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相続税の増税で見直される贈与税の仕組み 

ファイナンシャルフィールド / 2019年3月31日 2時30分

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相続税については、基礎控除額が大幅に引き下げられたため、多くの人が相続時に税金を納めることになりました。   しかし贈与税は、子どもや孫に対しての基礎控除額は、相続税とは反対に引き上げられているため、生前に贈与することへのメリットが増えています。相続に際しても利用する価値もありそうです。  

相続増税で多くの人が課税対象に

相続税の基礎控除額は2015年以降、『3000万円+600万円×相続人の数』と従来よりも減額され、そのため相続時に課税対象になる人が増えています。
 
2014年までは、基礎控除額は『5000万円+1000万円×相続人の数』でした。もし相続人が1人でも、6000万円の基礎控除が認められていましたが、現在は3600万円だけです。相続財産が6000万円を超える人は、それほど多くはなかったはずです。この変更により、これまで相続税とは無縁だった多くの人が、納税する立場に変わりました。
 
しかし贈与税は、従来に比べ税額が緩和されています。もともと贈与税の税率は高く、多くの金額の移転には不向きだったため敬遠する人が多かったのですが、相続税が2015年以降重くなったことで、見直されるようになりました。
 
人が亡くなった後に残された人たちが財産を配分するのではなく、本人が生前に実行することで、贈る側の意向も十分に反映される仕組みです。自分の死後、親族同士が相続でトラブルにならないよう、前もって贈与しておく方法としては、非常に利用価値があります。
 

贈与税には特定贈与と一般贈与がある

贈与は相続とは異なり、親族以外の誰にでも行うことができます。現金はもとより土地などの不動産も対象です。全くの他人でも贈与税を支払えば受けることが出来ます。しかし基礎控除額は110万円で、相続税に比べると非常に低い額でこれを超えると贈与税の課税対象になります。
 
年間100万円ほどの現金の贈与は、税務上も申告が不要です。しかし土地などの不動産を贈与すると、贈与金額も多くなります。不動産価値が110万円を超えた場合は、申告し贈与税を支払っておくと相続時にも説明が容易になります。
 
これまで贈与税の体系は基本一律でしたが、子どもや孫などへの贈与については、「特定贈与」が適用されています。基礎控除を引いた課税価格が300万円超の贈与では、誰もが対象となる「一般贈与」に比べて、税率面で優遇されます(図表参照)。ある意味では、生前に実行できる遺言でもあり、子どもや孫に対する意思表示になります。
 

 
「特別贈与」は「一般贈与」に比べるとメリットもあるため、その後に想定される相続税を軽減する意味で、もう少し活用されてもよさそうです。例えば、基礎控除後の課税価格が1000万円だとするケースでは、特定税率で計算した贈与税納付額は210万円で済みますが、一般税率では275万円となり、納付額で65万円の差が生まれます。ただし、贈与額が比較的少ない基礎控除後の課税価格が300万円以下のケースでは、どちらで計算しても同額になります。
 
相続の前の段階で、親や祖父母などが自分の意向を反映させ、額は多くはなくても子どもや孫へ受け渡す仕組みになっています。とくに多額の相続税が予測される場合、少しでもこの贈与を進めておくことは相続税対策としても効果的です。ただし贈与を行っても、3年以内に相続が発生すると、贈与は成立せずに改めて相続財産として再計算されます。
 
支払った贈与税は戻され、相続税として支払います。そのため贈与契約書を作成し、いつ贈与が成立しているかを明確にしておくと同時に、贈与税の納付書は保管しておく必要があります。
 

相続時精算課税の仕組み

もう一つの贈与税といわれる「相続時精算課税」という仕組みがあります。2003年から設けられた制度で、2500万円まで贈与ができます。
 
贈与した時点では一切贈与税はかかりませんが、相続が発生した時点で、相続税として税額を計算し相続税として支払う方法です。暦年課税の贈与税に比べると、支払い税額は低くなるメリットもあります。ただし一度この方法を選択すると、特定贈与などへの変更はできません。
 
通常の相続税と基本は変わりませんが、前もって贈与者は、決められた親族に財産を移転しておくことが可能です。相続で親族がトラブルを起こさないよう、贈与者・受贈者の意向を反映させるには適した制度です。前もって、多くの財産の移転が完了していれば、贈与者の意志もしっかりと反映され、トラブルを未然に防ぐ効果もありそうです。
 

住宅資金・教育資金の非課税制度

条件さえ合えば無税で贈与出来る仕組みがあります。通常の贈与とは異なり、親が子どもや孫に対する教育資金や住宅取得資金を贈与する場合、1回限りという条件ですが、教育資金1500万円、住宅取得資金1200万円までは、無税で贈与できます。
 
ただし、贈与を受ける側に一定の所得制限があります。2021年末までの期限付きの制度ですが、恒久化の方向で検討がされています。高齢者が多くの金融資産のかなりを保有している現実があり、こうした資金を市場で活用したいという政府の意向も反映された制度といえます。
 
それぞれ仕組みに沿った形での利用が求められますが、親世代から子どもや孫の世代へ、円滑な資産の移動ができる方法です。通常の贈与とは異なり、無税で移転できますので、教育費や住宅建設の援助など、利用目的に見合った対応が可能な人には、是非とも利用したい仕組みです。
 
執筆者:黒木達也(くろき たつや)
経済ジャーナリスト
 
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