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「立て替えるから来月中に退却しろ」大家からの突然の告白!言われた通り退却しないとダメ?

ファイナンシャルフィールド / 2019年5月21日 10時30分

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アパートやマンションなどを借りて居住しているとき、突然大家さんから建て替えのための退去を要求されたらどうしますか?   新しい住居はすぐに見つかるとも限りませんし、引越し費用や初期の契約費用などの出費も発生します。   このような場合、法律によって何かしらの保護を受けることはできないのでしょうか。  

退去の猶予は来月中

「このアパートは築40年を超えて老朽化が進んでいるため、先のことを考え建て替えようと思います。申し訳ないですが来月中に退去していただけませんか?」
 
Aさんは突然、建物の老朽化を理由に退去を迫られました。
 
しかし、アパートは老朽化が進んでいるとはいえ、まだまだ問題なく使用できる範囲です。契約期間もまだ4ヶ月ほど残っており、Aさんにとって今回の話は予想外な出来事でした。
 
退去するには次の居住先を探しながら引越しの準備もしなければならず、時間も出費もかさんでしまいます。
 
多忙なAさんとしてはまだまだこのアパートに住み続けたいと考え、大家さんに反対の意思を示しました。それに対し大家さんは来月中まで猶予を与えたのだからと一歩も引きません。
 
Aさんはこのまま来月中に退去しなければならないのでしょうか。
 

貸主からの解約には一定の制限がかかります

結論から述べると、本事例におけるAさんは来月中にアパートを出ていく必要はありません。
 
今回、大家さんはまだ契約期間が4ヶ月程度残っているにもかかわらず「来月中に退去してほしい」と契約の解除を申し出ています。
 
しかし、建物の賃貸借契約における借主の地位は借地借家法により保護が図られています。その保護の内容とは、期間の定めのある建物の賃貸借契約は基本的に契約期間の途中で解除することはできないといったものです。
 
それにより、期間の定めのある建物の賃貸借は更新拒絶(現在の契約期間の満了をもって賃貸借契約は終了するという申し出)の形式をとることが基本とされます。
 
また、更新拒絶の意思表示は期間の満了する1年前から6ヶ月前にしなければならないと定められています(借地借家法26条1項)
 
それに加え、賃貸人から更新拒絶の通知を行うには建物の現況や賃貸人が建物を必要とする理由、その他立ち退きの代わりに支払う代価の有無などを総合的に判断し、正当事由があると判断される場合でなければできません。(借地借家法28条)
 
今回の事例のように築年数が40年程度経過して建物の老朽化が進んでいるとはいえ、まだまだ通常の使用に支障がないのであれば、他に特別な事情のない限り老朽化による取り壊しのみをもって正当事由があると判断されることはまずありえません。
 
また、今回の例では立ち退き料の支払いもなければ賃貸人において建物を必要としている特別な事情もありません。このような理由により、Aさんは来月中にアパートを出ていく必要はないという結論となるのです。
 

建物の借主には一定の保護があります

建物の賃貸借は借地借家法の規定により、借主の地位が民法に比べ手厚く保護されています。
 
特に、期間の定めのある賃貸借は貸主からの中途解除ができないことが原則であり、かつ、更新拒絶の通知も1年前から6ヶ月前にしなければならない点は要注意です。
 
借主としては、突然更新拒絶や解約の通知をされてしまっても、慌てることなく冷静に契約内容と法令の内容を確認し、冷静に対応するようにしましょう。
 
また、必要と感じた場合はなるべく早めに各種専門家や相談機関まで相談するようにしてください。
 
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
 
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