将来は年金を「月20万円」もらいたい! 現役時代の年収はどのくらい必要? 実際の「手取り額」もあわせて解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月30日 4時40分
リタイア後の生活を設計するにあたり、多くの人が思い浮かべるのが主な収入源となるであろう老齢年金ではないでしょうか。老後に年金収入だけで生活するためには、「月20万円くらいは必要かな」と漠然と考えている人も少なくないはずです。 本記事では、老齢年金を月20万円もらうために必要な現役時代の収入について計算しました。また、月20万円受給した場合の実際の手取り額や、ゆとりある老後のため年金額を増やす方法についても詳しく解説します。
年金を月20万円もらうために必要な現役時代の年収は?
老齢年金は、「基礎年金」と「厚生年金」に分かれています。2024年度の老齢基礎年金の満額は月額6万8000円です。老齢基礎年金は収入にかかわらず一定の額のため、老齢年金を月20万円もらうためには、厚生年金から月13万2000円以上もらう必要があります。
現役時代に厚生年金に加入していた場合、標準報酬月額に基づいて厚生年金の額が計算されます。計算式は図表1のとおりです。
図表1
日本年金機構 は行 報酬比例部分より筆者作成
厚生年金に加入していた年代にもよりますが、年金を月20万円受給するためには、40年間の標準報酬月額の平均が約60万円、年収にすると約720万円必要となる計算です。
年金20万円を受け取る人の実際の手取り額はどうなる?
老齢年金で20万円受給できるといっても、実際には健康保険料などの社会保険料が天引きされるため、手取り額はこれより少なくなります。老齢年金から差し引かれる税金や社会保険料には、次の4つがあります。
●所得税:所得に応じて課税
●住民税:所得に応じて課税
●健康保険料:前期・後期高齢者医療制度の保険料で、所得に応じて課税
●介護保険料:40歳以上の人が加入する介護保険の保険料で、所得に応じて課税
お住まいの都道府県や市区町村によって金額は異なりますが、老齢年金を月20万円受給している場合は、実際の手取り額は月額約17万円になります。
年金を少しでも多く受け取るための方法を紹介
老齢年金を月20万円以上もらうには、平均年収720万円で40年間厚生年金に加入する必要があることが分かりました。一方、国税庁の調査によると2023年の日本人の年間平均給与は460万円です。このため、実際には40年間の平均年収を720万円とすることは多くの人にとっては難しいといえるでしょう。そこで、少しでも年金受給額を増やす方法を3つ紹介します。
定年後も仕事を続ける
定年年齢が60歳から段階的に65歳へ引き上げる企業が増えています。さらに定年以降も働き続けることで、厚生年金保険の加入期間が延びるため、年金受給額を増やすことが可能です。例えば、60歳から月収20万円で5年間働けば、年金を年間で約6万5000円増やせることになります。
年金の繰下げ受給
2022年4月から、最大75歳まで老齢年金を繰下げ受給できるように制度が一部改正されました。繰下げ受給は月単位で可能で、1ヶ月あたり0.7%増額します。70歳まで5年間繰り下げると42%、75歳まで繰り下げれば最大84%増額できます。老齢基礎年金、老齢厚生年金のどちらか一方のみ繰り下げることも可能です。
現役時代から企業年金や個人年金で準備する
確定給付企業年金、企業型確定拠出年金などの企業年金に加入し、老齢年金の3階建部分として準備しておく方法もあります。企業年金がない企業もありますが、その場合でもiDeCo(個人型確定拠出年金)や個人年金保険などの私的年金で、老後資金を準備できます。
まとめ
月20万円の年金を受け取るためには、現役時代に平均年収約720万円で、40年間厚生年金に加入する必要があります。しかし、日本の年間平均給与は460万円のため、年金を月20万円もらうのはなかなか難しいでしょう。
年金額を少しでも増やすためには、定年後も働いて厚生年金の加入期間を延ばしたり、年金の繰下げ受給を検討したりする方法があります。このほかにも、3階建部分にあたる企業年金やiDeCoなどの私的年金など、さまざまな老後資金準備の方法があります。
また、老齢年金からは税金や社会保険料が天引きされるため、実際の手取りは少なくなります。月20万円受け取れる人の実際の手取り額は約17万円です。実際の手取り額も考慮して、老後の生活設計を立てることが大切です。
出典
日本年金機構 令和6年4月からの年金額等について
日本年金機構 は行 報酬比例部分
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査結果について
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:古澤綾
FP2級
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