとしても完全に103万円の壁をこえてしまいます。
 
したがって、103万円の壁をこえないためには該当する都道府県の改定後の最低賃金を基に、1日の労働時間を何時間までにするか、また週に働く日数などを調整する必要があります。さらに、所定内給与以外に加算される各種手当なども考慮しておく必要があるでしょう。
 

まとめ

最低賃金が適用されるのは、あくまでも毎月支払われる賃金で、残業代や各種手当などは対象外です。しかし、給与収入として計算されるものには残業代や各種手当があり、税金を引かれる前の額です。
 
したがって、扶養範囲内で働きたいと思っている場合は、最低賃金が改定されることによって、どのくらい増額するのかを計算し、最終的な労働時間を調整するようにしましょう。
 
なお、改定前および改定後の最低賃金額が、すでに最低額以上となっている場合は、改定によって影響を受けることはありません。影響を受けるのは、改定によって毎月支払われる金額が変わる場合ですので、事前に調べておくと安心です。
 
出典
(※1)厚生労働省「令和3年度地域別最低賃金改定状況」
(※2)厚生労働省「対象となる賃金は?」
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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