退職金と貯蓄「2500万円」あれば、「老後2000万円問題」は心配無用ですか? 年金も夫婦で「月20万円」もらえるので、定年後は働かなくても大丈夫ですよね?
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月16日 3時0分
経済的な老後不安は、全員が抱える問題や悩みと言っても過言ではないかもしれません。いまから約5年前には「老後2000万円問題」が大きく取り上げられて話題になりました。 本記事では、もし65歳時点で資産が2000万円以上あれば、老後は年金をもらいながら働かずに悠々自適に暮らせるのか、それとも厳しいのか解説します。
老後2000万円問題とは?
「老後2000万円問題」とは、2019年に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が公表した報告書の中で「収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20年で約1300万円、30年で約2000万円の取崩しが必要になる」と記載されていたことがきっかけで大きな物議を醸したものです。
夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの高齢無職世帯の場合、平均的な収支額で見ると、毎月約5万円の赤字が発生するため、それを補てんするために預貯金や資産運用などによる金融資産が、20年~30年間で1300万円~2000万円程度必要となる旨が記載されています。
これは当時インターネットやSNSなどで大きな話題となり、国会などでも取り上げられて賛否両論巻き起こりました。ただでさえ給料が多くなく貯金するのも大変なのに老後を迎えるまでに2000万円貯めるのは無理、といった批判の声も少なくありませんでした。
では、逆に言えば、貯金や退職金を合わせて2000万円をクリアしていたら老後は安泰と言えるのでしょうか。
老後の生活費はいくらかかる?
例として、65歳時点で資産が2500万円あり、今後夫婦合わせて毎月20万円の年金をもらえるケースの場合、老後の収支状況はどうなるのでしょうか。
総務省統計局が発表している家計調査報告によると、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)」の消費支出は25万959円、非消費支出は3万1538円です。2つ合わせた実支出は28万2497円で、日常生活をおくるうえで約30万円の支出が発生することが分かります。
仮に、年金やそれ以外も含めた収入が30万円あったとしても安泰とは限りません。と言うのも、大きな病気やけがをしたり、生活に必要な家電製品や家具などの買い替えが必要になるなど、想定外の出費が重なる可能性もあるからです。
生活費として毎月30万円かかり続けるとすると、65歳から毎月20万円年金を受け取るとしても、他に収入がなければ月額10万円の赤字となってしまいます。
2500万円の資産があっても安心できない?
赤字分は預貯金から補てんする必要がありますが「2500万円あるから大丈夫」と油断するのは禁物です。想像よりもかなり早い時期に資金が底をついてしまうおそれがあるからです。
仮に、毎月10万円の赤字が続くと、2500万円ある資産は約20年、つまり85歳でなくなってしまう計算です。いまは人生100年時代と言われることも多く、85歳時点でもまだまだ元気に過ごす人は少なくありません。
とは言え、85歳から現役時代と同じように働いて稼ぐのは非常に難しいかもしれません。もし100歳まで生きるなら、残り15年の生活費をどのように賄うのか大きな問題を抱えることになります。
定年退職等のタイミングで、「いままで長年頑張ってきたからもう働きたくない」と考える人もいるかもしれませんが、将来的に路頭に迷わないようにするためにも、預貯金や年金に依存するのではなく、定年後も再雇用やパート・アルバイトなどで、できる限り働いて収入を得て資産の減少を抑えることも検討してみましょう。
まとめ
本記事では、65歳時点で2000万円以上の資産があれば「老後2000万円問題」もクリアして老後は安泰と言えるのか解説しました。
もちろん老後の生活環境やお金の使い方は人それぞれであり、「このくらいの資産があれば安心」と一概に言い切ることはできません。数千万円規模で預貯金があっても、毎月の家計が赤字だと取り崩す分が増えて想像以上のスピードでなくなる可能性があることを考えておきましょう。
出典
金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
40歳、会社の同期に「自分たちは生涯現役で働く必要がある」と言われました。年金も少ないなら「大卒初任給」くらいは稼ぐ必要があるでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月26日 6時10分
-
46歳独身、親と同居しており「実家」はそのまま相続する予定です。貯金は「100万円」で結婚の予定もないのですが、65歳まで働けば“老後の生活”は安泰でしょうか? 現在の年収は360万円です
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月12日 4時30分
-
ずっと旦那の扶養に入って専業主婦をしていましたが、貯金が「800万円」しかないので老後が不安です。少しでもパートに出た方がいいでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月12日 2時20分
-
来年定年を迎える父の貯金が「300万円」しかないことが発覚…!働くよう促すべきでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月8日 2時10分
-
「定年後は年金だけでゆっくり暮らしたい」という夫。60歳(定年)から65歳(年金受け取り)までいくらあればいい?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月5日 10時0分
ランキング
-
1深圳の男児刺殺受け、日中の定期航路50年記念式典が中止「お祝いふさわしくない」
読売新聞 / 2024年9月29日 20時19分
-
2「あいつと同じ墓に入りたくない!」人、選択肢3つ 「どの墓に入るか」自由はあるけど"準備"が重要
東洋経済オンライン / 2024年9月29日 9時0分
-
3【どうして?】ブレーキを踏んでいないのに…ブレーキランプがつきっぱなし 「バッテリー上がりや思わぬ事故の原因に」整備士が対処法を解説
まいどなニュース / 2024年9月28日 7時32分
-
4栃木県の遊園地で「時給2500円」バイトが見せた驚きの成果とは? 狙いは人手不足解消じゃなかった!
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月29日 6時15分
-
56500室を一斉開業 欧州最大ホテルチェーン幹部に聞く「国内リゾート進出の狙い」
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月29日 15時3分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください