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相続した家を空き家にしておくと大変なことに…。「特定空き家」に認定されないための対策法

ファイナンシャルフィールド / 2019年11月25日 9時30分

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相談者Aさんの母は82歳で他界し、一人暮らしとなった父は85歳で老人ホームに移り住みましたが、一軒家の実家は処分できずそのまま放置されました。その後3年がたち、父も88歳で亡くなり兄弟2人で相続することとなりました。   遺産として預貯金は少なく、実家の土地と建物が主なものでした。そこで兄弟は実家の土地と建物を兄弟の共有名義としました。しかし、実家はぼろぼろの古い家で、売却するかどうか意見が合わずにそのまま放置されました。   それから3年後、ついに実家は「特定空き家」と認定され、Aさんは高額な固定資産税を請求されることになりました。  

「特定空き家」とは?

平成26年11月27日に公布された「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称、「空き家対策特別措置法」)(※1)によって、市町村などの自治体は以下の状態にある空き家を「特定空き家」と認定できるようになりました。
 
1.そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
2.そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
3.適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態、
つまり適切に管理されずに何年も放置され、保安上や衛生上で問題があり、著しく景観を損ね、周辺住民の生活環境に悪影響を及ぼすような空き家を、自治体は「特定空き家」と認定できます。
 

「特定空き家」と認定されるとどうなるか?

市町村などの自治体は、空き家を調査して、上記「特定空き家」の状態に該当するような空き家の所有者に、改善のための指導、勧告、命令を出すことができます。そして、命令に従わない場合には50万円以下の罰金が科せられます。
 
さらに、自治体は行政代執行の方法により強制執行も可能とされています。つまり、最終的に「特定空き家」は強制的に解体、撤去され、それにかかった費用は全てその所有者に請求されます。
 
また、市町村長が「特定空き家」に関し、除去、修繕等の措置をとることを勧告した時点で固定資産税等に対する特例措置がなくなります。
 
建物がある小規模住宅用地に対しては、固定資産税で6分の1、都市計画税で3分の1となる軽減特例がありますが、この特例措置がなくなるため「特定空き家」の所有者には固定資産税が6倍増で請求されます。
 

「特定空き家」とならないためにはどうしたら良いか?

「特定空き家」とならないためには、定期的に掃除や修繕等をして、近隣住民に迷惑がかかるような状態に放置しないことが重要です。少なくとも、自治体から改善の指導を受けた時点では掃除や修繕等の対策を打つべきです。
 
しかし、空き家の所有者が遠隔地に住んでいる場合などでは、定期的に掃除や修繕等を行うことが難しいこともあるでしょう。そのような場合には早く空き家を売却することをお勧めします。
 
相談者Aさんの場合では、父親が老人ホームに移り住んで空き家となった時点か、相続した後すぐに売却するのが良かったと思われます。そのために国も平成28年の税制改正で、「空き家に係る譲渡所得の特別控除」(※2)を制定しました。
 

「空き家に係る譲渡所得の特別控除」とは?

相続または遺贈によって取得した居住用の家屋や土地を、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3000万円まで控除できるという特例です。
 
一定の要件とは、昭和56年5月31日以前に建築されたものであること、アパートでないこと、相続の開始直前に被相続人以外に居住していた人がいなかったことなどがあります。そのほかいくつかの条件がありますが、詳しくは国税庁ホームページNo.3306(※2)を参照してください。
 
なお、今年の税制改正で、要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所したことにより空き家になった場合でも、一定の要件を満たせばこの特例の適用を受けることができるようになりました。
 

おわりに

「空き家問題」が最近注目されていますが、少子高齢化により今後ますます空き家が増える傾向にあります。特に、市街地に昔から住んでいる一人暮らしの老人が亡くなったときなどで空き家となるケースが多くなっています。
 
一人暮らしの実家を相続した相続人は、なるべく早く、「特定空き家」と認定される前に対策を講じることが大切です。
 
(出典)
(※1)国土交通省 「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)
(※2)国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
 
執筆者:村川賢
一級ファイナンシャル・プラニング技能士、CFP、相続診断士、証券外務員(2種)

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