「相談」新築10年超えたら、住宅瑕疵担保責任保険どうしたらいいの?
ファイナンシャルフィールド / 2018年12月2日 10時30分
新築の住居を購入して10年経つご家庭には、「住宅瑕疵(かし)担保責任保険」の延長加入のご案内が届くことがあります。これについて、加入し続けるどうか迷っている方もいらっしゃるかもしれません。 今回は、あまり馴染みのないこの保険について、仕組みや今後の手続きなどをまとめてみました。 今後、瑕疵保険を延長するのか、しないのか。今後、マイホームのメンテナンスについてどうしていくのか、を考える際の参考にしてくださいね。
「相談」新築10年超えたら、住宅瑕疵担保責任保険どうしたらいいの?
平成21年10月1日より、「住宅瑕疵担保履行法」が施行されました。この法律は、新築住宅に瑕疵(欠陥)が見つかった際、その補修が確実に行われるよう、新築住宅を供給する事業者に保険の加入または供託を義務付けるものです。
したがって、万が一、事業者が倒産した場合などでも、保険や供託金により2000万円までの補修費用の支払いが受けられます。
以下の「住宅瑕疵担保責任保険法人」が国土交通大臣より指定されています。
・株式会社住宅あんしん保証
・住宅保証機構株式会社
・株式会社日本住宅保証検査機構(JIO)
・株式会社ハウスジーメン
・ハウスプラス住宅保証株式会社
「住宅瑕疵担保責任保険」の保険対象と保証期間
保険の対象となるのは、新築した住宅の<構造耐力上主要な部分>と<雨水の浸入を防止する部分>です。
<構造耐力上主要な部分> 基礎、土台、柱、床、壁、斜材、横架材、小屋組、屋根版
<雨水の浸入を防止する部分> 屋根、外壁、開口部
保証期間は引き渡しから10年間です。
※国土交通省<住まいのあんしん総合支援サイト>より引用
では「延長瑕疵保険」とは?
「住宅瑕疵担保責任保険」は、10年経つと終了します。違う言い方をすれば、「住宅事業者の10年間の瑕疵に対する責任期間が終了する」わけです。
ここから先は、所有者が続けてこの保険に入り続けるかどうかを、任意で決定しなければいけません。それが「延長瑕疵保険」です。この保険料は自己負担となります。(最初の10年間は事業者負担)
瑕疵保険の会社により多少内容が違ってきますので、詳しくは、今ご自身の住居が保証されている保険会社が取り扱う、延長瑕疵保険をご確認ください。
また、延長瑕疵保険に入るには、通常、点検とメンテナンス工事が必要になってきます。点検は、現状で不具合がないかどうかを検査するもので、不具合が見つかった場合には、補修工事が必要となります。
一方メンテナンス工事とは、各部シーリング工事、屋根の板金部分の塗り替え、金属屋根の場合は全面塗り替え、外壁の塗装、木部の塗装、バルコニーなどの防水保護塗装の工事など、基本的な構造耐力性能または、防水機能を維持する工事のことです。これらの工事を完了することが、加入の条件になるようです。
この点検やメンテナンス工事には、別途費用が発生してきますので注意が必要です。
「延長瑕疵保険」に入る際のポイント
「延長瑕疵保険」に入る際のポイントは、主に以下の4つです。
(1)国土交通省が発表している「保険事故の発生部位」、つまり瑕疵がどこで発生して保険金が支払われたのかということですが、最も多いのが雨水の浸入で、4171件でした。これは、平成30年3月までの累計で、保険金支払い完了件数4496件のうち、なんと93%にあたります。
したがって、この保険を継続する場合は「雨漏りが対象となる保険」と考えて、今後の住まい管理を考えていきましょう。
(2)延長瑕疵保険においても、万が一、住宅業者が倒産した場合は保険会社から修理費が出ますので、この部分については引き続き安心して住み続けることができます。
(3)新築時に建てた業者でなくても、また新築時に利用した瑕疵保険の会社でなくても、他の業者が「延長瑕疵保険」手続きを進めることは可能です。ですので、今までの業者とのお付き合いに一区切りつけたい場合には、新たな業者を探して加入することも可能です。ただし、新しく契約する業者が、その指定保険会社に登録をしていることが必要で、かつ保険金も割高にはなります。
(4)保険会社によりますが、延長瑕疵保険は期間が10年だけではなく、もっと短く設定されているものもあります。プランによって点検やメンテナンス工事を行うタイミングも違ってきますので、資金計画と合わせて検討しましょう。
まとめ
平成21年10月1日に住宅瑕疵担保履行法が施行されてから、来年の10月で10年が経過します。
これから「延長瑕疵保険」のご案内が届く方が増えてくると思います。いざ、届いて慌てないよう、住まいの今後のことを事前に検討してみてくださいね。
出典:
※国土交通省<住まいのあんしん総合支援サイト>より引用
国土交通省「保険事故の発生部位」
Text:山本美紀(やまもと みき)
CFP(R)認定者
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