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60歳からの資産運用と投資戦略は安全重視で

ファイナンシャルフィールド / 2018年12月6日 8時30分

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人生100年時代の到来ともいわれ、誰しも老後が長くなっています。これまで築いてきた金融資産を、どのように運用していくかは大きな課題です。銀行の定期預金の利息が「すずめの涙」でしかないため、資産の運用は大切になります。   一方で、「高い配当を保証します!」という甘い言葉に乗せられ、詐欺に引っかかることだけは避けたいものです。  

退職金をどのように運用するか

会社員で60歳前後の人は、完全にリタイアする人、現在の会社に継続して残る人、他の会社に再就職する人、それぞれの道があります。しかしこの時期に退職金を受け取る人が多いはずです。
 
その際、住宅ローンの残高がある、子どもの養育費がまだかかる人は、そのために資金を回す必要があります。こうした資金を必要としない人は、1000万円以上の現金を手にするため、どのように運用するかは悩むところです。
 
銀行などの金融機関はこうした層の取り込みに熱心で、いろいろなプランを提示してきます。定期預金はほとんど利息が付きませんから、もし年2~3%を超える利回りで運用できれば、それだけ貴重な老後資金を延命させられます。
 
多くの金融機関は、長期運用を前提に、国内債券、国内株式、海外債券、海外株式の4分野に分散投資する「投資信託」を勧めます。
 
投資信託は、少額投資が可能、分散投資ができる、専門家に運用を任せる、という点では、投資初心者に都合のよい特性をもつ商品です。
 
その際に問題となるのが、どの分野へどの程度の比率で投資するのか、その判断を求められます。個人の希望に沿って投資比率を決めるからです。
 
リスクをとって積極的に投資するなら、株式しかも海外の比率を高く、堅実に行くなら債券しかも国内の比率を高く、というのが一般的な傾向です。
 
年に3%以上の運用利回りを期待するなら前者の方針になりますが、株価の急落などで資産自体がマイナスになる危険も考える必要があります。後者の場合は、資産がマイナスになる可能性は極めて低いですが、年間の運用利回りは1%を多少超える程度と思われます。
 
その意味では、退職金を手にする前に、どのような指針で臨むべきか、自分で勉強し多少の知識は身に着けておくことも必要です。そうすれば勧められた商品がどのようなものなのか、自分で判断できるからです。
 

年齢とともに安全資産を増やす

銀行預金などは利息がほとんど付きませんが、すぐに引き出せる流動性の高い安全な資産の一つです。日本国債も発行額が膨らみ問題はありますが、これに近いといえます。優良会社の社債も対象になります。
 
先に説明したバランス型の投資信託も比較的リスクは少ないと思いますが、高齢になるほど、保有する金融資産の2~3割以上は、銀行預金など手堅い資産で保有したいものです。
 
40代や50代の人なら、リスクの高い株式投資を行うことができます。多少の損失を抱えたとしても給与収入などがあり、その損失を補填する能力があるからです。
 
しかし定年退職後、年金収入が中心となる人にはそうはいきません。
 
60代、70代と高齢になればなるほど、商品先物取引、FX取引といった非常にリスクの高い取引はもとよりですが、内外の株式などの金融資産比率を減らし、銀行預金など安全な資産の比率を高めていくことが大切です。
 

分散投資は運用の基本

特定の金融商品に資産を集中させることも避けましょう。金融資産のほとんどが海外の株式であったりすることは好ましくありません。
 
株式、債券、投資信託、銀行預金など、金融資産を分散して保有しましょう。特定の商品にのめり込むことは避けたいものです。とくにリスクの高い商品への集中投資は非常に危険です。
 
未公開株や配当が高いと宣伝する商品には、怪しげなものがたくさんあります。とくに電話での勧誘には絶対に乗らないことです。「海外リゾートへ投資で年5%超の高い配当を実現!」などの謳い文句は、危険だと思って間違いありません。
 
銀行預金では資産が増えないからといって、手持ちに資産をこうした商品につぎ込み、結果的に詐欺に被害に遭う危険もあるからです。詐欺に引っかかっても、大切な老後資金は一切戻ってきません。
 

手数料が高い商品には注意を

手数料にも配慮しましょう。投資対象商品の中には、手数料が高額な商品もあります。高い収益をめざしている商品には、仕組み自体が非常に複雑な商品が多く、そのため手数料も高額になります。
 
商品の仕組みが機能し、順調に運用され資産が増加している場合は気にならないのですが、景気変動などの影響で運用実績が落ちているにも関わらず、高い手数料を取られていては、実際に損失を出しかねません。こうした商品を購入するかの判断が求められます。
 
同じ商品を購入する際も、手数料が購入場所で異なりますので注意したいものです。典型的なのが投資信託です。投資信託は専門の運用会社が担当するため、比較的知識のない人でも安心して購入できます。
 
ただ銀行の窓口で投資信託を購入すると、かなりの手数料を取られます。銀行は収益目的で手数料を取って投資信託を委託販売しています。証券会社に比べ高いのが一般的です。証券会社でも、ネット証券の扱い商品の中には、「ノーロード」といって手数料のかからない投資信託も多数あります。
 
商品の購入先をどこにするかについては、検討する必要があります。
 
また、非課税制度であるNISAは、運用益や配当に対して税金がかかりません。通常は運用益に関して20%の税金がかかりますので、各種の配当などを受け取る際に、NISAを限度内で積極的に活用しましょう。
 
株式や投資信託で運用する際は、かなりの部分は余裕資金で運用し、多少の損失が出ても、資産全体に大きく波及しないように、心がけたいものです。
 
Text:黒木 達也(くろき たつや)
経済ジャーナリスト
 

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