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2022年1月1日開始! 働く65歳以上が知っておきたい雇用保険の新制度って?

ファイナンシャルフィールド / 2022年1月21日 0時10分

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2022年4月には年金改正が予定されていますが、企業にとって、いかに高齢者雇用を進めるかというのは非常に大切な指針のひとつです。昔は60歳定年でよかった雇用が65歳までの雇用継続義務、そしてこれからは70歳までの雇用義務努力が企業に課されます。   ただ、65歳からの雇用は、正社員だけでなく、パート、アルバイト、期間雇用社員、嘱託、出向などさまざまです。今回は、65歳以上の方にぜひ知っていただきたい雇用保険の新制度についてお話しします。

これまでの雇用保険の使い方

雇用保険といって思いつくものの1つが「失業した時に受け取れる給付」ということでしょうか。ところが、今は、再就職をした時に受け取れる給付、育児休業や介護休業をした時の給付、もしくは教育訓練を受講した時の給付など、雇用保険に加入している労働者が受け取れる給付は多岐にわたります。
 


(出所:ハローワーク インターネットサービス「雇用保険制度の概要」(※1))
 
そのうち、定年前後の方が受け取ることの多い給付は、失業した時の基本手当や高年齢求職者給付金と、賃金が一定割合で下がった時に雇用を継続したまま受け取れる高年齢雇用継続給付金です。
 
65歳以上で働く場合、雇用保険に加入するかどうかはケースバイケースですが、今回のこの改正で、高齢者が雇用保険に加入して働くという選択肢が増えることが予想されます。
 

雇用保険マルチジョブホルダー制度の適用はだれ?

従来の雇用保険制度では、勤務先で雇用保険に加入するためには、(1)週所定労働時間20時間以上、かつ(2)31日以上の雇用見込みなどの適用条件を満たす必要があります。
 
ところが、新しい制度では、複数の仕事を掛け持ちするような65歳以上の労働者でも、そのうち2つの勤務先での勤務を合計して加入条件を満たせば、特例的に雇用保険の被保険者となることができます。適用条件は以下のとおりです。
 


(出所:厚生労働省「雇用保険マルチジョブホルダー制度の申請パンフレット」(※2))
 
健康保険や厚生年金に加入することは難しいパートであっても、雇用保険だけ加入しているというケースはあります。
 
ただ、今後は、この新制度に該当しても、通常の会社で把握している条件は、自社の労働条件だけでしょうから、該当しているかどうかを労働者自身で申し出をしなければなりません。ただ、自分から「加入します」と申し出をしても、自分で「やめます」と任意に脱退はできない点には注意しましょう。
 

マルチジョブホルダー制度のメリット・デメリットを考える

メリットとしては、やはり雇用保険の給付を受け取れることでしょう。
 
失業した場合に、被保険者期間が通算して6ヶ月以上あることなどの一定条件を満たせば、30日分、または50日分の高年齢求職者給付金が受け取れます。2つの勤務先のうち1つの勤務先のみ退職した時に受給できるというのも、メリットといえるでしょう。
 
デメリットとしては、労働者本人が、勤務先に必要書類を依頼して、ハローワークに行って手続きを申請しなければならない点です。
 
今はハローワーク関係の書類は、ほぼすべてを電子申請することが可能ですが、この手続きについては、複数の会社の書類に作成してもらった紙の申請書を提出する必要があるのです。
 
複数の勤務先で働いていると、わざわざハローワークに行くのも面倒くさい、もしくは会社が提出に同意してくれるかわからないという不安もあるでしょう。その場合の、Q&Aが公開されています(※3)。
 
例えば、ハローワークに行く時間がないという場合には「委任状があれば、代理人でも可能」、事業主の同意が取れないという場合には、「事業主の同意は不要。また、事業主からの協力を得られない場合は、マルチ高年齢被保険者として申し出をする方が記載する箇所について記載した届出様式等を持参の上、住居所管轄ハローワークへご相談ください」と回答がされています。
 
65歳以上の方の働く理由は、「年金が思ったより少ないから」や「生きがいのため」などさまざまです。副業や兼業など、1つの職種にこだわらない多様化した働き方は今後も増えてくるでしょう。
 
今回の新制度は、事業主から教えてくれるわけではない点において一気に普及するとは考えにくいですが、思いがけない離職の場合には、雇用保険は本当に役立つ制度です。ぜひ利用を進めていただきたいものです。
 
(※1)ハローワーク インターネットサービス「雇用保険制度の概要」
(※2)厚生労働省「雇用保険マルチジョブホルダー制度の申請パンフレット」
(※3)厚生労働省「Q&A〜雇用保険マルチジョブホルダー制度〜」
 
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

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