「ジャニス」CDレンタル事業終了~覚えていますか?街角の「黎紅堂」や「友&愛」
ファイナンシャルフィールド / 2018年11月20日 23時0分
東京・神田神保町の老舗CDレンタル店「ジャニス」がCDレンタル事業を終了する、というハガキが届きました(会員への通知)。 ジャニスとは、「この店にないものはどこにもないだろう」と思わせるぐらい膨大な在庫を誇る、しかもマニアックな作品もたくさん在庫しているCDレンタル店でした。 古くからの会員は嘆き悲しみました(筆者も)。現在(2018年11月中旬)すでにCDレンタルサービスはストップし、在庫販売という形で営業しています。 11月のある日曜日に行くと、行列ができて整理券が配られているほどでした。 あの老舗CDレンタル店のサービスが終わる……。
覚えていますか?「黎紅堂」や「友&愛」の看板
日本レコード協会が報道発表した『CDレンタル店調査報告書』(※1)によると、CDレンタルの店舗数は、1989年末の6213店をピークに減少しているそうで、2018年は2043店となっています。これは1989年末と比較すると33%の水準。
3分の1に減少したのですね。
右肩下がりであり、今後も音楽配信、とくに定額配信サービスなどが主流になるとすると、CDレンタル店が大きく伸びることは考えにくいでしょう。
その1980年代、街角では「黎紅堂」(れいこうどう)や「友&愛」(ゆうあんどあい)といった大手レンタルレコード店の看板をよく見かけました。
「黎紅堂」は、1980年に当時学生だった大浦清一氏が、東京・三鷹で創業したとされています。
「友&愛」は、現在エイベックスの総帥松浦勝人氏が働いていたことで有名です。ソフマップの創業者鈴木慶氏も働いていたそうです。
また、「友&愛」創業者の牛久保洋次氏も、後にピザ・カリフォルニアを創業しますし、「友&愛」は起業家をたくさん生み出す土壌があったようです。
その「黎紅堂」も「友&愛」も、街角で見かけることはありません。どこかで、個店として営業しているのでしょうか?
急降下しているレンタル店からの使用料
それでは、現在のCD(レコード)レンタルビジネスはどうなっているのでしょうか?
同じく日本レコード協会資料(※2)の「貸レコード使用料・報酬」を見てみると、次のように推移しています。
これは主にCD(レコード)レンタル店から使用料として入ってくる金額です。
2007年 42.8億円
2008年 43.0億円
2009年 41.9億円
2010年 39.7億円
2011年 38.9億円
2012年 43.4億円
2013年 40.3億円
2014年 29.3億円
2015年 26.3億円
2016年 23.1億円
この「貸レコード使用料・報酬」は、CDレンタル店の収入とほぼ比例すると考えたら、2007年頃から2013年ごろまでは、40億円ぐらいの金額で前後していたようです。
しかし、2014年に約29億円に急落し、その後どんどん下がっていきます。
もはやCDレンタルのビジネス自体が危機に瀕しているように見え、おそらくは今回の「ジャニス」も、CDレンタル事業終了につながっているのではないかと思われます。
じわじわ復活するアナログのレコード盤
その2014年あたりが、もう音楽はCDで聞くものではなくなったことが確定した時期ではないでしょうか?
昨年(2017年)のCD売上高を見てみましょう。
先の日本レコード協会の資料でも、レコード(CDとアナログディスク=アナログレコード)(※2)の売上について、2017年ではCDアルバムが1297億円(前年比98%)、CDシングルは410億円(同96%)と減少しています。
ところが、その中でもアナログのレコードは、数量が106万枚(前年比133%)、金額では19億円(同132%)となり、『4年連続で数量・金額ともに大きく伸長している』とも述べられています。
『アナログディスクの100万枚超えは、2001年以来16年ぶりとなる』と驚きを持って記載されています。
アナログレコードの音質を好むファンが静かに増えているのでしょう。
もしかして、CDレンタルではなくふたたび「レコードのレンタル」に日が当たるときが来るのかもしれません。
※1 日本レコード協会2018年度CDレンタル店調査
※2 日本レコード協会「日本のレコード産業2018」
Text:藤木 俊明(ふじき としあき)
副業評論家
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