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【税金相談】職場から「正社員にならないか」といわれています。正社員になることにどのようなメリットがあるのか、税金関係はどうなるのか、教えてください

ファイナンシャルフィールド / 2022年7月26日 4時20分

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Aさんは現在パート社員ですが、正社員にならないかと提案を受けています。   子どもが小学生になったので、フルタイムで働くことは問題ありませんが、正社員になるメリットと、主に税金面がどうなるのか気になっています。FPが解説します。   現在Aさんは、会社員の夫の扶養家族になっていて、扶養家族の上限を超えない範囲で、パートタイムで働いています。   正社員になると、Aさんの収入は増えますが、夫の扶養家族から外れることにより、夫の扶養控除がなくなり、夫の所得税、住民税が増えます。このようにAさんが正社員になることで、世帯全体での収入と負担がどうなるかを把握しておくことが重要です。

正社員になるメリット

最初に、Aさんが正社員になることのメリットを考えてみましょう。
 
働く時間が増えれば収入が増加します。ボーナスも期待できます。厚生年金に加入することで、65歳から受け取る厚生年金が増えます。さらに雇用保険にも加入することで、会社を辞めた時に失業給付を受け取ることができます。
 
会社の福利厚生には、厚生年金などの法律で決められている法定内福利と、それ以外の法定外福利があります。法定外福利は企業が自主的に定めている制度で、例えば住宅費補助や家族手当などがあります。
 
多くの場合、パートやアルバイトには適用されません。資格取得や社員研修などに力を入れている会社もあります。退職金が出る場合もあります。
 
正社員になると、基本的には解雇の心配がないので長期に収入が安定します。スキルや経験を積み、昇進や昇給を期待できます。また、スキルや経験をもとに、転職しやすいということもいえます。
 
ただし、仕事の時間が増えることで家事の負担が増大します。家族の協力がないと、正社員として働くのは難しいかもしれません。仕事の責任が重くなることや、転勤を命じられることもあります。転勤の有無については、事前に確認しておきましょう。
 

税・社会保険への影響

世帯の収入として考えた場合、以下のように税・社会保険料の負担が増えます。
 

1. 本人の税金

年収に基づく所得税、住民税の支払い義務が発生します。仮にAさんが正社員になった場合の年収が240万円とすると、所得税は年額で約7万円です。また、住民税は約14万円となります。
 

<参考:所得税の計算>

給与所得控除55万円,基礎控除48万円を引いた137万円が課税対象
所得税は課税対象額が195万円未満は、課税対象額(137万円)の5%
 

<参考:住民税の計算>

住民税は所得割と均等割に分かれますが、概算で課税対象額の10%
 

2. 厚生年金保険料

正社員になると勤務時間も増え、厚生年金に加入します。報酬月額20万円の場合、厚生年金保険料は月額1万8300円(約22万円/年)です。厚生年金保険料は将来受け取る厚生年金が増えるので、単純に負担が増えるというよりは、厚生年金を積み立てていると考えるほうが良いかもしれません。
 
なお、夫の扶養配偶者(国民年金の3号被保険者)から外れても、夫の厚生年金は変わりません。
 

3. 健康保険

健康保険もAさん自身で支払うことになります。月額1万1790円(約14万円/年)の負担増となります。厚生年金同様に、夫の被扶養者から外れても、夫の健康保険料は変わりません。
 

4. 夫の税金

Aさんが夫の配偶者控除の対象から外れると、配偶者控除がなくなることで、夫の所得税と住民税が高くなります。単純に所得税率を20%とすると、配偶者控除が38万円ですので、年額で7.6万円所得税が増えます。
 
住民税も住民税率10%とすると、配偶者控除が33万円ですので、3.3万円増加します。所得税と住民税を合わせて1年で約11万円の負担増になります。
 


 
これらの、Aさんの場合の増加費用をまとめたものが表1です。正社員となって働く場合、税・社会保険料が増える以上に年収が増えないと、「労働時間は増えたのに、世帯の手取り額は減る」という問題が生じますので十分注意してください。
 
Aさんの場合、今まで年収を100万円以下に抑えて働いていたので、正社員になることで、140万円給与収入が増え、世帯の手取り額も増え、自分の厚生年金も増えます。さらに、増えた収入をiDeCoや会社の確定拠出年金制度で運用することで、老後資金を蓄えるとともに、所得税・住民税を節税することも可能です。
 

まとめ

正社員となっても年収があまり増えない場合は、世帯としての手取り額は減ってしまう可能性があります。そのため、パートで働き続けるという選択肢もあります。
 
“103万円の壁”といわれる、夫の扶養の範囲を超えないように働いている方もいらっしゃるでしょう。
 
しかし、働き方はその人の人生そのものです。最初に書きましたように、正社員になるメリットはたくさんあります。単純に世帯の手取り額だけで比較するのではなく、「将来自分はどうありたいのか?」を踏まえて、正社員になるのかを判断してください。
 

出典

全国健康保険協会 ホームページ(令和3年度保険料額表(令和3年3月分から))
国税庁 No.2260 所得税の税率
横浜市 ホームページ(個人の市民税・県民税について)
 
執筆者:植田周司
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、円満相続遺言支援士(R)

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