「マンションは管理を買え」と聞いたけど、これってどういう意味?
ファイナンシャルフィールド / 2019年8月8日 9時15分
分譲マンションの供給戸数は、昭和の時代、特に高度成長期から一貫して増加してきました。景気が右肩上がりの時代は国民の所得も年々上がり続けていたため、マンションは将来的に一軒家に引っ越すまでの仮住まいという考えの方が多かったのも事実です。 つまり、マンションは、将来一戸建てを取得するためのワンステップと捉えられていました。
かつては「住宅すごろく」と例えられたが……
「住宅すごろく」とは、人生における住居の変遷を表すもので、「まず、結婚して賃貸アパートや賃貸マンションに住む。
そして、少しお金が貯まったら分譲マンションを買う。そのうちにマンションが値上がりするから、そのマンションを売却した利益を使って郊外の一戸建てを取得する。60歳で定年となった後は、子や孫と一緒に穏やかに暮らす」
一般市民(ことさらサラリーマン)が描く理想とする住居のゴールは、郊外の庭付き一戸建てを取得する姿であり、分譲マンションとは、その人生のゴールに向けたラストスパートのための力を蓄える一つのステップと考えられていました。
マンションが「終の棲家」に
ところが、平成の時代となった頃からマンションは「永住する資産」としての認識が急速に広まってきました。
郊外からの通勤が大変であるのは昔も今も変わりませんが、都心部のマンションが比較的安くなったため買いやすくなり、今更郊外に住むことなく、生活するのに便利なマンションに永住しようとする考え方が主流となってきたのです。
そして、平成の時代となり、少子高齢化社会が進展すると、さらにその傾向が加速し、マンションは長く住み続ける場所として認識されるようになりました。
国土交通省の平成30年度マンション総合調査結果を見ると、今のマンションに「永住するつもり」と回答した方が「いずれは転居したい」と回答した方を逆転したのは、平成7~8年頃。
今回の調査では過去最高の62.8%の方が「永住するつもり」と回答しています。つまり、この頃からマンションの維持管理の重要性が意識されはじめ、管理状況いかんによってマンション全体の資産価値にも影響するとの認識が生まれました。
「マンションは管理を買え」の『管理』とは?
街を歩けば、マンションが至る所に立ち並んでいます。われわれが一見しただけでは、それぞれのマンションの「管理状況の良しあし」を判断することはできません。
どんなに有名なデベロッパーが建てたマンションでも、どんなに豪華な設備を有するマンションであっても、どんなに高層のタワーマンションでも、外見だけでは「管理の良しあし」は判断できないということです。
マンションの「管理」とは、管理組合や理事会などの活動が区分所有者の自主性を基盤に、適正に運営されており、マンションの維持管理に関する意思決定がしっかりと行われていることやマンション全体の維持修繕に必要となる修繕工事(特に大規模修繕工事など)について、長期修繕計画の計画に基づき適正に実施されていることなどがポイントとなると思われます。
また、それらを実行するための資金計画として、区分所有者から徴収する管理費や修繕積立金などの管理執行が適切に行われており、かつ必要となる残高が確保されているかも重要なポイントとなるでしょう。
まとめ
中古マンションを購入する際には、事前に管理会社などを通じて「重要事項調査報告書」という資料を入手して、そのマンションのこれまでの修繕工事の履歴や修繕積立金の残高、滞納の状況などを確認することをお勧めします。
ただし、若干の費用は掛かる場合があります。鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリートで造られたマンション建物の耐用年数は47年と定められています。耐用年数とは、税金を計算する上で減価償却の計算に使う年数であり、実際のマンションはその年数以上に使用することが可能です。
コンクリートそのものの理論的な耐久性という問題はありますが、最近では100年、200年マンションなどのキーワードも聞かれるようになりました。ただし、その前提となるのは、マンションの「管理」が適切に実施されていることが絶対条件となります。
これからマンションを自分が住むことを目的に購入を検討している方も、不動産投資の対象として考えている方も、マンションの「管理の良しあし」にも目を向けて判断されることをお勧めいたします。
出典
国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果(とりまとめ)」
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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