自宅の火災保険に水災補償は付いている? 補償される内容はどんなもの?
ファイナンシャルフィールド / 2024年2月16日 2時20分
近年では毎年のように、記録的な大雨やゲリラ豪雨による、河川の氾濫や土砂災害などによる、大規模な水災が発生しています。自宅に掛けている火災保険に、水災補償が付帯されていれば、一定の条件を満たすことで建物や家財の損害が補償されます。 ただし、火災保険に水災補償が付保されていないケースや、保険料節約のために水災補償を外してしまったというケースもあり得ます。この記事では、水災補償の付帯状況や補償内容などについて確認してみたいと思います。
水災補償付帯率は全国的に減少傾向に
各保険会社を会員とする、損害保険料算出機構では、火災保険における都道府県別の水災補償付帯率を公表しています。水災補償付帯率とは、年度ごとに有効な火災保険契約のうち、水災を補償している契約件数の割合を示しているものです。
最新2022年度の水災補償付帯率は、全国で64.1%となっており、おおむね3軒に2軒が付帯している状況にあります。しかし、この数値は年々減少傾向にあり、2018年度69.1%、2019年度67.8%、2020年度66.6%、2021年65.4%と推移しています。
都道府県別では2022年度で、徳島県が最も高い78.6%、次いで山口県78.2%、高知県75.8%と続いており、中国四国地方の県の付帯率が高くなっています。また、相対的には東日本より西日本の方が高い付帯率となっている傾向が見られます。
住んでいる市区町村の「水災等地」
また、損害保険料算出機構では2023年6月に、住んでいる市区町村ごとの火災保険参考純率における水災等地を公表しています。
水災等地とは、建物の所在地における火災保険の水災リスクの危険度を5区分に設定したものです。1等地の水災保険料は最も安く、5等地の水災保険料は最も高くなっており、1等地の約1.5倍となります。
なお水災等地の区分は、外水氾濫(台風・大雨などで河川の水が溢れたり、堤防が決壊したりすることで浸水すること)や内水氾濫(市街地に降った雨が、排水施設の能力不足等により、河川に排水できず浸水すること)、土砂災害などのリスクを総合的に評価したもので、必ずしも各自治体が発行する洪水ハザードマップと一致するわけではありません。
ちなみに、最も水害リスクが高いとされる5等地には、全国166の市区町村が指定(2023年6月時点)されており、東京都では東側に位置する台東区、墨田区、江東区、荒川区、足立区、葛飾区、江戸川区が5等地となっています。
住んでいる自治体の水災等地を知りたい場合には、損害保険料算出機構のサイトで検索することができます。
水災補償の支払要件
水災補償として支払われる損害保険金は、保険金額を上限とする「損害額」から「免責額(契約時に定めた自己負担額)を差し引いた残りの金額になります。損害保険金が支払われる要件は、一般的な水災補償については以下の2つとなります。
(1)再調達価額(同等のものを新しく建築したり購入したりする際に必要な金額)の30%以上の損害を受けた場合
(2)床上浸水または地盤面から45cmを超えて浸水した場合
なお、保険会社によっては、免責金額を除く損害額の全額を補償する契約だけではなく、支払要件や支払割合(上限額など)を設定することで保険料を抑える契約も可能です。
また、地震による津波や土砂災害などの被害は火災保険の補償範囲ではなく、地震保険への加入が必要となることや、自動車(マイカー)の被害も火災保険ではなく自動車保険の車両保険で補償されることなども覚えておきましょう。
まとめ
私たちは、日本全国どこに住んでいても、いつ大規模な災害に遭遇してもおかしくない状況に置かれています。水災補償については、マンションの高層階に住んでいる場合にはそれほど重要性はないと感じる可能性がありますが、特に市街地にあるマンションの低層階の場合や一戸建ての場合には、地域の水災リスクを意識しておく必要があります。
少しでも不安を感じる場合には、まずは住んでいる市区町村の洪水ハザードマップや水災等地、火災保険の付保内容などをしっかりと確認しておくことから始めましょう。
出典
損害保険料率算出機構 火災保険 水災補償付帯率
損害保険料率算出機構 水災等地検索
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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