街中にある「信託銀行」。普通の銀行と信託銀行って何が違うの?
ファイナンシャルフィールド / 2019年8月11日 3時0分
街中を歩いていると「○○信託銀行」の看板を目にしますが、信託銀行と銀行の違いは何でしょうか? 普通の銀行や信用金庫などに口座を持っていれば、お金を預けたり、引き出したりできるので不便はありません。 しかし、信託銀行は、日常の生活には少々縁遠いようなイメージのある銀行です。そこで、信託銀行の業務内容について確認してみたいと思います。
銀行業務とは?
銀行とは、銀行法という法律に定められた固有業務を行うことと定義されています。そして、この固有業務とは、預金、貸付、為替の三つから構成されています。
つまり、個人に限らず法人などを含め、預かったお金を管理する業務、お金を貸し付ける業務、振込や送金、小切手などの決済業務を指しています。私たちが日常利用する銀行の業務は、この三つの固有業務の内容がほとんどです。
さらに、銀行ではこれらの業務以外にも債務保証などの付随業務や保険の販売、クレジットカードの作成などの周辺業務も取り扱っています。
信託銀行の業務とは?
次に、信託銀行の業務を見てみましょう。信託銀行では、上記の銀行業務に加えて、信託業務、併営業務という二つの業務を行っています。
信託業務について
信託銀行では、金銭、不動産、株式などの有価証券、金銭債権などの財産を委託者(個人、法人)に代わって、長期間にわたって信託(受託者)を引き受ける業務を行っています。これが信託業務です。
そして、信託された財産をあらかじめ定められた目的にしたがって管理、運用し、それによってもたらされる利益等を受益者に提供することになります。
信託に登場するのは、記載のとおり、委託者、受託者、受益者の三者です。
例えば、個人が保有する不動産、株式などの財産を信託銀行を信頼して託し、運用や管理を任せることで、受益者(自分自身、ご家族など)のために、それぞれが決めた目的の実現に向けて運用することをいいます。
利用されるケースとして多いのは、子や孫の教育資金信託や結婚・子育て支援信託、障害者を持つ場合の特定贈与信託などがあります。
これらのケースでは贈与税が一定額まで非課税になるなどの税制上の優遇措置もあります。
併営業務について
併営業務とは、さまざまな仲介業務のことをいいます。例えば、不動産の売買や仲介、鑑定などの不動産取引に関する業務、企業の株主の名簿を管理する証券代行業務などがあります。
また、相続関連業務として遺言書の保管や遺言執行、遺産整理などの相続関連業務なども行っています。
信託銀行を利用するメリット
最大のメリットは、金銭を含めた不動産や株式などの財産を一括して管理してもらえる点が挙げられるでしょう。個人自らが保有する資産を自分で管理しようとしても、手間が掛かったり、煩雑さなどからうまくいかなかったりすることが多いと思われます。
その点、プロである信託銀行に託すことで時間をかけることなく、目的に合った運用プランにより安全に運用することも可能となります。さらに、信託銀行では銀行と比べて高金利(元本保証)の定期預金を用意していることも多くあります。
また、信託銀行の役割は相続に深くつながっていることは周知のとおりです。そのため、生前から相続に必要となる手続きなどを一括して行うことが可能となっています。公正証書遺言の作成や不動産の権利証、有価証券などのお預かり、遺言書に基づく遺言執行、遺産分割などを信託銀行側で行うことができます。
相続に伴うトラブルが予見されるケースには、信託銀行を利用することが一つの有効な相続対策となるのかもしれません。
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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