老後資金が不安……40代からできる準備にはどんなものがある?
ファイナンシャルフィールド / 2022年4月23日 23時40分
「40代を迎えたので、そろそろ老後のお金を準備したい」という方は多いと思います。40代は人生の折り返し地点といわれており、退職後の第二の人生に向けて準備を始めてもいい時期です。この記事では、40代から始める老後資金の準備の方法について解説します。
公的年金額を確認する
老後の資金の準備を始める前に、将来受け取れる公的年金の金額を確認しましょう。公的年金は、国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金(老齢厚生年金)に分けられます。
国民年金の受給額
国民年金は、20歳から60歳まで40年の加入期間に満額の保険料を納めると、原則65歳から年間で約78万円が受け取れる基礎的な年金制度です。
会社員の方で厚生年金保険料を納めている方は、国民年金保険料を納めていることになっています。
海外居住期間がある方、保険料の納付を免除されていた期間がある方や学生納付特例を利用した方で、その後、保険料を追納していない場合など、40年間分の保険料の納付期間がない方でも、10年以上の保険料納付済期間があれば、納付した期間に応じた年金が支給されます。
例えば20歳から60歳のうち、20年間を海外、20年間を日本で過ごしたため、保険料の納付期間が20年しかない方は、満額となる約78万円の2分の1である約39万円が年間の国民年金の受給額になります。
厚生年金の受給額
厚生年金の受給額は、収入と加入期間のほか、加入時期によっても異なります。
今後の収入が変動するリスクがある以上、40代のうちに将来受け取れる厚生年金の確定金額を試算することはできませんが、支給額は下記の式で計算できますので、生涯におけるおおよそ収入を基に目安となる金額を確認してみましょう。
<厚生年金の受給額の計算方法>
受給額=(1)+(2)
(1)平成15年3月以前の加入期間
平均標準報酬月額×7.125÷1000×平成15年3月までの加入期間の月数
(2)平成15年4月以降の加入期間
平均標準報酬額×5.481÷1000×平成15年4月以降の加入期間の月数
老後に必要な金額を計算する
おおよその年金収入が確認できたら、将来の支出の金額を基に必要な老後資金を計算してみましょう。
例えば、65歳以降の1ヶ月の支出が30万円、年金収入が20万円の方であれば、100歳までに必要な金額は、(30万円-20万円)×12ヶ月×35年=4200万円ということになります。
毎月必要な貯蓄額を試算する
40歳の方が65歳までは働き、その25年間で4200万円を貯めるなら、毎月の貯蓄額は、4200万円÷12ヶ月÷25年=14万円となります。
「毎月14万円の貯蓄は難しい」という方には、長く働いて年金の受給開始年齢を遅らせる、投資で資産を増やす、といった方法があります。
長く働くことで年金受給開始年齢を遅らせる
公的年金の受給額は、受給開始年齢を1ヶ月遅らせるごとに0.7%増加します。令和4年4月からは、受給開始年齢の上限が75歳まで引き上げられています。
先述した65歳からの年金収入20万円のケースで、老後も働き、年金の受給開始年齢を70歳まで5年間(60ヶ月)遅らせた場合の受給額は、20万円×1.42=28万4000円になります。
この場合、100歳までに必要な金額は、(30万円-28万4000円)×12ヶ月×30年=576万円となり、必要な老後資金をかなり減らせます。
投資で資産を増やす
現在は低金利時代のため、老後に必要な金額を貯蓄だけで準備するのは効率的ではありません。投資で資産を増やすことができれば、貯蓄よりも少ない金額で目標の老後資金を用意することも可能となります。
例えば、株式投資信託に月8万円の積み立てを25年間行い、結果的に年3.8%の利回りで複利運用できた場合の投資資産は約4000万円になります(筆者試算)。
ただし、投資の利回りは確定ではない上、リスクもあるため、基本を守って運用する必要があります。
投資の基本は、長期投資、分散投資、積立投資です。先述の例のように積立期間が40歳から65歳までの25年に及ぶ場合、長期的な目線で経済成長を見込んだ投資が可能です。
株式系や債券系の投資信託など、価格変動が異なるさまざまな種類の投資信託に分散投資を行っていると、資産全体の価格変動幅が抑えられます。
また積立投資では、基準価額が安いときに多くの数量が買え、高いときには買える数量が少なくなる「ドルコスト平均法」の効果で取得単価が平準化されるため、価格の上昇時に値上がり益を得られる可能性が高まります。
長期投資、分散投資、積立投資を組み合わせることで、資産形成の成功の可能性を高めることが期待できます。
投資非課税制度を利用
投資による老後資金の準備としては、確定拠出年金やつみたてNISAといった、投資で得た運用益が非課税になる制度を利用できます。
本来、投資信託の運用で得た利益に対しては、20.315%の税金がかかりますが、投資非課税制度を利用することで、可能な限り手元に多くの資金を確保することができます。
まとめ
老後の資金については、公的年金の受給額、老後生活に必要な支出から計算し、貯蓄で用意するほかにも、長く働くことで年金受給開始年齢を遅らせる方法や、投資をしながら資産形成をする方法があります。
老後になって慌てることがないように、早い段階から準備を進めていきましょう。
出典
日本年金機構 老齢年金ガイド 令和4年度版
日本年金機構 令和4年4月から年金制度が改正されました
執筆者:遠藤功二
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)
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