日常生活の法的トラブルをワンストップで解決する弁護士費用保険

日常生活における法的トラブルが増えています。弁護士白書2017年度版によると、日本弁護士連合会のリーガル・アクセスセンターでの取扱件数も年々増加しており、2015年度では3万1362件、2016年度では3万4754件と1年間で約10％増となっています。※1   法的トラブルに巻き込まれた場合、自分だけで解決しようとすると、時間的、精神的負担は非常に大きなものとなります。そんなときに弁護士を紹介してもらい、法的トラブルの解決に当たってもらえたらとても安心です。   今回は、日常生活の法的トラブルの際に、ワンストップで弁護士にかかわる手続きが行える「弁護士費用保険」というサービスを紹介します。  

弁護士費用を保険金でまかなえるサービス

日常生活の中で「法的トラブル」に遭った場合、弁護士に相談すると答えた人は84.8％に上っています。※2（内閣府「世論調査」より）。
 
でも、信頼できる弁護士を探すにはどうすればよいのでしょうか？ また、費用はどのくらいかかるのでしょうか？
 
弁護士費用保険とは、法的トラブルなどに遭ったときにかかる弁護士費用の一部または全額を保険金でまかなえる保険サービスのことです。
 
病気やけがの場合に健康保険があるように、日常生活の予期せぬ法的トラブルに遭った場合に弁護士費用の一部または全額を保険金でまかなえるのです。対象となるのは次のような日常生活の法的トラブルです。
 
交通事故などの被害事故、借地・借家のトラブル、子供がいじめにあっている、ストーカー被害を受けているなどの人格権侵害、離婚調停、遺産分割調停、パワハラ、セクハラなど職場でのトラブル――などです。
 

法的トラブルの際の依頼・相談が無料のケースも

弁護士費用保険では、一般事件と偶発事故の法的トラブルの際に、弁護士に依頼・相談した費用が補償されます。
 
また、保険に特約を付けて補償を充実させることもできますし、補償とは別に弁護士への無料相談でアドバイスを受けられたり、法的トラブルに遭った場合にヘルプコールをかけられる付帯サービスが付いているものもあります。
 

月額1000円で93万円の保険料

では、ある弁護士費用保険を例にとり、月々の掛け金に対してどういう場合、どの程度の保険金が支払われるのか見てみます。
 
このケースでは保険掛け金は月額約1000円です。
 
弁護士相談費用保険：歩道で自転車に衝突され、右足を負傷したため加害者に賠償請求をしたが、応じてくれないために弁護士に相談した。その後、弁護士に委任の上、訴訟を提起し、賠償品を受け取ることができた。
 
この場合、法律相談にかかった費用：2万円です。
 
弁護士委任にかかった費用など：（着手金30万円＋報奨金60万円＋手数料など10万円＋訴訟費用2万円）は102万円です。
 
弁護士費用保険の支払い：102万円×（100％―10％）＝91.8万円（費用の10％は自己負担）
 
合計：（法律相談にかかった費用の支払い2万円＋弁護士費用保険の支払い91．8万円）＝93万8000円が保険料として支払われることになります。
 

半数の人が近隣トラブルに

実際に日常生活の中で法的トラブルに遭う前は、自分が法的トラブルに巻き込まれることをなかなかイメージできないと思います。このため、「果たして弁護士費用保険に入る必要があるのか」と思う人もいると考えられます。
 
しかし、「近隣トラブルに関する意識調査」※3によると、「近隣トラブルに巻き込まれたことがあるか？ 」との質問に、47％の人が「はい」と答えています。
 
騒音、ペット、違法駐車、ゴミ、境界線、タバコの煙、ポイ捨て、車への傷など近隣トラブルの原因は多岐にわたっています。
 
こうした日常生活の法的トラブルにおいても、弁護士費用保険は強い味方となります。
弁護士費用保険に加入していることを相手に伝えるだけでも、法的トラブルの予防策になるケースも少なくないといいますので、加入を検討されてはいかがでしょうか。
　 
※1　弁護士白書　2017年度版
※2 　内閣府　総合法律支援に関する世論調査
※3　日本法規情報株式会社
 
Text：丸山隆平（まるやま　りゅうへい）
経済産業ジャーナリスト