現役世代の年金はどうなる? 財政検証から見えてきた、日本の明るい未来と暗い未来

ファイナンシャルフィールド / 2019年9月17日 23時0分

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8月27日に厚生労働省の公的年金の財政検証の結果が公表されました。今回の財政検証の結果は以前物議をかもした金融庁の「高齢社会における資産形成・管理」の報告書にある老後資金の不足2000万円も意識した財政検証なので、一般の方の関心も高いのではないかと思います。   今回の結果から、日本の公的年金は期待できるのかを見ていきたいと思います。  

前回の検証からの諸前提が改善

5年に一度の公的年金の財政検証では、将来の前提を設定します。今回は前回の2014年より改善している項目が多かったようです。特に、公的年金の被保険者数は2017年の実績で200万人程度多い6743万人となっています。
 
また出生率も2010年時点の実績が1.39で、2014年の見込みでは2060年に平均的な推計で1.35となっていました。しかし、2015年の実績では1.45と高い水準にあり、2065年の平均的な推計も1.44と前回の検証よりも高い出生率が見込まれています。
 
物価上昇率は思われていたほど上昇しませんでしたが、物価上昇率が低くなったにも関わらず、実質賃金が2014年の見込みよりも低くなっていることが気になります。
 
しかし、公的年金の運用実績が良かったことで、賃金上昇率を上回る運用利回りが、2014年から2017年の平均で4.5%と2014年の見込みより大きく改善できるので、将来的な期待もできるのではないかと思います。
 

最悪のケースでは2052年に積立金が枯渇

公的年金の財政検証では6つのケースを試算しています。この中で最悪のケースは、経済成長率がマイナス0.5%で、労働人口も低下していった場合です。このケースでは、2043年には年金の受取開始時点(65歳)の年金額と、現役世代の手取り収入額とを比較した割合の所得代替率が50.0%になると試算されています。
 
2019年現在では、現役男子の手取り収入が35.7万円に対して、夫婦での年金額が22.0万円。現在の所得代替率は61.7%で、今後、公的年金は少なくなることが予想されます。
 
また、そのまま制度自体を見直さず給付していくと、2052年には国民年金の積立金は枯渇し、年金保険料と国庫負担で支給されるようになるかもしれません。そのときの所得代替率は36%~38%になると試算されています。
 
ちなみに所得代替率が50%のときの現役男子の手取り収入は39.3万円で、公的年金の受給額は19.6万円と試算されています。
 

もっとも良いケースでも受給水準は現役の半分

一方、経済状況が今後良い状況になったケースが、物価上昇率も2.0%となり経済成長も進み、労働者も増えていった場合です。現在行われている物価上昇に、今後の平均寿命や公的年金の加入者を加味したマクロ経済スライドによる調整は2046年度に終了します。それ以降、所得代替率は51.9%に維持されます。
 
前述の現在の所得代替率が61.7%からすると、約15%の代替率の低下となって、現役男子の手取り収入の半分くらいというのは、最悪のケースとそれほど変わらないということになります。
 
ただ、試算では物価上昇率が2%で賃金上昇率も1.6%あるので、2046年時点での現役男子の手取り収入は50.6万円となり、年金額は26.3万円と2019年の年金額よりも多く受けとることになります。
 
さらに2060年には現役男子の手取り収入は62.9万円、年金額は32.7万円と額で見ると多くなっていますが、実際の負担率でいうと年金額の目減りとなっているのが分かります。
 

まとめ

今回の検証でもっとも良いケースと悪いケースを取り上げましたが、実質の経済は良くなったり悪くなったりを繰り返していきます。
 
ですので、今平均的なケースを見ていくとある程度の見通しが立つのではないでしょうか。悪いケースでも触れていますが、公的年金は積立金が枯渇した場合でも国庫負担があり、払われている保険料以外からも年金支払い使われています。
 
「公的年金はもらえなくなる可能性がある」とか「現役世代の収入の半分になる」といわれて、不安に思われる方もおられますが、民間の生命保険会社などの個人年金では保険料として払ったものから会社の利益等が差し引かれて積み立てられます。
 
仮に年30万円が10年受け取れる個人年金に入っていたとしても、そのときの現役世代の収入が今の倍近くになっていれば、この個人年金も実質給付額は半分に目減りしているということに注意しましょう。
 
出典:厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し -2019(令和元)年財政検証結果-」
 
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー

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