貧困家庭では、夜ご飯にお菓子だけは珍しくない 子供の「食生活の貧困」への支援の実態
ファイナンシャルフィールド / 2018年11月15日 22時30分
食生活は、健康の源です。朝ごはんを抜くと、勉強の効率も下がります。子どもにとって健全な食生活は大切です。 しかし、貧困家庭の中には親が仕事で忙しく、夕食が夜遅くになったり、子どもたちだけでスナック菓子やインスタント食品だけで食事を済ましたり、朝食を抜いたりするなど、食生活が乱れているケースが少なくありません。 学校給食が唯一まともな食事という家庭もあります。 経済的な理由で、給食費を支払うことができない家庭もあります。これらの家庭に対しては支援策があるのですが、情報が行きわたっていません。いくつか紹介します。
給食の実施状況と就学援助
文部科学省「平成28年度学校給食実施状況等調査」をみると、全国で学校給食を実施している小学校は99.2%(完全給食は98.6%)、中学校は88.9%(完全給食は83.7%)です。
完全給食とは主食、おかず及びミルクから成る給食をいいます。
小学校に比べ中学校で完全給食の実施率は約15%も低くなっています。
公立の小学校及び中学校において保護者が負担する学校給食費の平均額をみると、小学校では約4,323円、中学校では約4,929円となっています。
低所得家庭にとっては大きな負担です。
義務教育で無償とされているのは、授業料と教科書だけですので、給食費は保護者が負担しなくてはなりません。
そこで、低所得家庭の保護者の負担を軽減するため就学援助があります。
就学援助とは
生活保護世帯及び生活保護世帯に準じる世帯に対し、小中学校で必要な、学用品費、体育実技用具費、新入学児童生徒学用品費等、通学用品費、通学費、修学旅行費、校外活動費、医療費、学校給食費、クラブ活動費、生徒会費、PTA会費などが助成されます。
準要保護者に対する就学援助については、国の補助はなく、各市町村が単独で実施しており、自治体による格差があります。
周知方法も自治体によりバラツキがあり、この制度を知らない保護者もいます。
平成28年度の調査によると、毎年度の進級時に学校で就学援助制度の書類を配付している市町村の割合は75.3%、入学時に学校で就学援助制度の書類を配付している市町村の割合は73.1%となっています。
また、就学援助を知っていても手続きの煩雑さや、貧困家庭であることを知られたくないといった事情などから申請をしないケースもあります。
そもそも給食を実施していない自治体では就学援助の項目に学校給食費自体がないという問題点もあります。
給食のない自治体では、弁当を持参することになります。民間業者などの配送する給食を利用する場合もあります。
この場合、就学援助の対象外ですが、自治体の中には独自に支援しているところもありますので調べてみましょう。
子ども食堂の急増
ここ数年、子ども食堂が急増しています。2016年5月に朝日新聞が子ども食堂のネットワークや団体に聞き取って集計した時は319カ所でしたが、2018年4月の記事では全国2,286カ所となっています。
単純比較で2年弱で7倍超となっています。
子ども食堂は、地域の主婦などが子どもに無料や安価で食事を提供する、民間の取り組みです。食事だけではなく、子どもの居場所の機能も持っています。
利用料は無料から300円程度。大人も利用できます。
開催日は、月1~2回程度のところが多いですが、「越谷こども食堂」のように日曜日を除き毎日という食堂もあります。
自分の住む地域の子ども食堂を探すには、お住いの市区町村に問い合わせてみると良いでしょう。
練馬区では「練馬区こども食堂MAP」を配布しています。また、「こども食堂ネットワーク」のホームページで一部検索することも可能です。
フードバンク
フードバンク活動はボランティア団体やNPOが、食品メーカーなどから余剰食品を無償で譲り受け、生活困窮者に配る活動です。
子ども食堂と異なり食事そのものを提供する活動ではありませんが、食材などを必要としている家庭にとって、とても助かる活動です。
まだ食べられるにもかかわらず廃棄されてしまう食品(いわゆる食品ロス)を削減する一つの手段として農林水産省もフードバンク活動を支援しています。
フードバンクの団体は農林水産省のホームページ(※)で確認することができます。
※http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/foodbank.html
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
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