助かる高額療養費制度。それでも「がん」への備えが必要な理由
ファイナンシャルフィールド / 2018年11月12日 9時15分
昔ほどではないものの、日本の公的な扶助制度は充実しています。 その一例が「高額療養費制度」です。分かりやすくいうと、国民の医療費に国が上限を設けて、一定額以上の負担をかけないようにする制度です。 この制度があるので、「医療費の負担は、現金を貯めておけば大丈夫!」という意見もあります。 ただ、それでも預貯金ではなかなかカバーしきれないケースがあります。代表的な例が「がん」です。
高額療養費制度とは
厚生労働省の説明によると、「高額療養費制度」とは、「医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1ヶ月(歴月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する」※1制度とされています。
「上限額は、年齢や所得に応じて定められており、いくつかの条件を満たすことにより、負担を更に軽減するしくみ」も設けられています。
例えば、複数受診や同じ世帯内での受診を、1ヶ月単位で合算して上限を適用してくれる「世帯合算」や、12ヶ月に3回以上該当した場合に4回目から適用される「多数回該当」が挙げられます。
ただし、入院食事代や差額ベッド代は適用対象外ですし、先進医療やいわゆる「民間療法」と呼ばれるものも適用対象外です。あくまで医療費の窓口負担が軽減されるだけなので、治療費用以外にお金がかかった場合は、当然全額自己負担です。
その一例を「がん」のケースで考えてみましょう。
治療費以外が高額になる場合
例えば、身内にステージIVのがん患者がいるとしましょう。
地方に住んでいて、治療は抗がん剤治療中心だとします。仕事もできないか、あるいは収入が下がることが予想されます。
治療をどこで受けるかですが、設備の整った大きな病院はどうしても大都市に集中しているため、県外で治療を受けることも多々あるでしょう。
当然1人で行かせるわけにはいかないですし、移動は新幹線や飛行機、およびタクシーです。同行者が1人だとしても2人分の交通費がかかります。
県外に治療に行く場合、日帰りで治療を受けられるとは限りません。入院するかもしれませんし、入院しなくても数日間滞在する可能性はあります。
その日の体調によっては治療を受けられないこともあるでしょうが、だからといってあきらめて帰るわけにもいきません。
そうするとホテルに滞在するということになりますが、いつ容体が急変するか分からない状況です。緊急のときにしっかり対応してくれるスタッフが常駐しているかどうかも重要なポイントでしょうから、自ずとランクの高いホテルになるでしょう。
食事にしても、体によいものを選ぶでしょう。状況によっては、その人が好きな食べ物もあと何回口にできるか分かりません。値段が張っても高品質なものを食べさせてあげたいと思うかもしれません。
こうやって考えてみると、本当に大変なのは医療費以外の費用かもしれないのです。
預貯金でまかなえるのか
いかがでしょうか? こうやって考えてみると、医療費以外にも多くの費用がかかる場合もあるということが、お分かりいただけると思います。
預貯金が潤沢にあればそれでもよいと思いますが、その預貯金を治療費以外の目的で貯めている場合は、生命保険で準備したほうがよいかもしれません。
生命保険にも、治療の度に受けた治療に応じて給付金がもらえるもの、最初に一時金としてまとまったお金がもらえるものがあります。
自分ならどう備えたいか、もう一度考えていただくとよいかもしれません。
※1*厚生労働省HP
Text:萬實赳志(ばんみ たけし)
AFP認定者
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