ドル建て生命保険よりもセロクーポン債を買うほうがコスパが高い理由
ファイナンシャルフィールド / 2019年2月13日 11時0分
外貨建て生命保険、特にドル建て生命保険の中身は「アメリカ政府のゼロクーポン債だ」とおっしゃる方が、いらっしゃいます。 ドル建て生命保険を「あってはならない万が一」に備える、すなわち「保障を目的」として契約するのでしたら、まあ、分かります。が、「老後資金準備」などの「遠い将来に備える」、いわば利殖目的で契約することは、私はナンセンスとしか言いようがないと思います。 利殖目的なのでしたら、ドル建ての生命保険を契約するよりもゼロクーポン債を買う方が、よほどコスパが高いと思うのです。
ゼロクーポン債とは
ゼロクーポン債とは読んで字のごとく「クーポンがゼロ」な債券のことです。クーポンとは「利息」のことです。つまり、「無利息債券」ということになります。利息が無い債券じゃあ、面白味も何にも無いですよね。
ちなみに、ゼロクーポン債でメジャーなのが、アメリカ政府が発行するゼロクーポン債です。アメリカ政府が発行、つまりアメリカの国債ですね。
ところで、債券って?
債券とは国債・地方債・社債の総称です。国債は政府が資金調達のために発行します。政府の借金ですね。地方債は、自治体(日本なら一部の都道府県や政令指定都市)が、やはり資金調達のために発行します。自治体の借金ですね。
なお、国債と地方債の総称として「公債」と呼ぶこともあります。社債は、やはり企業が資金調達のために発行します。企業にとっても借金です。
ゼロクーポン債を日本語で
ゼロクーポン債は、発行(=新規に発売)する時に、「額面(=満期時に返してもらえる金額」よりも、いくらか「割り引いて」発行されます。そのため、ゼロクーポン債のことを日本語では「割引債」とも言います。
日本は低金利になって久しく、今や低金利どころかマイナス金利となってしまったので、日本では割引債は長いこと発行されていません。
2002年3月ごろまで、当時の都市銀行(=現在のメガバンク)が発行していた「ワリトー(割引金融債)」の名前を、ご記憶の読者もいらっしゃるのではないでしょうか。割引債だから、ワリトーですね。
アメリカにあった、ゼロクーポン債にまつわる風習
アメリカのどの地域なのかは存じませんが、その昔、アメリカのある地域では20年満期のゼロクーポン債を生まれたての孫にプレゼントする、という風習がありました。
お祖父さまやお祖母さまに、あってはならない万が一のことが起きたとしても。ゼロクーポン債が、孫の20歳を見届けることができる、という趣旨だそうです。孫が20歳になる、つまり満期までの20年間一度も利息の払いがありませんから、文字通りのサプライズプレゼントになる、ということですね。
ドル建て生命保険の中身は「アメリカ政府発行のゼロクーポン債」だから安心
アメリカ政府が発行する債券、すなわちアメリカの国債ですから、世界一の経済力を背景に信用力は抜群ですよね。
ドル建て生命保険の中身は「アメリカ政府発行のゼロクーポン債」だから安心だけど問題なんです
アメリカ政府が発行するゼロクーポン債を含めて。債券は、どこで買うのか?
―証券会社の窓口です。
では、債券を買うに当たり、証券会社に手数料は必要でしょうか?
―いいえ、原則、不要です。(ただし、ドル建てであるアメリカの債券のように、外貨建て債券を日本円で買う場合には、為替手数料が必要です)。
外貨建て生命保険の中身はゼロクーポン債ですよね?
―その外貨建ての生命保険の(契約してから払っていく)保険料には、生命保険会社や、その代理店が受け取る「販売手数料」などのコストが含まれます。そして、被保険者の「万が一」が起きた時に備えて、「死亡保険金」という現金を準備しておかなくてはなりません。
まとめに代えて
ゼロクーポン債を証券会社の窓口で買う時に「掛からないハズ」のお金(販売手数料や死亡保険金)を、中身がゼロクーポン債だというドル建て生命保険の場合には、払っていかなくてはなりません。
冒頭でもお話ししたとおり、ドル建ての生命保険を「あってはならない万が一」に備える、すなわち「保障を目的」として契約するのでしたら、まあ、分かります。が、「老後資金準備」などの「遠い将来に備える」、いわば利殖目的で契約することは、私はナンセンスだと思います。
利殖目的なのでしたら、ドル建ての生命保険を契約するよりも、ゼロクーポン債を買う方が、よほどコスパが高いのです。
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
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