年金っていくらぐらい受け取れるの?厚生年金のあるなしでどれくらい差が出る?
ファイナンシャルフィールド / 2019年1月31日 23時15分

将来に不安があると、日々の生活でも自由に消費できず何となく節約してしまうものです。将来の不安で特に大きいのはお金です。公的年金だけで将来生活していけるなら、不安は一気に半減しそうなものですが、それができるのかどうか? そもそもいくら年金を受け取れるか知らない人が意外と多いです。 そこで、現在老齢年金を受け取っている人の年金事情から、将来の生活を少しイメージしてみました。
厚生年金もある男性の老齢年金は平均192万円
厚生労働省年金制度基礎調査では、日本年金機構が支給する老齢年金の受給者を対象に年金や生活に関する調査をしています。その調査結果から年金受給者が受け取っている年金額を表にまとめてみました。
表は厚生・共済年金の有無と性別にわけてあり、最初の表は厚生・共済年金もある男性受給者本人を年齢階級別にわけて、それぞれ50万円刻みにした年金額の分布を割合(単位:パーセント)で表したものです。年齢階級別の平均受給額は右端に載せてあります。
年齢階級別本人の公的年金額の分布割合(男性・厚生年金あり)

資料:厚生労働省『年金制度基礎調査平成29年』をもとに筆者が割合を計算
厚生・共済年金有りの男性受給者の年金額は、200~250万円の割合が27.5%で最も高くなっています。年齢階級別の割合では、65歳未満は50~100万が最も高いですが、65歳から79歳までは200~250万円が最も高く、80歳以上は250~300万円が最も高くなっています。どの年齢階級でも受給額に差があり、例えば70歳~74歳では50~100万円に11.5%いれば、250~300万円にも13.9%います。
受給している平均額は全体で191.9万円、85歳~89歳では230.2万円となっています。年間240万円で月々20万円になるので、一人暮らしなら他に多少の貯金でもあれば何とかなる年金額と言えなくもないです。
2つ目は厚生・共済年金もある女性についての表です。
本人の年齢階級別の公的年金額の分布割合(女性・厚生年金あり)

資料:厚生労働省『年金制度基礎調査平成29年』をもとに筆者が割合を計算
厚生・共済年金有りの女性受給者では、50~100万円の割合が34.7%で最も高く、次が100~150万円の24.0%となっています。年齢階級別では、65歳未満は50万円未満が最も高く、65歳から79歳までは50~100万円、80歳~84歳は100~150万円、85歳以上は150~200万円の割合が最も高くなっています。
受給している平均額は全体で114.8万円となっており、男性より77万円低く、月々10万円にもなりません。どの年齢階級でも年金額の平均値は男性よりかなり低くなっていますが、中には350万円以上受け取っている女性もいます。
80歳以上で平均が150万円程度に上がっているのは、夫の遺族年金を受給している可能性もありそうです。ただ、この平均年金額だけで生活するとなると、一人暮らしでも厳しいです。
厚生年金がないと老後は成り立たない!?
次は厚生・共済年金のない国民年金のみの受給者について、まずは男性から表にしてみました。
本人の年齢階級別の公的年金額の分布割合(男性・厚生年金なし)

資料:厚生労働省『年金制度基礎調査平成29年』をもとに筆者が割合を計算
厚生年金や共済年金がないので、厳しい年金額になっています。受給額で最も多いのは50~100万円の77.7%で、50万円未満の20.6%と合わせると、ほとんどの人が100万円未満となっており、どの年齢階級でも100万円以上は僅かしかいません。
平均の年金額も全体で66.0万円、年齢階級別にみても大差はなく、60万円前後となっています。
国民年金は満額受給しても年80万円弱なので、100万円に満たないのは普通のことです。50万円未満の人は納付していない期間が一定以上あるからで、100万円を超えている人は国民年金基金等にも加入していて、その受給額を足しているからなのかもしれません。
最後は厚生・共済年金のない国民年金のみの女性受給者の表です。
本人の年齢階級別の公的年金額の分布割合(女性・厚生年金なし)

資料:厚生労働省『年金制度基礎調査平成29年』をもとに筆者が割合を計算
男性と同じく50~100万円が最も多いですが、男性より8.9%低く、代わりに50万円未満が30.3%と男性より9.7%高くなっています。どの年齢階級でも100万円未満がほとんどで、200万円以上受け取っている人はいません。
平均年金額は61.3万円で男性より4.7万円低く、90歳以上が48.4万円で特に低くなっています。
男性も女性も厚生年金や共済年金がないと、公的年金だけで生活していくのは相当厳しいと言えます。厚生年金や共済年金がない人は、何らかの方法で安心できるだけの資産を準備し、将来の生活が成り立つようにしておく必要があります。
今日からでも早速準備を始めましょう!
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
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