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「ひとり親控除」と「寡婦控除」「寡夫控除」は何が違う?

ファイナンシャルフィールド / 2022年1月7日 12時0分

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令和2年分の所得税の申告から新たに創設された制度として「ひとり親控除」がありますが、「寡婦控除」「寡夫控除」と何が異なるのでしょうか。この記事では、これら3つの所得控除の違いを解説します。

ひとり親控除

ひとり親控除はその名のとおり、納税者がひとり親の場合に受けられる所得控除です。
 
所得控除とは条件に該当した場合、所得税の計算上の所得から一定の金額を引くことができる税額を軽減するための制度です。ひとり親控除は、令和2年分の所得税の計算から適用できる比較的新しい制度で、所得控除の金額は35万円となっています。
 
ひとり親控除の対象となるのは、以下の3つの要件を満たす婚姻をしていない方です。
 

<ひとり親控除を受けられる方>


●その年の12月31日時点で、事実婚を含めて婚姻をしていない方。または配偶者の生死が不明である一定の方
●生計を一にする子がいること
●合計所得金額が500万円以下であること

※上記における子とは、当該年分の総所得金額等が48万円以下で、他の人に扶養されていない方や、婚姻して配偶者と同一生計になっていない方のことをいいます。
 

寡婦控除

寡婦控除は、その年の12月31日時点で寡婦の方が利用できる所得控除です。寡婦控除の金額は27万円ですが、ひとり親控除の利用者は寡婦控除を適用できません。
 
寡婦控除の寡婦とは、12月31日時点で「ひとり親」に該当しない方、および事実婚を含めて婚姻をしていない方で、以下の「1.」または「2.」に当てはまる方のことをいいます。なお、以下で表記している夫とは民法上の婚姻関係にある方のことです。
 

<寡婦控除の寡婦に該当する方>


1. 夫と離婚後に婚姻をしていない方で、扶養親族がおり、合計所得金額が500万円以下の方
2. 夫と死別後に婚姻をしていない方、または夫の生死が不明な方で、合計所得金額が500万円以下の方

ひとり親控除は子がいることが前提の制度ですが、寡婦控除は子がいない方も対象範囲に含まれています。なお、上記は令和2年分以降の寡婦控除の制度内容で、令和元年分以前は対象範囲や控除額が異なります。
 

寡夫控除

寡夫控除は、令和元年分以前までの制度です。制度自体はひとり親控除に置き換わりましたが、違いを理解するために寡夫控除の内容についても説明します。
 
寡夫控除は、その年の12月31日時点で寡夫である方が利用できる所得控除で、所得控除の金額は27万円です。寡夫とは、12月31日時点で以下の要件を満たしている方のことをいい、以下で表記している妻とは民法上の婚姻関係にある方のことです。
 

<寡夫控除の寡夫に該当する方>


●妻と死別後、または妻と離婚後に婚姻をしていない方、または妻の生死が不明である一定の方
●生計を一にする子がいること
●合計所得金額が500万円以下であること

※上記における子とは、当該年分の総所得金額等が38万円以下で、他の人に扶養されていない方や、婚姻して配偶者と同一生計になっていない方のことをいいます。
 
要件を見比べてみると、寡夫控除に該当する方は、ひとり親控除の対象であることが分かります。寡夫控除は原則、夫のための制度でしたが、より対象範囲が広い、ひとり親控除に置き換わったということです。
 

まとめ

昨今、「ひとり親世帯」を支援する制度は拡充の方向で動いています。令和3年では「低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金(ひとり親世帯分)」が支給されたのも記憶に新しいところです。
 
一方で、「寡婦」は子がいない方も対象範囲に含む点は見落とさないようにしましょう。例えば、「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」はその名のとおり、ひとり親世帯だけでなく寡婦も対象になっています。
 
こうした支援制度を漏れなく活用するためには、正確な情報収集が大切になります。
 
出典
国税庁 No.1171 ひとり親控除
国税庁 No.1170 寡婦控除
国税庁 No.1172 寡夫控除
厚生労働省 低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金(ひとり親世帯分)
男女共同参画局 母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
 
執筆者:遠藤功二
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)

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