もし世帯主が亡くなったら……子育て遺族の家計はどうする?

ファイナンシャルフィールド / 2019年8月4日 10時0分

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私は、FPとして毎年のように、若くして世帯主を亡くした方の相談を受けます。世帯主を亡くされた理由はさまざまですが、突然頼れる存在を失い、その後の生活基盤をどうしたらよいのかわからなくなり、ご相談にいらっしゃいます。   皆さんもいつ同じような状況になるかわかりません。実際の相談体験をもとにした知識をお伝えします。なお、遺族の住まいについて触れた前回に引き続き、亡くなった世帯主がサラリーマンで、女性配偶者と幼い子どもが遺族という前提で話を進めます。  

公的な遺族年金

遺族の生活を支えるものとしては公的な遺族年金があります。遺族基礎年金と遺族厚生年金です。
 
遺族基礎年金は支給要件を満たしていれば、年間78万100円に、第1と第2子は1人当たり22万4500円を加算、第3子以降は1人につき7万4800円加算されて支給されます(平成31年4月以降)。
 
遺族厚生年金は支給要件を満たしていれば、亡くなった本人が65歳以降に受け取る予定だった厚生年金の、だいたい4分の3の金額が支給されます。
 
それはいったいいくらなのか、知りたい方は多いと思います。しかし、亡くなった方のこれまでの報酬や加入期間によって変わってくるので、いくらになるのかはさまざまです。
 
具体的な金額を示して誤解を生じるといけないので、インターネット上でも計算式だけ記されているというケースがほとんどです。
 
あくまでの私の相談経験からですが、30代~40代前半の子育て家庭の世帯主が亡くなった場合の遺族厚生年金(年額)は、亡くなった年の月収くらいです。月収が額面30万円なら年間で30万円ということです。
 
しかし、30代~40代でも幅が広いですし、年収に対する賞与の割合によっても変わりますので、あくまで参考としての金額です。
 
しかし、子育て家庭は遺族基礎年金と遺族厚生年金だけでは、収入が年200万円に遠く届かないとイメージしていただければ、公的な遺族年金だけで生活していくことが困難であることはご理解いただけると思います。
 

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母子家庭の公的な手当てや助成金

一人親家庭を含め、子育て家庭がもらえる公的な収入としては児童手当が有名です。
 
所得制限に該当しなければ0歳~15歳(最初の3月31日まで)の子ども1人当たり月額1万~1万5000円が支給されます。これは母子(父子)家庭でなくとももらえる、子育て家庭にとっての重要な収入です。
 
一人親家族もしくは一人親家庭には、これら以外にも公的な収入があります。遺族だけでなく離婚や未婚の母も対象となるものもあります。※細かい支給要件については省略いたします。
 
代表的なのは児童扶養手当です。0歳〜18歳(最初の3月31日まで)の子どもがいる母子家および父子家庭に支給されます。子ども一人で最大で月額4万2100円(平成31年4月以降)で、子どもの数によって加算されます。
 
しかし、所得によって一部支給となったり、支給されないことがあります。実家で同居している両親などに所得がある場合はそれも合算されるので注意が必要です。また、児童扶養手当と遺族年金等の公的年金との併給には条件があります。
 
自治体によっては住宅手当が月額1万円前後支給される場合があります。そして児童育成手当という制度がある自治体もあります、それぞれ所得制限など条件を満たした場合に支給されます。
 
これらの公的な収入を合わせても生活できない場合や働くことが困難な場合は、行政窓口に相談の上、生活保護を申請することもできます。
 

生命保険金と退職金と給料

遺族年金や公的な収入では遺族の生活が不安であれば、その分を見越して、生前に世帯主を被保険者として生命保険に加入しておく必要があります。
 
遺族になった場合、まずは弔慰金や死亡退職金の額や支給要件などを確認してください。公的な収入で不足する生活費は働いて稼がなければなりません。
 
しかしここで知っておきたいのが、働くことによって所得が上昇し、児童扶養手当等が支給されないこともあるということです。また、住まいが市営住宅・県営住宅であれば所得が上昇すると家賃が上昇します。
 
もちろん子どもを保育園に預けていれば、保育料にも所得が影響しますが、母子家庭の優遇制度を導入している自治体が多いので影響は限定的です。所得を増やすことによって公的な支援が減ってしまうということは、知識として持っておいた方がよいでしょう。
 

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子どもの心のケアと医療費助成

子どもがいる遺族(配偶者)にとって、子どもの心のケアはとても重要です。親の死を受け入れられずに苦しむこともあります。
 
一人で留守番をさせることの心配から親の仕事にも影響が出てきます。しっかり子どものケアをすべきときに一緒にいられるように公的な支援や生命保険金を活用して、親子で支えあって生きていく時間も重要です。
 
それでも精神的な病や他の病気やケガで病院にかかる必要がある場合は、医療費助成制度があります。自治体によって内容が違うのですが、子どもだけではなく保護者の医療費も助成の対象です。こちらも所得制限がありますので注意が必要です。
 
医療費助成制度があるといっても、病院にかかると生活上のなんらかの負担はあります。家族が突然亡くなったことで、その後の生活にどのような影響が遺族に出てくるかわかりません。実際の相談で、涙を流す遺族に接しているととても心配になります。
 
支出が増えることにはなりますが、遺族となった子どもには共済や医療保険、親は精神疾患や就労不能に備えた保険への加入をぜひ検討していただきたいと思います。
 
※すでに病気になってから加入した場合は、保険金が支払われない可能性がありますので加入する場合は早期に加入してください。
 
※2019/08/05 内容を一部修正いたしました
 
執筆者:西村和敏
ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
 

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