子育てのために時短勤務していたら、上司から「早上がりお疲れ!」と嫌味を言われました。これってパワハラですよね?
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月10日 10時40分
仕事と子育ての両立で時短勤務を利用している方は、他の人よりも早く仕事を切り上げて退勤するため、申し訳ない気持ちで会社をあとにすることもあるでしょう。 そのような状況で、上司から「早上がりお疲れ!」と言われるとますます気まずい思いをしてしまうのは分かります。では、このような発言はパワハラに該当するのでしょうか。 本記事では、子育てにまつわるハラスメントや、ハラスメントを受けたらどうすればよいのか解説します。
パワハラとは
昨今、職場ではさまざまなハラスメントが存在します。そのなかでもパワーハラスメント、通称「パワハラ」とは、職場で地位や人間関係などの優位性を利用し、業務の範囲を超えた精神的・身体的苦痛を与えるなどの職場環境を悪化させる行為です。
パワハラにはいくつかの種類があり、身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害という6つの類型に分けられます。
ただし、業務上の必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、業務上の適正な範囲で行われている場合は、少し口調が厳しいという程度ではパワハラに該当しない可能性があります。
時短勤務への嫌みはハラスメントになる?
では、今回のように時短勤務をしている社員に対して帰り際に「早上がりお疲れ!」という発言は、パワハラに該当するのでしょうか。厚生労働省によると、「妊娠・出産したこと、育児や介護のための制度を利用したこと等に関して、上司・同僚が就業環境を害する言動を行うこと」はハラスメントにあたるとしています。
そのため、今回のような発言はパワハラもしくは、「妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」に該当する可能性があります。
パワハラに対する法律はあるのか
2019年に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」が成立したことによって、職場でのパワハラ防止対策が事業主に義務付けられました。これにより改正された「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(略称:労働施策総合推進法)が、通称「パワハラ防止法」です。
この法改正では、パワハラそのものへの罰則規定はできませんでしたが、企業はハラスメントを防止するための環境を整えることが義務付けられました。
もし訴訟問題になった場合、慰謝料の金額は数万円~100万円程度の慰謝料が認められるケースもあります。また、もしもパワハラの内容がハラスメントでは済まされず、暴行罪や脅迫罪などに問われた場合には、有罪となり罰則が適用されます。
出産や子育てにかかわるハラスメントとは
「時短勤務お疲れ!」というような発言は、「妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」のなかでも「制度等の利用への嫌がらせ型」にあたる可能性があります。そのほかにも「時短勤務にすることで査定に影響が出る」などと言われることも、ハラスメントに該当する場合があります。
また、女性への発言に限らず、男性が育休を取得しようとしたときに、「男性が育休を取ることは認めない」という発言もハラスメントにあたると考えられます。
妊娠や出産、産後休業の取得、妊娠中の体調不良により能率が低下したことに対しての嫌がらせや不利益取り扱いの言動は、「妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」の「状態への嫌がらせ型」に該当します。例えば「妊娠中の人や、産休を取る人に責任のある仕事は任せられない」などの発言もハラスメントにあたると考えられます。
もしもハラスメントを受けたら
パワハラや「妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」をはじめとしたハラスメント行為を受けた場合は、早めに会社の人事労務や労働組合へ相談してみることをおすすめします。
もしも会社にそのような制度がなかったり、相談しにくかったりした場合には、都道府県労働局へ相談してみることもできます。無料かつ匿名での相談もできるため、抱え込まずに相談してみましょう。
出典
厚生労働省 職場でつらい思いしていませんか?
厚生労働省 あかるい職場応援団 ハラスメントの定義
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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