マイホームの出口戦略。「マイホーム借り上げ制度」ってなに?
ファイナンシャルフィールド / 2019年2月12日 9時15分
ライフステージによって、マイホームの持つ意味や価値は変わってきます。例えば、お子さんが生まれて、それまで住んでいたアパートから新築の一戸建てに移り住むというステージでは、マイホームは家族の幸せを実現するための舞台と言えるでしょう。 また、お子さんの成長にともない、住み続けているマイホームも老朽化するため、屋根や壁、水回りなどのメンテナンスが必要になる時期が訪れます。そして、お子さんが独立し、夫婦ふたりの生活になったとき、マイホームをどうするか、具体的に検討するステージに入ることでしょう。
自宅を貸すときのひとつの選択肢「マイホーム借り上げ制度」
お子さんが独立し、夫婦だけになった。このタイミングがマイホームの出口戦略(マイホームをどのように処分していくか)を描く時期と言えます。方法としては、(1)「そのまま住み続ける(建て替えも含む)」、(2)「取り壊す」、(3)「売る」、(4)「貸す」の4つがあります。
今回は、一般社団法人移住・住みかえ支援機構の「マイホーム借り上げ制度」について見ていきたいと思います。マイホーム借り上げ制度とは、簡単に言うと、「マイホームを貸したい人」と「借りたい人」を、移住・住みかえ支援機構がマッチングしてくれる便利な制度です。
例えば、こんなイメージです。50歳以上でマイホーム(一戸建てやマンションなど)を所有している人が、だれかに自宅を貸したいとします。移住・住みかえ支援機構が、このような方の物件を借り上げ、その後、子育て世帯などで借りたいという方を探し、転貸するという仕組みです。
なぜ、マイホーム借り上げ制度が優れているかというと、「高齢者世帯」の持つ自宅という不動産を「子育て世帯」に貸すことで、資産の有効活用が図られ、特に、中古住宅の流通に寄与できる仕組みになっているからです。
アパートなどで暮らしている子育て世帯は、子どもの成長にともなって、広い住宅への住み替えを検討することもあるでしょう。とはいえ、新築にしろ、中古にしろ、マイホームを買うとなると、家計の負担が心配という状況があります。
一方、夫婦ふたりしか暮らしていない高齢者世帯にとって、広すぎる家は管理が大変です。どこか別の場所に移住して、自宅をだれかに貸せるなら、賃料収入が入ってくるため資産の有効活用になります。
このような両者のニーズをマッチングさせる方法のひとつとして、移住・住みかえ支援機構の「マイホーム借り上げ制度」があるわけです。
「マイホーム借り上げ制度」、具体的にはどんな制度?
具体的に制度の中身を見ていきましょう。あくまでも一般的なケースとしてポイントを押さえていきます。
○貸す人
原則、50歳以上で、日本国内に住宅(一戸建てやマンションなど)を所有している人。
○契約形態
貸す人は移住・住みかえ支援機構と借家契約を結ぶ必要があり、その形態は2種類。
・終身型:貸す側の人が亡くなるまでずっと貸すという契約
・期間指定型:貸す側の人が指定した期間の間で貸すという契約
○賃料保証
契約期間中、空き家になった場合でも、賃料を保証。
○借りる人
原則、主として子育て世帯向けに移住・住みかえ支援機構が転貸(定期借地契約)。
実際に、マイホーム借り上げ制度を活用するケースを、いくつか想定してみましょう。
・会社で転勤の辞令がおりたため、家族で新たな赴任地にいくことになった。家を売るわけにもいかないため、転勤期間中、一時的にだれかにマイホームを貸したいという場合。
・親が高齢で、体が不自由になってきた。親が今住んでいる家を、とりあえずだれかに貸し、息子の家で一緒に暮らすという場合。
・退職後は一時的に海外移住を考えており、自宅を空にするのも心配なので、海外に移住している期間だけ、だれかに貸しておきたいという場合。
・介護施設に入所することにし、自宅をだれかに貸して、賃料収入を余生の生活の足しにしていこうという場合。
このように、いろいろなケースが想定できますが、マイホームの借り上げ制度は、マイホームの出口戦略を描くうえで時代に合った方法のひとつと言えます。
まとめ
住まい方は、直接的に生き方に関わってきます。生き方の多様性が重要視されてくるこれから、新たな住まいの方法として「マイホームの借り上げ制度」は今後、ますます注目されてくるのではないでしょうか。
さて、これまで、マイホームに関わる話をしてきました。マイホームに関わるお金は、おおよそ「支出」に関する項目に該当しますが、次回はまとめとして、家計内におけるマイホーム関連のお金を整理していきます。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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