リスクを軽減するために大切な<資産運用のリバランス>って?
ファイナンシャルフィールド / 2020年2月15日 10時50分
アメリカの株式市場では、過去最高値の更新が続いてきていました。しかし、昨年からの米中の貿易戦争やアメリカとイランの関係悪化など、資産運用をされている方には不安なことも多くあります。 リスクを軽減しながら運用するためには、投資資産を再配分するリバランスというメンテナンスが必要です。今回は、投資のリスクとリバランスについて考えていきます。
分散投資では、各資産で運用はまちまち
投資では、分散が必要といわれています。特に、動きの違う資産を組み合わせることが、リスクの軽減につながるとされています。例えば、株式と債権の組み合わせです。しかし、これも当初のもくろみ通りに運用できるとは限りません。
年率5%の運用利回りが期待できる株式と、確実に年率5%の運用利回りが得られる債券があった場合、多くの方が債券へ投資されると思われます。
投資する人が増えると、債券価格は上昇していきます。額面に対する利回りは発券当初に決められているため、債権の実質の利回りは下がっていきます。
額面100万円で利率(クーポン)5%の債券の価格が110万円に上昇した場合、実質利回りは、約4.5%(5万円÷110万円≒0.4545)です。
債券の方にメリットがあると思う方が増えれば、株を売って債券を買う人も増えていきます。債券価格が上昇し、実質利回りはさらに下がってしまうでしょう。このため、動きの異なる資産を組み合わせたとしても、完璧なリスクヘッジにはならないことが分かります。
ハイリスク・ハイリターン資産では
株式は一般的にハイリスク・ハイリターン投資と呼ばれることもあります。リスクは債券に比べ大きくなりますが、リターンも大きくなる傾向にあります。
運用に成功した場合、株式へ投資した資産は債券に比べて増えていくでしょう。しかし、ここでも株式だけでなく債権への分散投資が推奨されています。
分散投資では、ご自身のリスク許容度(ブレ幅に対する許容度)に応じて、資産配分をします。リスクが不安な方は、債券70対 株式30のように、債権の割合を大きくした資産配分が考えられます。
反対に、リスクを許容しリターンを大きく狙いたい方は、債券30対 株式70のように、株式の比率を上げることになります。
しかし、このように最初に設定したとしても、経済状況の変化などにより、利回りのバランスが崩れることもあります。そういうときに必要になるのが、リバランスです。
リバランスは細目にやるよりも
リバランスとは、投資項目を見直して、必要に応じて再配分することです。投資している株式と債権の比率を改めることなどがこれに相当します。
「1年に1回はリバランスを行いましょう」とか、「細目にリバランスを行いましょう」というアドバイスも耳にしますが、私は頻繁にする必要はなく、必要に応じてすることを提案しています。
というのも投資信託の場合には、購入手数料や、ファンドによっては信託財産留保額がかかる商品もあります。NISA口座では非課税で利益を受け取れますが、特定口座で運用していると、2020年現在20.315%の税金が差し引かれます。収益に対して税金が引かれるといっても、金額はばかになりませんね。
さらにリバランスの場合は、全体に占める割合が大きくなっている資産を売って、割合が下がっている資産を買うことが多いでしょう。購入するときにまた購入手数料がかかってしまいます。
アクティブファンドの株式投信などでは、3%以上の購入手数料が掛かることもありますから、少しもったいない気もしますね。
(まとめ)
人生100年時代、貯蓄から投資へと資産形成について個人が考えなくてはいけなくなってきています。失敗しない資産形成を行い、ゆとりある老後を迎えるためにも、資産運用の基本でもあるリバランスについて考えていきましょう。
ブレ幅の大きい株式運用に対して、ブレ幅の少ない債券運用との配分を常に見る必要はありませんが、経済状況が大きく変化したときや運用期間が長くなってきたときに、資産配分の崩れを直していくことは必要です。
長期投資、分散投資、継続投資と合わせてリバランスも意識した運用を行いましょう。
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー
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