年金受給中に亡くなった場合、年金はどうなるの?
ファイナンシャルフィールド / 2020年1月16日 23時0分
前回のコラムで、遺族年金は主たる生計者に何かあった場合に、遺族に支給される年金であることを述べました。主たる生計者が国民年金の対象者(遺族基礎年金の対象者)か、厚生年金の対象者(遺族厚生年金の対象者)かによって受給金額が大きく違います。 では、年金を受給している人が亡くなった場合はどうなるのでしょうか。ここで、年金制度の被保険者の区分について確認をしたうえで、国民年金と厚生年金の受給者が年金を受給中に亡くなった場合にどうなるのか、解説したいと思います。
年金制度の被保険者の区分
■第1号被保険者
日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、全て国民年金に加入し、将来、老齢基礎年金を受けることとなります。国民年金では加入者を3種類に分けています。そのうち、20歳以上60歳未満の自営業者・農業者とその家族、学生、無職の人等を第1号被保険者といいます。
■第2号被保険者
国民年金の加入者のうち、民間会社員や公務員など厚生年金、共済の加入者を第2号被保険者といいます。この第2号被保険者は厚生年金や共済の加入者であるとともに、国民年金の加入者となっています。支払う厚生年金保険料から、国民年金に拠出金が支払われます。
■第3号被保険者
第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満の人)を第3号被保険者といいます。
残された配偶者への年金はどうなるのか?
第1号被保険者(自営業等)の方が老齢基礎年金を受給している際に死亡した場合、配偶者には遺族年金がありません。自営業等の配偶者は、自分自身が第1号被保険者となっているため保障がありません。
第2号被保険者(給与所得者)の方が老齢厚生年金を受給している際に死亡した場合、その配偶者は遺族厚生年金を受け取ることができます。残された配偶者にとって、結婚した相手が自営業等か給与所得者で大きな差があるといえます。
第2号被保険者の遺族となる配偶者が65歳未満の場合は、死亡した本人が本来受け取るはずだった厚生年金のおよそ4分の3を受け取ることができます。例えば、本来本人が受け取るはず金額が28万円だった場合は、28万円×3/4=21万円です。
配偶者が65歳以上の場合は、配偶者本人が老齢厚生年金の受給者となるため、遺族厚生年金の額は、
1.亡くなられた方の老齢厚生年金額の4分の3
(例:亡くなられた方の老齢基礎年金が28万円だった場合は、28万円×3/4=21万円)
2.亡くなられた方の老齢厚生年金額の2分の1 + ご自身の老齢厚生年金額の2分の1
(例:亡くなられた方の老齢基礎年金が28万円、自身が10万円だった場合は、28万円×1/2+10万円×1/2=19万円)
以上の2通りの計算方法があり、いずれか多い額が支給されます(例の場合は、1の21万円が支給されます)。
未支給年金
そのほか、年金を受けている方が亡くなったときにまだ受け取っていない年金や、亡くなった日より後に振り込みされた年金のうち、亡くなった月分までの年金について、その方と生計を同じくしていた遺族が受け取ることができる年金を未支給年金といいます。
これは、国民年金も厚生年金も共通した取り扱いで、年金受給者が生前時に受け取ることができなかった年金を、遺族が受け取ることができる年金です。
なお、ここに記載した内容は遺族年金の概要を記載したものであるため、個人の状況に応じて支給の有無や金額が変わるため、詳細につきましてはご自身のお住まいの年金事務所へご確認ください。
執筆者:高畑智子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者
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