【相談】40代までにしておいた方がいい老後準備とは
ファイナンシャルフィールド / 2019年2月17日 23時10分
「人生100年時代」という言葉をよく目にするようになりました。 今、40代の方の残りの人生は50~60年。そのうち働いて収入があるのは長くて70歳くらいまでだとしたら、残りの30年は自力でどうにかしないとならないことになります。30年間の老後生活に備えて、どのような準備ができるかを考えてみます。
もらえるお金を調べること
まずは、ねんきん定期便、ねんきんネットを使って公的年金の金額を調べましょう。
ねんきん定期便の見方は、日本年金機構のサイトで確認できます。50歳未満の方は、「これまでの加入実績に応じた年金額」が書かれていますので(35歳、45歳の方は「これまでの年金加入履歴」)、実際にもらえる予定の金額よりも少なくなっています。
より正確に知りたい方は、ねんきんネットで、今の収入が続いた場合の見込み額を調べると良いでしょう。さらに、勤務している会社の退職金や企業年金を調べます。これで、老後の収入概算を把握することができます。
必要な資金を確かめる
毎月の生活費はどれくらいかかっているか?この先インフレが起こるかもしれませんが、まずは現状の出費から、老後必要となる資金を見積もります。
住宅ローンの返済や教育費がかかっている人は、その分を省くことができます。逆に、生涯賃貸住宅派、老後は老人ホームに入りたいなどの希望のある人は、その分の費用も見積もっておく必要があります。
100歳まで生きるとして、「公的年金の他に退職金なども含めた収入」-「支出」の差が不足金額です。
老後準備に最強なiDeCo(イデコ)
不足額がわかったら、いよいよ老後準備に取りかかります。個人型確定拠出年金(通称iDeCo)は、月5000円から始めることができ、税メリットも大きいので、ぜひ活用したいものです。
iDeCoは2019年1月現在、20~60歳までの人が加入できますが、以下の通り、職業や勤務先の年金制度によって限度額があります。
◆公務員等共済加入者:月1万2000円
◆会社員(企業年金あり):月1万2000円または2万円(※企業年金の種類による。企業型確定拠出年金に加入している方は、企業の規約によりますので会社にお問い合わせください。)
◆会社員(企業年金なし):月2万3000円
◆専業主婦(夫):月2万3000円
◆自営業者・学生等:月6万8000円(※国民年金基金、国民年金付加保険料と合算)
iDeCoのメリットは大きく3つあります。
その1. 老後資金のための長期積立なので、60歳まで引き出せずに淡々と積立ができること。
その2. お金を出しても、運用益が上がっても、もらう時も節税効果があること。
その3. 投資信託による資産分散をし、リスクをコントロールできること。iDeCoで対象となっている商品は、手数料の安いものが多いのも特徴です。
例えば、年齢40歳、年収800万円で、毎月2万3000円の掛け金を60歳まで20年間積み立てたとしましょう。積立額は合計552万円ですが、これに対して165万6000円の所得税の還付および住民税の減額が受けられます。※2
つみたてNISAとの合わせ技で1000万円以上の資金を確保
iDeCoと併せてやっておきたい老後準備の方法として、2018年より始まった「つみたてNISA」もあります。つみたてNISAは年40万円まで、金融庁が長期で積立するのに適していると認めた投資信託を買っていく制度です。
必ず積立ですることが条件です。毎月3万円ほど、もしくは毎月2万円ほどにして、ボーナス月に多めに積立し、年40万円の枠を使いきることにします。運用益には通常20.315%の税金がかかりますが、つみたてNISAでは無税になるメリットがあります。iDeCoと違い、引き出すことはいつでもできます。
つみたてNISAの投資可能期間は、2018~2037年です。2019年から始めると、制度は残り19年間ですので、最大760万円を積立することになります。先のiDeCoの例と合わせれば、税メリットを得ながら1312万円(手数料や運用損益を考慮前)の資金が準備できるのです。
なお、iDeCoもつみたてNISAも、口座を開設して実際に積立をスタートするまで、数ヶ月かかることがあります。最大限、優遇措置を受けるために、早めに動きましょう。
老後準備は小さく始めて考えすぎない
サービスや制度は時代に合わせて変化していくものです。40代ではまだ教育費や住宅ローンなどの支出が大きく、iDeCoもつみたてNISAも満額は難しいかもしれません。
とはいえ、老後が近づいてくると、残りの人生で稼げる収入は減ります。収入がなくなってから、もしくは、そんな時期が目の前に迫ってから、老後に必要なお金の必要性に気付いても、手遅れになります。
まずは考えすぎず、数千円からでも始めてしまいましょう。家計に少し余裕ができたら、増額していけばいいのです。老後準備は早ければ早いほど望ましいのです。
出典:※2 特定非営利活動法人 確定拠出年金教育協会の「iDeCoナビ」による平成27年の税制での試算
執筆者:杉山夏子(すぎやま なつこ)
2018年日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員
一般社団法人 家族信託普及協会®会員
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