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親が認知症を発症! 親の年金の取り扱いで注意すべきことは?

ファイナンシャルフィールド / 2022年6月29日 10時50分

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Aさんは最近、1人暮らしの母親の自宅に、大量のインスタントコーヒーがあるのに気が付きました。封の空いた同じ種類のビンが10本以上もあり、新品のものも数本あります。   そのほかにもいろいろとおかしいところが気になり、病院に連れて行ったところ、初期の認知症と診断されました。   もし親が認知症になってしまったら、親の年金はどのように取り扱い、どのように手続きすればよいのでしょうか? いざというときに困らないように理解しておきましょう。

介護している家族ができること

いろいろな窓口で、認知症の親の代わりに家族が手続きをしようとすると、「成年後見人でないと手続きできない」といわれるでしょう。認知症になると、法律的には成年後見人のお世話になることになります。
 
しかし、後述のようにいったん利用を開始すると、本人が亡くなるまで取り消すことができないなど、いろいろなデメリットがあります。安易に利用すると、後悔することになるかもしれません。
 
認知症が軽度であれば親に同席してもらい、それぞれの窓口で状況を説明することで、解決策を相談できます。窓口の方も、お金にからむ手続きは慎重になりますが、「自分の親のため」という誠意が伝われば、なんらかの方法を案内してくれる可能性があります。
 

郵便物の宛先変更

認知症になると、大切な郵便物を失くしてしまうことが頻繁に起きます。捨ててしまったり、とんでもない場所から出てきたりします。
 
まずは、郵便局に転送届を出して、親宛ての郵便物は、近くに住んでいる親族で介護の中心となる人(以後介護者と表記)の住所に転送してもらいましょう。郵便局により対応が異なる場合がありますので、ぜひ窓口で相談してください。
 
ただし、転送不要や簡易書留などの郵便物は転送できません。最低でも週に一度は、そのような郵便物や宅配便が届いていないか、見に行くようにしましょう。
 
年金関係の郵便物の中には、源泉徴収票や届け出が必要な書類など、重要な書類があります。年金事務所で事情を説明し、郵便物の送付先を、介護者の住所に変更するよう申請しましょう。
 
こちらも、成年後見人であればスムーズに手続きできますが、介護者でもできる方法が用意されています。手続きには、親子関係を証明するもの、本人確認書類など、指定された書類が必要です。詳細は年金事務所でご確認ください。
 
親の認知症に関しては、年金関係だけでなく、自治体の行政サービスにおいても対策が必要です。
 
自治体から郵送されてくる書類の中には、給付金や新型コロナワクチンの接種券など、転送不要となっている重要なものもあります。送付先の住所を介護者の住所に変更できる場合もありますので、ぜひ行政窓口で相談してください。
 

親の年金に関する手続き

親が介護施設へ入所した際など、住所が変わった場合は、住所変更の手続きを行います。住所は介護施設の住所ではなく、介護者の住所にすることが一般的です。介護施設とよくご相談ください。
 
必要に応じて、遺族年金について申請を行います。例えば、老齢厚生年金を受け取っていた父が亡くなり、認知症の母が遺(のこ)された場合、母親の代わりに遺族厚生年金の手続きが必要になります。忘れずに手続きしてください。
 
親が死亡した場合は、受給権者死亡届(報告書)が必要です。ただし、日本年金機構にマイナンバーを登録している場合は省略できますので、事前に登録しておくとよいでしょう。
 

預貯金の管理

認知症が進むと、お金の管理がうまくできなくなります。年金が振り込まれる口座の通帳やキャッシュカードを頻繁に失くし、盗まれた(取られた)と言い出すこともあります。
 
「取られないように」と見つかりにくいところに隠し、隠したことを忘れてしまうこともあるのですが、本人にすれば、いつもの場所にないので盗まれたと思ってしまうケースもあります。できれば、通帳やカードは介護者が保管するようにしましょう。
 
また、銀行の窓口で事情を説明し、銀行からの郵便物の送付先を介護者の住所宛てに変更できないか相談しましょう。同時に、通帳やカードを預かっている場合は、そのことも知らせておきましょう。本人が再発行に来ても、介護者に連絡するようお願いしておきます。
 
銀行によっては、家族用のキャッシュカードを作ってくれるところもあります。少額の現金での支払いは、家族用のカードで引き出すことも可能です。
 
近年は、認知症の人が増加傾向にあるので、柔軟な対応をしてくれる銀行もあります。相談してみましょう。
 

成年後見制度は最後の手段?

認知症で判断能力が低下すると、お金の管理ができなくなります。成年後見制度は、そのような方の生活と財産管理を支援できます。
 
しかし、今の成年後見制度には、以下のデメリットがあることを知っておきましょう。
 

1. 申立費用

成年後見制度の申請に費用がかかります。
 

2. 後見人は家庭裁判所が選任する

多くは専門家が選任され、不服申し立てはできません。
 

3. 解約できない

後見人が選任されると、被後見人が死亡するまで解約できません。
 

4. 後見人への報酬

後見人に最低月2万円+実費を支払う必要があります。管理する財産が多いと報酬も高くなります。
 

5. 自由に財産を使えない

親のためであっても、後見人の承諾がないと財産を使うことができません。親族が後見人になれれば、後見人への報酬がなくても問題ありません(※1)。お金の管理や各種手続きも、後見人である親族ができるので、活用したいところです。
 
しかし、後見人を選任するのは家庭裁判所ですので、必ず親族が後見人になれるとは限りません。親が認知症になったからといって、必ず後見制度を利用しないといけないわけではありません。成年後見制度を利用するか否かは、慎重にご判断ください。
 
(※1)
親族が成年後見人になる場合は、後見監督人が付くことが一般的です。監督人が付いた場合は、その人への報酬が発生します。
 

まとめ

今回は、年金関連の対応を中心にご説明しましたが、認知症を発症すると、普段の買い物から炊事・洗濯、さらには振り込め詐欺の対策など、多くの問題が発生します。1人で抱え込まずに、まずは地域包括支援センターにご相談ください。
 

出典

日本年金機構 認知症の方などを支援される皆様へ 知っておきたい年金のポイント

一般社団法人全国銀行協会 預金者ご本人の意思確認ができない場合における預金の引出しに関するご案内資料の作成について
 
執筆者:植田周司
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、円満相続遺言支援士(R)

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