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お金の出し入れで最も身近なATMで、今何が起きているのか?

ファイナンシャルフィールド / 2018年9月15日 9時0分

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報道によると、トップメガバンクの三菱UFJ銀行は、全国のATMを5年後の2023年度末までに2割減らす方向で検討に入ったといいます。   1カ所あたりのATM台数を減らしたり、店舗の統廃合に合わせて店舗外のATMを集約したりするということです。この背景にはネット取引やキャッシュレス決済が普及し、ATMでの現金引き出しなどのニーズが減っていることがあります。   最大手銀行がATMを減らす方向に転換することで、他のメガバンクや地方銀行も同様の動きをとる可能性があります。   一方、コンビニATMは急増し、「お金=銀行」のイメージは以前に比べて弱くなっています。   今後、この動きをさらに加速させると予想されるのがキャッシュレス化の波です。

韓国は89%。日本は18%――キャッシュレス化。

カードやスマホ決済などのキャッシュレス取引の比率を世界各国と比べると、韓国が89%などキャッシュレス化が進んでいる国では軒並み40%~60%に達していますが、日本は18%にとどまっています。日本人は現金志向が強いといえます。
一方、キャッシュレス化のメリットは、消費者は大金を持たずに手ぶらで買い物ができることです。店舗側にとっては煩雑な現金の取り扱いがなく、省力化効果は大きいものがあります。現状は閉店後のレジ閉めが大変な作業です。
コンビニでは開店前にお釣りを用意し、店を閉めてからお金を銀行に運ぶ必要があります。このため、キャッシュレス化は人手不足の解消にもつながります。

スウェーデン、中国では・・・

キャッシュレス化が進んでいる海外の実情を紹介します。
スウェーデンは個人間送金のスマホアプリ「Swish」が2017年10月末で利用者は総人口の約60%に達しています。スウェーデンは国土が広い割に人口が少なく、都市も点在していて、冬季に現金輸送コストがかかることが影響しています。
韓国は97年の通貨危機以降、脱税防止や消費活性化を目的に政府主導でクレジットカードの利用促進が図られた結果、高いキャッシュレス比率が達成されました。
中国ではもともとは決済オンラインネットワーク・銀聯が普及していましたが、アリペイ、ウィチャットペイなどQRコードを使った決済がユーザーを獲得しています。
加盟店にとってアリペイのビジネスモデルは1%以下の定額の決済手数料と簡易な仕組みで多くの加盟店を獲得しています。また、アリババグループ内で消費者の買い物情報を共有し、利活用しています。
キャッシュレス化の大きな効果は消費者のさまざまなデータを共有化していろいろな目的に活用することです。
一例を挙げると、アリペイの加盟飲食店は、来店客のデータを活用して、1万~2万円程度の少額の融資を行っています。消費者にとっては飲食店でお金を借りることができるわけです。

キャッシュレス化が進まない日本の背景

日本ではなぜ、キャッシュレス化が進まないのでしょうか?
その背景として、治安が良い、ニセ札が少ない、お札の紙質がよいなどの理由で安心して現金を持ち歩けることに加え、クレジットカードの加盟店手数料が高い、クレジットカード端末のコストが生じることなどがあります。
クレジットカードに加盟していない店舗への調査では、「導入費用が高い」、「導入のメリットが感じられない」などが非加入の理由の上位を占めています。また、消費者への調査では「使い過ぎが心配」、「セキュリティが不安」、「個人情報が収集され勝手に権利を侵害されるのでは」などの不安も指摘されています。
このように、日本ではキャッシュレスより現金支払いが普及していますが、そのための高度なPOSやATMなどのインフラ維持に年間1兆円を超える直接コストが発生しているという調査(野村総合研究所)もあります。
メガバンクや地銀がATMを減らす方向で動いているのはこうした、キャッシュレス化の流れも大きく影響しています。
Text:丸山隆平(まるやま りゅうへい)
経済産業ジャーナリスト

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