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知人が「わが家の夫婦は歳の差があるから加給年金がもらえるのよ」これって本当?

ファイナンシャルフィールド / 2020年1月9日 10時30分

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先日、知人女性から「わが家の夫婦は歳の差があるから“加給年金”がもらえるのよ」というお話がありました。   しかし……そのご家庭の背景を知っている私にはちょっと違和感があり、後日あらためてお話を伺ったところ、やはり勘違いでした。加給年金は「歳の差があるから」だけで受給できる年金制度ではありません。  

加給年金とは何か?

老後の生活の柱となる老齢年金。1961年4月2日生まれ以降の男性、1966年4月2日生まれ以降の女性は、65歳から受給できます。
 
しかし、夫婦で年齢が近い場合には、同時期に受給ができますが、歳の差がある夫婦だと、夫の老齢年金だけでは家計に負担がかかる可能性があります。その際に受給できるのが『加給年金』です。別名“家族手当年金”。しかし、この制度には“受給要件”があるので注意をしてください。
 

加給年金の受給要件

『加給年金』には、年金の加入状況や家族の年齢・収入など、の要件があります。

<年金の加入期間>

『加給年金』は厚生年金とセットと考えてください。厚生年金に240ヶ月以上加入している人が受給できます。

<生計を維持している家族がいる>

老齢年金を受給する本人が65歳に到達した時点で、生計を維持している配偶者または子どもがいる方です。このことから通称“家族手当年金”といわれています。

<配偶者・子どもの収入要件>

家族の年収が、850万円未満(所得が650万円未満)の方が対象です。

<配偶者・子どもの年齢制限>

■配偶者:65歳未満
■子ども:18歳到達年度の末日までの間の子。一般的には高校3年生までの子。または、1・2級の障がい状態にある20歳未満の子。
 
ちなみに知人の夫は、厚生年金の加入期間が約17年だったため、受給ができないことがわかりました。
 

加給年金の受給額

『加給年金』はいくら受給できるのでしょうか。

<加給年金額>

■配偶者:22万4500円(年額)
■子ども(1人目&2人目):各22万4500円(年額)
■子ども(3人目以降):各7万4800円(年額)

<配偶者加給年金特別加算>

この制度は、本人の生年月日により“配偶者の加給年金”に加算されるものです。
 
■1943年4月1日まで:段階的に金額が違います。
■1943年4月2日以降:16万5600円(年額)

<注意>

下記の場合は『加給年金』の支給が停止されます。
■配偶者が老齢厚生年金を受給(240ヶ月以上、または共済組合等の加入期間を除いた期間が男性40歳以降、女性35歳以降に180ヶ月以上)
■退職共済年金(組合期間が240ヶ月以上)を受給
■障害年金を受給
 

振替加算について

聞きなれないかもしれませんが、年金には以下のような“おまけ年金”もあります。
 
『加給年金』は、家族の年齢とともに受給ができなくなります。しかし、配偶者が以下の要件を満たせば、配偶者の“老齢基礎年金”に下記の金額が加算され、受給できます。

<配偶者に加算される“振替加算”の受給要件>

■配偶者が“加給年金”を受取っていた
■本人が“老齢基礎年金”を受給する資格を有している
■生年月日の要件:1926年4月2日~1966年4月1日生まれ
■本人の厚生年金(共済年金)の加入期間が240ヶ月未満

<振替加算額>

~配偶者の生年月日~
■下記以前:段階的に金額は変ります
■昭和36年4月2日~昭和41年4月1日:1万5042円
■昭和1966年4月2日以降:なし
 

受給漏れを防ぐには

以上が主な受給要件などです。若干イレギュラーなこともありますが、今回のコラムでは割愛をさせていただきます。詳細は日本年金機構のホームページ(※1)をご活用ください。
 
非常に複雑な制度なので「自分がもらえるのか?」と不安な方も多いと思います。その場合は、夫婦の“ねんきん定期便”を持って、管轄の年金事務所へ相談に行ってみてください。
 

年金額を増やした例

上記の内容を前述の知人に伝えたところ、夫婦で話し合った結果、夫が厚生年金加入事業所に再就職することになりました。再就職時の状況は、
■夫:61歳/厚生年金約200ヶ月加入
■妻:54歳
■長男:10歳
 
このような家族構成です。夫が65歳時点では下記のような年齢となります。
■夫:65歳/厚生年金246ヶ月
■妻:58歳
■長男:14歳
 
65歳の時点で夫は、年額61万4600円の加給年金を受け取れます(妻は要件を満たしている)。長年、夫は自営業にこだわっていましたが、再就職を決断されたのでこの変化は大きいですね。
 
近年、高齢出産の方も増えてきました。歳の差カップルも増えてきました。そのようなご家庭は、夫婦の年金受給について見直しをしてみてください。
 
(※1)日本年金機構「加給年金額と振替加算」
 
執筆者:寺門美和子
ファイナンシャルプランナー、相続診断士

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