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子どもが2人とも中学から私立校に通ってきたので、貯金を使い切りそうです。大学に進学する際、「給付型」の奨学金は利用できますか? 基準が厳しいのでしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年12月1日 9時0分

子どもが2人とも中学から私立校に通ってきたので、貯金を使い切りそうです。大学に進学する際、「給付型」の奨学金は利用できますか? 基準が厳しいのでしょうか?

大学進学費用の負担を少しでも軽減するために、給付型の奨学金を利用することは、有効な手段のひとつです。ただし、給付型奨学金を利用するには、一定の要件を満たしている必要があります。どのような要件があるのか、本記事で解説します。

奨学金制度とは

奨学金制度は、国や自治体、大学や団体などが各自で設けている制度で、大学などへの進学を希望している人が経済的事情から進学をあきらめないように、奨学金を給付あるいは貸与するものです。また、奨学金制度のなかには、学業などが優秀な人を応援する目的のものもあります。
 
一般的に、奨学金には次の2つの種類があります。
 

・給付型(基本的に奨学金の返済は不要)
・貸与型(低金利もしくは無利子で借りる奨学金で、返済の義務あり)

 
奨学金の対象となるには、家庭の収入や資産状況、本人の学業成績などといった要件を満たしている必要があります。一般的には、給付型よりも貸与型の要件のほうがゆるやかになっています。
 

日本学生支援機構の給付型奨学金

奨学金制度を実施している代表的な公的機関として、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)があります。日本学生支援機構の給付型奨学金の対象となれば、大学・専門学校などの授業料や入学金も、免除または減額されます。
 
進学を希望している学校が制度の対象となっているかどうかは、文部科学省のホームページに「支援の対象となる大学・短大・高専・専門学校一覧」がありますので、そちらで確認してみましょう。
 
また、日本学生支援機構の奨学金制度では、世帯構成や収入などに応じて給付額の区分が決められていて、区分には第1区分から第4区分まであります(第4区分は2024年度より新規拡充されました)。
 
ここでは、返済が不要な日本学生支援機構の給付型奨学金を参考に、給付を受けるための要件や給付額がどのようなものか、見ていきます。
 

給付型奨学金の給付対象要件

日本学生支援機構の給付型奨学金の対象となるためには、以下の2つの要件をどちらも満たしている必要があります。
 

・世帯収入や資産(家計基準)
・学業の成績や学ぶ意欲(学力基準)

 
家計基準には「収入基準」と「資産基準」があり、奨学金を申し込む本人(進学者)と生活維持者(原則として父母)が、それらを満たしている必要があります。
 
【収入基準】
収入基準は支援区分ごとに、図表1のようになっています。
 
図表1

支援区分 収入基準
第1区分 本人と生計維持者の市町村民税所得割が非課税
第2区分 本人と生計維持者の支給額算定基準額の合計が100円以上2万5600円未満
第3区分 本人と生計維持者の支給額算定基準額の合計が2万5600円以上5万1300円未満
第4区分 本人と生計維持者の支給額算定基準額の合計が5万1300円以上15万4500円未満

出典:日本学生支援機構「進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準」より筆者作成
 
なお、図表1の支給額算定基準額は以下の式から求めます。
 
支給額算定基準額=課税標準額×6%-(市町村民税調整控除額+市町村民税調整額) ※100円未満切り捨て
 
参考として、給与所得者の年間収入額で上限の目安は図表2のようになります(親Aが給与所得者です)。ただし、数字はあくまで目安ですので、世帯構成や各種保険料の支払い状況などにより、目安の金額を上回っていても対象となる場合や、下回っていても対象とならない場合があります。また、給与所得者以外の世帯でも、目安の数字は異なってきます。
 
図表2

世帯人数 世帯構成 第1区分 第2区分 第3区分 第4区分
2人 本人
親A
207万円 298万円 373万円 630万円
3人 本人
親A
中学生
221万円 298万円 373万円 630万円
4人 本人
親A
親B(無収入)
中学生
271万円 303万円 378万円 635万円
4人 本人
親A
親B(給与有)
中学生
親A
221万円
親B
115万円
親A
242万円
親B
155万円
親A
320万円
親B
155万円
親A
587万円
親B
155万円
5人 本人
親A
親B(パート)
大学生
中学生
親A
321万円
親B
100万円
親A
395万円
親B
100万円
親A
461万円
親B
100万円
親A
698万円
親B
100万円

出典:日本学生支援機構「進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準」より筆者作成
 
日本学生支援機構が提供している「進学資金シミュレーター」では、収入基準に該当するかおおよその確認もできますので、利用してみるとよいでしょう。
 
【資産基準】
資産基準は、奨学金の申込日時点で本人と生計維持者の資産額の合計が 2000万円未満(生計維持者が1人のときは1250万円未満)であることが要件となっています。
 
資産には、以下のものが含まれます。
 

・現金やこれに準ずるもの(退職金含む。投資信託、投資資産として保有する金・銀など)
・預貯金(普通預金、定期預金)、有価証券(株式、国債、社債、地方債など)

※有価証券や投資信託は時価で換算
・満期や解約により現金化した保険

 
土地や建物などの不動産、貯蓄型生命保険や学資保険などは、資産基準の対象にはなりません。
 
【学力基準】
学力については、奨学金の申し込み時点で原則として以下のいずれかを満たしている必要があります。
 

・高等学校などにおける第1学年から申込時までの全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること
・将来、社会で自立し、および活躍する目標をもって、入学しようとする大学などにおける学修意欲(学ぶ意欲)を有することが、文書、面談などにより確認できること

出典:日本学生支援機構「進学前(予約採用)の給付奨学金の学力基準」より筆者作成

 
家計基準を満たしていれば成績だけで判断されず、加えてしっかりとした「学ぶ意欲」があれば、支援を受けることができます。
 

給付型奨学金の給付額

日本学生支援機構の給付型奨学金の対象となることで受けられる給付金(月額)の一例(第1区分の場合)は、図表3のようになっています。
 
図表3

第1区分の場合 自宅通学 自宅外通学
国公立 大学
短期大学
専修学校(専門課程)
2万9200円 6万6700円
高等専門学校
(第4学年以上)
1万7500円 3万4200円
私立 大学
短期大学
専修学校(専門課程)
3万8300円 7万5800円
高等専門学校
(第4学年以上)
2万6700円 4万3300円

出典:日本学生支援機構「給付奨学金の支給額」より筆者作成
 
その他の区分における支給額は、第1区分の支給額に対して、図表4のようになっています。
 
図表4

第2区分 第1区分の支給額の約3分の2
第3区分 第1区分の支給額の約3分の1
第4区分(多子世帯※に属している場合) 第1区分の支給額の約4分の1

※扶養する子どもの数が3人以上の世帯
筆者作成
 

まとめ

給付型奨学金は返済が不要であり、学費負担が軽減されるので、可能なかぎり利用したいところです。
 
本記事では、日本学生支援機構の給付型奨学金の給付を受けるための要件などを解説してきました。給付型奨学金は、住んでいる自治体や団体、進学先の大学などでも用意されている場合があります。日本学生支援機構にかぎらず、給付型奨学金のある奨学金制度を実施している団体などをしっかり確認して、準備するようにしましょう。
 

出典

文部科学省 支援の対象となる大学・短大・高専・専門学校一覧
日本学生支援機構 進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準
日本学生支援機構 進学前(予約採用)の給付奨学金の学力基準
日本学生支援機構 給付奨学金の支給額
日本学生支援機構 進学資金シミュレーター
 
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)

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