就業規則を読んでみよう!(6)老後の生活の要となる「退職金」 どう算出される?
ファイナンシャルフィールド / 2018年8月14日 9時0分
就業規則には「労働時間」や「賃金」「退職」「福利厚生」などの規定が盛り込まれているため、ライフプラニングにおいて必要不可欠です。 厚労省の「モデル就業規則」の第8章「退職金」を紐解きながら、ライフプランとの関わりについて見ていきます。 ライフプランのご相談では、退職金について必ず確認します。なぜならば、老後の生活設計(リタイアメントプラニング)をする際、退職金の額が重要な要素になるからです。 退職金は会社を辞めるときに支給されます。その金額はどうなっているのでしょうか。
老後のライフプランで要となる「退職金」
一般的に退職金の使い道は、住宅ローンの完済や老後の生活費の補てん、国内・海外旅行費用、マイホームの住み替え・リフォーム・リノベーション費用、介護資金の準備、葬儀・墓石費用などが想定されます。
しかし、最近では、新たに発生している「空き家対策」や「子どもたちへの財産の移転対策」にも活用の道が広がっています。
老後のライフプランでは重要な位置を占めている退職金ですが、ご相談者によっては「退職金が少ない」、もしくは、「退職金がない」といった問題に直面することがあります。この点を再確認する意味でも、就業規則の「退職金」は労働者にとって重要な意味を持ちます。
退職金制度を設けている企業では、就業規則内に第8章「退職金」として、その内容を規定しています。
お客さまから「主人の会社には退職金がない」とご相談をいただくことがありますが、そのような場合、ご主人の会社の就業規則に、この章が設けられていないという意味になります。
退職金は「基本給」と「勤続年数に応じた支給率」から算出
それでは内容について紐解いていきましょう。
退職金の額は、一般的に以下のように計算されます。
退職金=基本給×勤続年数に応じた支給率
この計算方法から、退職金はよく「給料の後払い制度」と言われています。
「基本給」が入社後から、最終的にどのように推移していくかが大きなポイントになります。これは、いわゆる「賃金カーブ」の話ですが、定年退職制度が法律上変更されたため、以前と比べて多くの企業で賃金カーブが緩やかになっています。
つまり、65歳まで労働者を雇用する必要があるため、基本給の昇給を少し抑制しているのです。また、基本給のピークを若干前倒すことで、労働者に支払う人件費を全体的にコントロールする動きに変わってきています。そのあたりも考慮したうえで、ライフプラニングを考える必要があります。
勤続年数が短いと「基本給=退職金」になってしまう場合も
上記の計算式からわかるように、退職金を算出するうえで「勤続年数」も重要な要素です。
近年、若者の早期離職が問題視されています。例えば、勤続年数が5年未満、退職金支給率が1.0だとすると、退職金の額は「基本給×1.0」になります。
一般的に退職金のイメージは2000万円、1500万円といった金額ですが、働いていた年数が短いと上記のように基本給=退職金になってしまいます。理由はともあれ、会社を辞める場合は、事前に支給率の確認をしておいた方が良いかもしれません。
退職金の計算式は、このようなものが一般的ですが、業務に対する「貢献度」も算定基準に含めている企業が増えています。お勤めの企業で退職金制度を採用している場合、どのように退職金が計算されるかを事前に確認しておきましょう。
今回は、退職金の考え方を紐解きながら、ライフプランとの関連性を見てきました。次回は、就業規則の第9章「安全衛生及び災害補償」について、福利厚生面のお話をしていきます。
Text:重定 賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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