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孫に資金を遺したい。贈与税がかからない方法って?

ファイナンシャルフィールド / 2022年5月12日 9時30分

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高齢の方が生きているうちに孫へ財産を遺したいと考えた場合、孫が効率よく財産を引き継ぐためにはどんな方法があるのでしょうか。今回は、祖父母から孫への生前贈与と贈与税について解説します。

孫への生前贈与と贈与税の課税方法

生前贈与とは、個人(ここでは祖父母)が生きている間に、別の個人(ここでは孫)へ財産を贈与することです。
 
個人から贈与を受けたときには贈与税がかかりますが、祖父母が孫へ生前贈与を行ったときの贈与税の課税方法には以下の2つがあります(※1)。
 
1つは暦年課税ですが、この場合は1人の孫が1月1日から12月31日の1年間に贈与を受けた財産の合計から、基礎控除額110万円を差し引いた残りの金額が贈与税の課税対象となるため、年間の合計贈与額が110万円以下なら贈与税はかかりません。
 
もう1つは相続時精算課税です。
 
こちらは原則、60歳以上の父母または祖父母から20歳以上(令和4年4月以降の贈与は18歳以上)の子や孫が受けた贈与に対して選択できる課税方法で、特別控除額2500万円(前年以前に控除を適用した場合は、その残額)までは贈与税が非課税となり、非課税枠を超える金額に一律20%の税率で算出した贈与税がかかるようになります。
 
ただし、贈与者である祖父母が亡くなった場合、贈与された金額は贈与時の価額で相続財産に加えて、相続時に相続税で清算します。また、相続時精算課税を選ぶと暦年課税に戻すことはできません。
 
相続時精算課税を選択する際は、贈与を受けた方が期限内に税務署へ相続時精算課税選択届出書などを提出する必要があります(※2)。
 

暦年課税なら110万円以下の贈与には税金がかからない?

暦年課税では前述したとおり、1年間に贈与を受けた財産の合計が110万円以下なら贈与税はかかりませんが、例えば祖父母がそれぞれ110万円ずつ、1人の孫に贈与した場合は贈与財産が合計220万円となり、基礎控除額の110万円を超える部分に贈与税がかかります。
 
このように年間で孫が贈与を受ける財産の合計額によって、非課税となるか、贈与税が課税されるかが変わってきます。
 
また、毎年同じ金額を同じ時期に1人の孫に贈与すると、まとまった金額を分割して贈与する定期贈与と見なされることがあります。
 
年によって贈与する金額や時期を変える、孫が複数人いる場合はそれぞれに分けるなどの工夫が必要となるため、もし不安なときは税理士に相談するといいでしょう。
 

孫が祖父母の相続人となる場合は注意

相続税には、相続開始前の3年以内に受けた贈与財産の加算があります(※3)。
 
相続人は、被相続人から相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡日までの間)に暦年課税にかかる贈与で財産の取得があった場合、相続財産の課税価格に贈与を受けたときの財産の価額が加算されます。
 
祖父母が亡くなった場合、通常の相続では孫は法定相続人になりません。そのため、上記の加算は孫には適用されないということになりますが、注意が必要な方もいます。
 
例えば祖父母の子ども、孫にしたら親が亡くなっていた場合は、孫が代襲相続人になります(親が相続放棄していた場合は代襲相続人には該当しません)。また、祖父母と孫が養子縁組をしていたら子どもとなるため、孫は法定相続人となり、該当するケースでは贈与財産が相続税の課税対象となります。
 
祖父母がいつ亡くなるか分からないというリスクもあるので、生前贈与は早めに計画を立てて行う方がいいでしょう。
 

贈与税がかからない他の贈与の方法は?

祖父母から孫への生前贈与について、贈与税がかからないものには以下があります(※4)。

(1)祖父母が孫の扶養義務者の場合、扶養義務者から生活費や教育費に充てるために贈与を受けた財産で、通常必要と認められるものには贈与税がかかりません。
ただし、必要な都度、生活費や教育費に直接使われるものに限られ、預金や株式などの購入資金に充てた場合は贈与税の課税対象となります。
 
(2)直系尊属の祖父母から孫が住宅取得等資金の贈与を受けたとき、一定の要件を満たすと贈与税がかかりません。
 
(3)直系尊属の祖父母から孫が一括贈与で教育資金を受けた場合は、一定の要件を満たすことで贈与税がかかりません。
 
(4)直系尊属の祖父母から孫が一括贈与で結婚・子育て資金を受けた場合は、一定の要件を満たすことで贈与税がかかりません。

いずれも対象となる贈与額などの要件や適用できる期限については、事前にご確認ください。
 

まとめ

祖父母が孫のために財産を遺してあげたいという気持ちから、財産移転について早めに決めておき、後の世代へ資産をつなげていくのは大切なことです。
 
生きているうちに自分の財産を誰に遺していくかをしっかりと見極め、後悔のない人生にしていただきたいと思います。
 

出典

(※1)国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
(※2)国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
(※3)国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
(※4)国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
 
執筆者:上山由紀子
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者

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