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生前贈与の時に注意したいポイント

ファイナンシャルフィールド / 2019年11月6日 8時30分

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近年、相続税の相次ぐ法改正が話題となっています。2015年には遺産にかかる基礎控除額の引き下げが施行されました。これにより相続税を納める人が大幅に増加しました。そんな中『生前贈与』にも注目がおかれていますが、やはり注意が必要です。  

相続税の基礎控除

相続税の計算の際には「基礎控除」を差し引いた額が、課税対象金額となります。2015年の法改正でこの「基礎控除」が大幅に引き下げられました。
 
【相続税の基礎控除】
2014年12月31日まで  5000万円+(1000万円×法定相続人)
2015年1月1日以降  3000万円+(600万円×法定相続人)
 
例えば相続人が3人とすると、2014年までの基礎控除は8000万円ですが、2015年以降は4800万円に引き下げられました。
 
相続財産が7000万円のAさんの例を見てみましょう。Aさんには妻と子どもが2人います(相続人3人)。2014年までの基準だとAさんは、基礎控除内で相続税はかかりませんでした。
 
しかし、2015年以降にあてはめると、2200万円が課税対象金額となります。これを相続分で案分したものに対して、相続税の計算をすると、概算で合計265万円ほどの納税が必要です。
 

基礎控除の引き下げで納税者が約2倍に

2015年の法改正により、納税者数は1.8倍になりました。国税庁の発表によると、平成28年(2016年)、29年(2017年)の相続税の申告状況は下記のとおりです。
 

 
2014年は、相続税納税者の割合を示す『課税割合』は4.4%でしたが、2015年には8.0%へ上昇。毎年微増しています。日本の持ち家比率は全国平均で約60%ですから、基礎控除の引き下げで当面の間は納税対象者が低下することはないでしょう。
 
それにより世間の関心も高まり、マスコミ等でも相続税に関することが、連日のように取り上げられています。
 

相続対策に『生前贈与』を考える人が増加

マスコミ等でも度々紹介されている相続対策に『生前贈与』があります。生前贈与は、生きている間に自分の財産の一部を親族または知人に贈与するものです。
 
しかし、財産の贈与には贈与税が必要なのです。不動産などを生前贈与にすると、不動産所得税なども必要となり、相続税と比較した場合、税金が高くなるケースが多いようです。
 
そこで多くの方が利用するのが「暦年課税」という制度です。「暦年課税」は、1年間にもらった財産の総額が110万円までは非課税となる制度。これを世間では「110万までは贈与税が非課税」と言って気軽に取り入れていますが、実は注意が必要です。
 

暦年課税の注意事項

『生前贈与』をする際に、例えば子どもや孫などに贈与する場合、公平性が重視されます。特定の子どもや孫にのみ暦年課税を行うと、相続税の申告時に認められない場合もあるそうです。
 
また、この『暦年課税』を行う場合には口約束でも成立しますが、契約書がないと、後々税務署から指摘されることもあります。税務署から指摘される頃には、すでに贈与者が亡くなっているケースもありますから、証明書として「贈与契約書」を作成しておきましょう。
 
『生前贈与』の目的は、高齢者が蓄えている預貯金を消費が活発な若年層に移管し、経済を活性化させることです。ですから『生前贈与』された現金は、貯蓄ではなく、物品の購入や投資にまわすことが賢明です。
 
もし、税務署に指摘された場合「親からお金は大切に、貯金をしておきなさいと言われました」と答えてしまうと、課税対象となる可能性もあります。
 
また、振り込みの場合にも注意が必要です。例えば、毎年同じ日に(誕生日等)110万円を子どもに振り込んだとしましょう。その場合「最初から一定の金額を子どもに贈与することを目的にしていた」とみなされ、のちに相続税の課税対象になる場合もあります。
 
一体これのどこがいけないことなのでしょうか? 要は、相続財産を減らす目的とされ、税金を逃れる=脱税容疑をかけられてしまうのです。
 
せっかくの祖父母や親の気持ちが、相続開始時に無念な形になってしまうのは悲しいですね。『生前贈与』は注意が必要です。専門家に相談をして、疑われることなく健全に相続対策をしてください。
 
執筆者:寺門美和子
ファイナンシャルプランナー、相続診断士

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