子供の進路を邪魔したくないけど、学費は無視できない。総額でどのぐらい?
ファイナンシャルフィールド / 2019年10月31日 10時15分
最近、「教育費はいくら準備すれば良いのでしょうか?」というご質問が増えました。特に住宅購入を検討中の子育て世帯には、教育費が大きな関心事となっているようです。 しっかり準備しておいたつもりでも、いざとなると足りるか不安になるのが教育費。特に住宅ローンの返済をしているご家庭なら、大学や専門学校の学費を家計から捻出するのは大変なことです。 子どもが高校生となり進路を考えるようになったら、進路とそれにかかる学費のことを親子で話し合ってみませんか。
まずは総額でいくらくらいかかるかを調べてみましょう
大学に入学して卒業するまでの費用はどのくらいかかるのでしょうか。
国公立なのか私立なのか、文系なのか理系なのか、また自宅から通うのか下宿やアパートなどから通うのかで、かかる費用は大きく違いますが、ざっと考えても大学の学費以外に教科書代や交通費、生活費、おこづかいなどが必要となります。
学費以外にいくらかかるかは判断が難しいのですが、日本学生支援機構が発表した「平成28年学生生活調査結果」を基に、在学中にかかる費用を計算してみましょう。
例えば、自宅から私立大学に通う場合の年間支出は平均で約176万円ということですから、4年間では704万円です。704万円と聞いて多額だとは分かっても、実際にこれが家計にとってどのくらいの負担になるのか、ピンと来ないかもしれません。
月額で考えてみましょう。まず、子どもの進学に備えて貯めている資金があれば、それを総額から差し引きます。例えば、200万円を学資保険の満期金として受け取れるなら、
704万円 - 200万円 = 504万円
さらに月数で割ります。4年間なら48ヶ月ですから
504万円 ÷ 48 = 10万5000円
つまり、毎月10万5000円を家計費から支出することになります。もちろん、この10万5000円は一例ですから、自分の家庭ではどうなのか、条件を変えて計算してみてください。
理系の大学を志望するなどで、学費がもっとかかる場合もあります。各大学のホームページで授業料を調べながら、この大学のこの学部に通うとしたらいくら……などいろいろシミュレーションしてみましょう。
もし準備した資金では足りなそうなら?
自宅から私立大学に通う場合、200万円を教育資金として準備しておいても、毎月約10万かかることが分かりました。特に住宅ローン返済をしている場合や、大学に通う子どもが2人・3人になる時期がある場合など、普通のサラリーマン家庭では家計から負担するのは難しいかもしれません。
では、どのような対策を取れば良いのでしょうか。
(1)おこづかいはアルバイト収入で
大学生のおこづかいまですべて親が負担しなくても良いのではないでしょうか。一部でも良いのでアルバイト収入で賄うように子どもと話し合ってみましょう。アルバイトで得た社会経験が就職活動で役立つこともあります。ただし、あくまで学業に支障が出ない範囲で考えるようにしましょう。
(2)奨学金の利用
奨学金の利用を検討しても良いでしょう。奨学金には返さなくて良い給付型と返さなければならない貸与型がありますが、日本の奨学金のほとんどは貸与型です。
最も多く利用されている日本学生支援機構の奨学金でも、多くの人が利用できるのは貸与型です。募集の時期が決まっているので、利用したい場合は事前に調べてスムーズに申し込めるよう準備しておきましょう。
先ほどの例で、子ども本人がアルバイトして月2万円を負担し、奨学金を月3万円借りることにすれば、親の負担は月5万5000円です。家計の見直しもして、毎月の家計からどのくらい負担できるか、どのくらいをアルバイト収入や奨学金に頼るのかを検討してみましょう。
ただし、月3万円の奨学金を4年間借りると、卒業後に奨学金を毎月約1万円ずつ、13年間返還し続けることになります。長い年月返還を続けることは決して楽なことではありません。奨学金を利用するなら、返還のことも親子で相談しながら貸与額を決めるようにしましょう。
まとめ
進学にかかるお金のことを考えるには、子どもの将来の夢やライフプランを知ることが重要です。子どもにお金の話をするのをためらうご両親もいらっしゃいますが、17歳、18歳になれば、家計の状況も理解できるのではないでしょうか。
進学のためのお金がどのくらいかかるのかを一緒に調べ、我が子の将来のために学費を準備してきたけれども苦しい状況であるならそう伝えましょう。入試の直前になって慌てないためにも、子どもが高校生となり進路を考えるようになったら、進学に必要なお金のことを親子で話し合ってみませんか。
ちなみに、入試に合格して入学手続きをするときには、入学金と半年分の学費が必要となるので、その分のお金は準備しておかないとなりません。特に推薦入試などでは手続きの時期が早いこともあります。いつまでにいくら用意するかも心づもりをしておきましょう。
出典 独立行政法人 日本学生支援機構「平成28年度 学生生活調査結果」
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者
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