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高校生の教育費、文部科学省の調査を参考にするとき注意したいこと

ファイナンシャルフィールド / 2019年5月11日 9時15分

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大学などへの進学にあたり、塾や予備校などに通う高校生は多いことでしょう。塾や予備校代は決して安くありませんから、「今のままで教育費は足りるだろうか」と、心配になる保護者も少なくないでしょう。   高校生の教育費はネットで検索すると情報を得ることができますが、多くのサイトで掲載されているのが、文部科学省の「子供の学習費調査」の金額です。しかし、塾や予備校に通うことを前提としているなら、この調査結果を参考にしてはいけません。  

「子供の学習費調査」とは

「子供の学習費調査」とは、文部科学省が隔年で実施している調査で、公立・私立の幼稚園、小学校、中学校、高校に通う児童の保護者が教育費にどれだけ支出をしたか、実態をとらえるための調査です。学校教育費と学校給食費、学校外活動費、調査結果は大きく3つに分けられます。
 
そして、ここで注意していただきたいのは「子供の学習費調査」は、進学を希望する生徒だけの教育費を調査対象としているわけではないということです。教育費が足りるかどうか心配する理由は、大学など進学にあたっての費用が多額になることに対する心配です。
 
しかし、「子供の学習費調査」は、塾に通っていない、塾費用が0円の生徒の教育費も含まれるのです。そのため、塾通いをしている生徒の教育費と「子供の学習費調査」の学校外活動費には大きな乖離があるのです。
 
さらに、学習費調査において、塾に通っていない高校生の割合は、公立・私立とも約6割であり、塾に行っていない生徒の割合のほうが多いのです。ですから、塾や予備校に通うことを前提としているなら、この調査結果を教育費の参考にしないほうがいいのです。
 
ちなみに、平成28年の調査結果(高校生のみ抜粋)は、以下のとおりでした(学校外活動費の中に塾費用が含まれます)。
 

 

塾通いの生徒のみを対象とした塾費用は?

「子供の学習費調査」の学校外活動費の内訳は、机や椅子、家で学習するための参考書、家庭教師費用、学習塾費用、ピアノや絵画教室、水泳、野球、サッカーなどのスポーツ教室、習字、英会話教室などの費用が含まれています。
 
このうち、学習塾費用のみを対象として、その費用が0円以外の費用をグラフ化しました。
 

 
このグラフより、公立、私立いずれの場合も、塾費用は年間50万円以上の割合がもっとも多いことが分かります。また、平均額については、公立高校が約30万円、私立高校が約40万円となっています。
 
なお、この金額は学習塾費用のみの金額です。ピアノやスポーツ教室などの費用は含まれていません。
 
「子供の学習費調査」における学習塾費用を含む学校外活動費の平均は、公立約17万円、私立は約29万円でした。しかし、塾に通う生徒のみを対象として塾費用を計算しなおすと、公立約30万円、私立約40万円となり、塾費用だけで学校外活動費を上回るのです。
 

現実に即した教育費を見積ろう

「子供の学習費調査」は、多くのサイトで教育費の目安として紹介されているだけでなく、ライフプランを作成するときに利用するライフプランソフトにも「一般的な教育費」として、初期設定されていることが多々あります。
 
ライフプランソフトの教育費は、カスタマイズ可能なケースが多いですが、まだ子供が小さい家庭だと、将来の教育費がどの程度かかるのか予想しづらく、カスタマイズできないこともあるでしょう。
 
しかし、カスタマイズすることなく、初期設定された教育費を用いてライフプランを作ってしまうと、現実と大きく乖離したライフプランになってしまう可能性があります。
 
ライフプランは、自分で作る、ファイナンシャルプランナーに作ってもらう、保険会社に作ってもらうなどのケースがあると思います。
 
もし、お子様の進学について塾に通うという選択肢があるのであれば、ライフプラン作成にあたっては、学習費調査の数字がそのまま設定されていないか、ぜひチェックしてみてください。設定されている場合は、修正する必要があります。
 
また、ネットで教育費を調べる際も、「子供の学習費調査」を目安金額として紹介していれば、塾に通っていない生徒も含む金額であることを、認識しておいてください。
 
進学のための受験対策費用としては、実際の進学塾や予備校のサイトで掲載されている料金をチェックするようにしましょう。
 
執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
CFP(R)認定者
 
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